田舎の土地や家を売りたいけど、どうしたらいいのか悩んでいる方に朗報です!
都心部の不動産と比べ、田舎の不動産は需要も少なく、売却することが困難な場合がありますが、この記事では売りにくい理由と共に、田舎の不動産を売却する方法やポイント、さらには売却以外で処分する方法などを紹介します。
ですので、この記事を確認する前に、田舎の不動産の売却を始めないでください。
きっと田舎の土地や家をどのように売却すればよいか、そのポイントが見えてくるはずですよ。
田舎の土地や家は売却するべき?
まず「田舎の土地や家は売るべきか?」ということから、もう一度考えてみましょう。
田舎の人口と高齢化の推移を確認した上で、現状維持と売却のケースとで、そのメリットとデメリットを比較してみることにします。
結論から言うと、田舎の土地や家は売却を先延ばしにするほど売りにくくなり、所有し続けることのデメリットも大きくなってしまいます。
減り続ける田舎の人口と高齢化
まずは、田舎の人口と年齢分布を確認してみましょう。
人口を見る理由は、その地域の需要の増減を予測するためです。また、年齢分布は、その地域の不動産売買の活発度を測る目安になります。
人口の全体推移
以下の表、およびグラフは各期間ごとの、エリア別人口増減率(%)になります。
地域/年 | 2010年~2015年 | 2015年~2020年 | 2020年~2025年 | 2025年~2030年 | 2030年~2035年 | 2035年~2040年 | 2040年~2045年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
東京都 | 2.7 | 1.6 | 0.8 | 0.3 | -0.2 | -0.7 | -1.1 |
青森県 | -4.7 | -5.5 | -6.4 | -7.0 | -7.7 | -8.5 | -9.4 |
秋田県 | -5.8 | -6.6 | -7.4 | -8.0 | -8.6 | -9.6 | -10.6 |
山梨県 | -3.3 | -4.1 | -4.7 | -5.1 | -5.6 | -6.1 | -6.7 |
和歌山県 | -3.9 | -4.4 | -5.0 | -5.3 | -5.7 | -6.1 | -6.3 |
徳島県 | -3.8 | -4.3 | -4.9 | -5.3 | -5.8 | -6.4 | -6.8 |
佐賀県 | -2.0 | -2.7 | -3.2 | -3.5 | -3.8 | -4.3 | -4.7 |
こちらの表とグラフは、東京都と、いわゆる「田舎」と呼ばれるエリアの増減率をピックアップしたものです。
ご覧のように、全国的に人口の減少率が加速していますが、田舎ほどその割合が大きいことが分かります。
この増減率に当てはめると、たとえば秋田県では2015年には約102万人だった人口が、30年後の2045年には約4割も減って、60万人になってしまうことになります。
※引用元:国立社会保障・人口問題研究所 「Ⅱ. 都道府県別にみた推計結果の概要」に掲載された表
65歳以上の人口割合
つづいて、65歳以上の人口割合(%)を見ていきましょう。
地域/年 | 2015年 | 2020年 | 2025年 | 2030年 | 2035年 | 2040年 | 2045年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
東京都 | 22.7 | 23.4 | 23.6 | 24.7 | 26.5 | 29.0 | 30.7 |
青森県 | 30.2 | 34.0 | 36.7 | 39.1 | 41.4 | 44.4 | 46.8 |
秋田県 | 33.8 | 37.9 | 40.8 | 43.0 | 44.9 | 47.5 | 50.1 |
山梨県 | 28.4 | 31.5 | 33.7 | 36.0 | 38.6 | 41.4 | 43.0 |
和歌山県 | 30.9 | 33.0 | 34.2 | 35.4 | 36.7 | 38.9 | 39.8 |
徳島県 | 31.0 | 33.9 | 35.6 | 36.7 | 37.8 | 40.1 | 41.5 |
佐賀県 | 27.7 | 30.6 | 32.4 | 33.4 | 34.3 | 35.8 | 37.0 |
日本全体で少子高齢化が進みますが、東京も例外ではありません。
いっぽう、田舎の高齢者比率はさらに高く、たとえば秋田県を見ると、2045年には半数が65歳以上を占めることになります。
もちろん、65歳以上の人でも家や土地を購入することがないわけではありません。しかし、不動産を購入するボリュームゾーンは、結婚や育児をきっかけにする30代~40代です。
したがって、人口減少に加え年齢層が大きく上がっていく田舎では、土地や家の売却がますます難しくなってくるでしょう。
引用元 国立社会保障・人口問題研究所 「Ⅱ. 都道府県別にみた推計結果の概要」に掲載された表
現状維持と売却のメリット・デメリット
このように、急速に進む人口減少と高齢化によって、田舎の不動産はどんどん買い手が少なくなり、売却が難しくなっていきます。
次に、まだ売らずに現状維持する場合と、売却する場合のメリット・デメリットを、費用、手間、リスクの3つの観点から比較してみましょう。
費用について
まずは、家や土地を保有したままにする場合の費用と、売却した場合の費用を比較します。
項目 | 現状維持 | 売却 |
---|---|---|
仲介手数料 | なし | あり |
登記関係費用 | なし | あり |
固定資産税 | あり | なし |
メンテナンス費用 | あり | なし |
現状維持する場合には、固定資産税と家のメンテナンス費用がかかってきます。固定資産税は住んでいなくても毎年発生する費用なので、売却が遅れるほど総支払額は増えていきます。
また、土地だけでなく建物もある場合には、メンテナンス費用も織り込まなくてはいけません。
一方、売却する場合は一時的に仲介手数料と登記関係費用がかかります。ただ、固定資産税もメンテナンス費用も必要ないので、年々かかってくる支出はなくなります。
手間について
現状維持の場合は、建物の空室管理や土地の管理をする手間がかかります。
たとえば、土地のままずっと放置しつづけると、そこにゴミを捨てる人や勝手に住みつく人が出てくるかもしれません。そのようなことがないよう、定期的に見回るなどの対応が必要です。
一戸建ての場合は、定期的に清掃したり換気したりと、空室管理も重要になります。空室管理は義務ではありませんが、空室管理をしないと建物の劣化は早まってしまいます。
リスクについて
とくに、一戸建てを現状維持しようとすると、このようなリスクも発生します。
築年数が古い家であれば、倒壊リスクもあります。また、放火や空き巣、不法占拠などの犯罪に巻き込まれるリスクも上がり、古く劣化している家だと近所の人から苦情が寄せられるかもしれません。
また、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」により、行政も周辺環境に悪影響を及ぼす空き家への対応を積極的に行うようになっています。
劣化した空き家を放置していると、行政処分の対象になりかねませんので注意してください。
空家等対策特別措置法(空家法)に関しては、下記記事にて詳しく解説しています。
このように、基本的には現状維持をしても得はありません。「人口減少」と「高齢化」によって、売却時期を先延ばしするほどデメリットは増すので、早めに売却してしまった方がよいでしょう。
田舎の土地や家を売却するのが難しい理由
田舎の家や土地は早く売却した方がよいとはいえ、実際に売るのは簡単ではありません。まずは、田舎の家や土地を売却するハードルが高くなる理由を知っておきましょう。
具体的な理由としては、このようなものがあります。
- 都会に比べて少ない需要
- インフラ整備が不十分
- 生活施設の不足
- 市街化調整区域による制限
- 大きな開発コスト
- 遠距離の場合の難しさ
- 近所付き合いなどのしがらみ
それぞれについて、以下に詳しく解説します。
都会に比べて少ない需要
まず、都会に比べて需要が少ない点が挙げられます。その理由は、先ほど説明した通り人口減少と高齢化ですが、田舎の場合、需要が上がることは期待できません。
都心であれば「再開発」や、「商業施設の誕生」など、周辺の利便性が増す可能性はあります。しかし、これは都心に人が集まり、再開発する意味があるからです。
田舎ではそもそも人が集まりにくいので、再開発によって不動産需要が上がることは起こりにくいでしょう。
インフラ整備が不十分
田舎はインフラ整備が不十分なエリアが少なくありません。
インフラ整備とは、道路や電車などの交通面はもちろん、上下水道や電気・ガスも含まれます。もちろん、田舎でも電気やガスも通っていないエリアは珍しいですが、問題はきちんと整備されているかどうかです。
すぐに停電になったり、プロパンガスで補充が必要だったりと、インフラが整備されていないと生活に支障をきたす場合があります。
また、田舎の場合は人口流入がそれ以上見込めないエリアが多いため、インフラ整備にお金をかけることも少ないでしょう。つまり、改善される可能性も低いということです。
生活施設の不足
生活施設とは、このような施設のことです。
- スーパーなどの商業施設
- クリニックなどの医療施設
- 公園などの娯楽施設
- 役所や警察署などの公共施設
家や土地の売却価格は、そのエリア価値に影響を受けます。エリア価値を決める要素の1つには「生活施設の利便性」があり、その点、田舎はどうしても都会に比べて劣ってしまいます。
たとえば、徒歩圏内にスーパーがなく車が必要だったり、病気になったら隣町まで車を走らせなければならなかったりと、生活面で不便になります。そうなると、購入希望者はどうしても近隣住民だけに限定されてしまいます。
しかし、田舎は人口減少や高齢化の問題を抱えているため、購入者が近隣住民だけでは売却しにくいというわけです。
市街化調整区域による制限
市街化調整区域の制限は、田舎の土地や家を売るときには厄介な要素です。まずは、「市街地調整区域とは?」という点から説明していきます。
市街化調整区域とは?
市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域のことです。日本には「都市計画法」というものがあり、この都市計画法が街づくりの基本となっています。
市街化調整区域の反対に「市街化区域」があり、市街化区域は「概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」です。
区分けする理由
そもそも、なぜこのような区分けをするかというと、街を効率的に開発するためです。
行政としては、限られた予算内で街を発展させなければいけないので、集中的に発展させるエリアと、発展させないエリアに分けます。それが、市街化区域と市街化調整区域というわけです。
市街化調整区域の制限
田舎は市街化調整区域に該当することが多く、市街化調整区域は「市街地にすることを抑制するエリア」なので、建物を建築することさえ厳しい制限があります。
参考 市街化調整区域における土地活用に関しては、こちらの記事が詳しいです。
売却するときも行政からの開発許可が必要であり、購入者も購入後の増改築などが制限されます。この点から、市街化調整区域の物件を売りにくいのです。
市街化調整区域の不動産は売りにくいことはたしかですが、売却する方法がないわけでありません。詳しくは下記記事で、売却方法と注意点を解説しています。
大きな開発コスト
前項に付随する部分ですが、市街化調整区域の場合は開発コストがかかってきます。開発コストは、行政へ開発申請をするときにかかる費用です。
開発申請にかかる費用はケースバイケースなので、一律でいくらとは言えません。しかし、測量や境界確定、農地転用なども含まれると100万円を超えるケースもあるでしょう。
確定測量の方法と費用に関しては下記記事で詳しく解説しています。
いずれにしろ、市街化調整区域が多い田舎の土地や家の売却時は、通常発生しない開発コストがかかるので、ますます売りにくくなってしまいます。
遠距離の場合の難しさ
かりに、相続した田舎にある実家を売却する場合には、今住んでいる家と売却する不動産が遠距離になります。
そうなると、そもそも仲介してくれる不動産業者選びも一苦労であり、査定や媒介契約などといった手続き関係も面倒でしょう。
さらに、見学者の案内なども不動産業者に全て任せる必要があるため、不動産業者に鍵を預けるなどの対応も必要になってきます。
たとえば、値引き交渉をされた場合も、購入検討者の見学時の反応が分からないので判断しにくいかもしれません。さらに、購入者からの申し込みや売買契約も遠距離になるとめんどうです。
このように、田舎の家や土地を売る場合は遠距離の売却になるケースもあるので、手間がかかる分さらに売りにくくなってしまいます。
近所付き合いなどのしがらみ
田舎は都心よりも近所付き合いが濃厚です。家や土地を「売却する側」はさほど問題ありませんが、その物件を購入する人にとっては購入ハードルが上がります。
なぜなら、すでにでき上がっているコミュニティに飛び込まなくてはいけないからです。
都心よりもご近所付き合いが深い田舎の自治体では、地域ならではの行事やイベントなどが少なくありません。しかし、昔ながらのコミュニティだと、新しく入ってきた人は馴染めるかが不安になるでしょう。
そのため、エリア外からの購入者は少なくなり、近隣住民がメインターゲットになります。そうなると、「人口減少」「高齢化」という、繰り返し解説している負のスパイラルにはまるというわけです。
田舎の土地や家の売却を成功させるためのポイント
このように売りにくい田舎の家や土地ですが、ではどうやって売却したらよいのでしょうか?
そこで、ここからは田舎の土地や家の売却を成功させるポイントを解説していきます。具体的には、このようなものが挙げられます。
- 適正な相場を把握して販売価格が割高にならないように!
- 相場より安くても売り抜いた方が得なことも!
- 信頼できる不動産業者選び
- 不動産業者だけに頼らず自分でも買い主を探す
なかには売主の手間になるようなこともありますが、売却を成功させるには手間を惜しまずに実行する必要があります。
一刻も早く売却を成功させるためにも、できる限り実行しましょう。
適正な相場を把握して販売価格が割高にならないように!
1つ目のポイントは、適正な相場価格を把握することです。というのも、田舎だとそもそもの売却事例が少ないので、適正価格を算出しにくいのです。
そのため、自分自身で調べて相場観を把握する必要があります。相場価格は、過去に成約した価格が基になるので、まずはその価格を把握しましょう。
相場の把握
一般個人が相場価格を把握するためには、こちらの2つのサイトを利用しましょう。
REINS Market Informationは不動産業者も閲覧するREINSに格納されているデータを見ることができます。エリアを指定して検索してみましょう。
土地総合情報システムは、国土交通省が実際に取引した人にアンケートを依頼し、そのアンケート結果がデータになっています。
したがって、正確なデータとしてはREINS Market Informationの方が良いでしょう。しかし、上述したように田舎は事例が少ないので、両方のサイトをチェックすることをおすすめします。
売り出し価格のコツ
相場価格を確認したら、その価格を基に売り出し価格を決めます。この売り出し価格は不動産業者が提示してくれますが、大事なのは自分でも相場価格を知っておき、的外れな価格にしないことです。
田舎の家や土地を売却するときは、とにかく「割高にしすぎないこと」が重要です。というのも、田舎での物件売却は元々集客に苦戦すると予想されるので、割高の価格で売り出してしまうと、さらに集客が減ってしまうからです。
田舎の家や土地を売るときは、欲を出さずに集客しやすい価格で売り出しましょう。
相場より安くても売り抜いた方が得なことも!
2つ目のポイントは、「相場よりも安く売った方が良いケースもある」という点です。「売り出し価格を安くすると成約価格も下がるから嫌だな・・・」と思われるかもしれません。
しかし、このような理由から相場よりも安く売り抜いた方が得なケースもあります。
- 販売期間と値引き率
- 建物の資産価値の下落
販売期間と値引き率
田舎の物件に限った話ではありませんが、販売期間と値引き率は連動しやすいです。つまり、家や土地の売却が長引くほど、値引き率は高くなるのです。
なぜなら、販売が長引いている物件は「売れ残り物件」として認定されるので、購入検討者からの値引き要求が大きくなりがちだからです。
そのため、売り出し価格を高くして販売が長引くと、結局大きな値引き交渉をされて安い金額での売却になるリスクがあります。
不動産をできるだけ高く売却するには、事前に周到な価格戦略を立てておくことが大切です。下記記事では、適切な相場の見極めや、効果的な値下げ幅、値下げのタイミングなど、より具体的な価格戦略を解説しています。
建物の資産価値の下落
木造一戸建ては、築20年~25年程度で資産価値はゼロになります。つまり、査定額がつかないので、タダで引渡す必要があるということです。
もちろん、室内や外観の劣化具合にもよりますが、「全面リフォームをしている」や「補修をしている」などの状況でない限り査定額は上がらないでしょう。
つまり、建物の資産価値はどんどん下落していくので、販売が長引くほど売却価格は下がっています。
とくに、築19年と20年、25年と26年のように、築年数の境目である一戸建ては要注意です。かりに、売却に半年の期間がかかり、築年数が1年増えれば、売却価格は100万円単位で落ちることもあります。
信頼できる不動産業者選び
3つ目のポイントは、信頼できる不動産業者選びです。上述した点も踏まえ、以下の要素に注目して不動産業者は選びましょう。
- セキュリティ面がしっかりしているか?
- 地元に強い業者か?
セキュリティ面がしっかりしているか?
田舎の不動産の場合、見学者が来るたびに現地へ行けない場合も多いと思うので、不動産会社に鍵を預けます。
そのため、きちんと店舗のセキュリティを管理している不動産会社を選びましょう。営業マンの数が少なく、オフィスに誰もいない時間が長い不動産会社などは、セキュリティ面で不安が残ります。
地元に強い業者か?
田舎の土地や家を売るときは、とにかく地元に強い業者である必要があります。地元に強い業者であれば、すでに物件を案内できる顧客を抱えている可能性もあるのです。
そのため、田舎の家や土地の売却は、地元に根付いた業者が望ましいでしょう。
不動産業者選びは、不動産売却の成否を大きく左右します。下記記事では不動産業者の選び方のポイントを解説しています。不動産売却の際には、ぜひご確認ください。
不動産業者だけに頼らず自分でも買い主を探す
4つ目のポイントは、自分でも買主を探すことです。繰り返しますが、田舎の家や土地の売却は集客に苦戦しがちです。不動産会社もネットやチラシで広告するものの、さほど集客はできないでしょう。
そのため、自分でも以下のような工夫をして買主を探す努力をしましょう。
- SNSでの告知
- 知人や親せきに告知
まずは、FacebookやTwitterなどのSNSで、自分の物件が売却されているサイトなどをシェアすることです。友人などに積極的にシェアするように依頼すれば、万単位の人数の目に触れるかもしれません。
また、知人や親せきにも売却しているという事実を告知しましょう。特に、売却物件付近に住んでいる知人だと、検討者を紹介してくれるかもしれません。
ある程度集客が見込める都心ではこのようなことは不動産業者に任せても良いですが、田舎の物件は自分でも動くことが重要です。
なお、不動産会社との媒介契約には、一般媒介、専属専任媒介、専任媒介の3種類がありますが、専属専任媒介契約では自分で買主を見つけてくることはできませんのでご注意ください。
一般媒介、専任媒介、専属専任媒介には、それぞれメリットとデメリットがあり、物件によって向き不向きがあります。詳しくは下記記事で解説しています。
田舎の土地や家を売却以外で処分する方法
さて、最後に売却以外で家や土地を処分する方法である「寄付」と「相続放棄」について解説します。少々特殊な事例ですが、参考までにご確認ください。
寄付
具体的な寄付の受け入れ先としてはこのようなところがあります。
- 自治体
- 個人
- 法人
- 自治会や町内会
ただし、それぞれ注意点があります。
自治体
自治体の場合は、その土地や家の「使用目的」がないと寄付を受け入れられません。そのため、場所柄的に自治体がまったく利用できそうにない場所なら寄付ができない可能性もあります。まずは、行政の担当窓口に相談しましょう。
個人
個人への寄付でもっとも現実的なのは隣地の所有者でしょう。隣地の所有者がその土地を得ることができれば、自分の土地の区画が広がるので活用しやすいからです。ただし、個人への寄付は基本的に贈与税が発生します。
とはいえ、贈与税が高額になるほど価値のある土地であれば、そもそも売却できているでしょう。
そのため、さほど贈与税は気にする必要はありませんが、トラブル防止のために司法書士や行政書士に依頼して贈与契約書を作成しておくようにしましょう。
法人
法人への寄付は、「営利法人」への寄付か「公益法人」への寄付かで違いがあります。営利法人は通常の法人なので、その土地や家を得ることで収益に直結しないと意味がありません。
しかし、売却に苦戦する土地や家を活用して収益につなげるのはなかなかハードルが高いです。
公益法人への寄付の方が現実的でしょう。身近なところでいうと、学校や自社、NPO法人などが公益法人に該当します。
もちろん、公益法人も意味がなければ寄付は受けませんが、営利法人なら発生する譲渡所得税も公益法人なら発生しない点もメリットです。
したがって、寄付をするなら、まずは学校などの公益法人から相談することをおすすめします。
相続放棄
さて、次に相続放棄をすることで、その田舎の家や土地自体を相続しないという選択肢です。ただ、相続放棄する際は以下の点に注意しましょう。
- 相続放棄は二択
- 相続人全員の同意
それぞれについて、以下に詳しく解説します。
相続放棄は二択
相続放棄とは、相続「する」か「しない」かという二択を決める制度なので、相続財産の一部だけを相続放棄することはできません。また、相続する前に相続放棄する旨を、家庭裁判所などに申述することも不可能です。
つまり、相続放棄するとすべての財産を放棄することになるので、田舎の土地や建物以外の財産である、「現金」や「株」「その他不動産」も放棄することになります。
相続財産がトータルでマイナスの場合のみメリットがあり、プラスの場合はデメリットになりかねません。
相続人全員の同意
かりに、あなたが相続放棄して、その不動産を相続する次順位の人がいるとします。そうなると、次順位の人が相続するので、あなたが相続放棄をしても兄弟が相続するかもしれません。
そうなると、その兄弟は売りにくい田舎の不動産を相続することになります。そのパターンも考えられますが、その家や土地を完全に処分したければ、全員が相続放棄する必要があるというわけです。
田舎の土地や家は手間を惜しまずに売り切る姿勢が必要
田舎の家や土地を売却するときには、「田舎の物件は売りにくい」という点をまずは理解しなければいけません。
その上で、これまでに説明した4つのポイントをよく理解して売却活動を行ってください。売主の手間になる部分もありますが、その手間がスピーディーな売却へとつながります。
以上、田舎の土地や家は売るべき?売却を成功させるための4つのポイント…でした。
なお、田舎のなかでも森林や山林の売却はかなり特殊です。通常の不動産とは違ったアプローチが必要になりますので、下記記事で売却方法と注意点をよく確認してください。
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