市街化調整区域の土地活用は何がある?ケース別に見る活用方法を解説

市街化調整区域の土地活用は何がある?ケース別に見る活用方法を解説土地活用

活用が難しい土地の一つに「市街化調整区域」があります。
市街化調整区域とは、市街化を抑制すべき区域のことです。

市街化調整区域は建築規制が厳しいエリアですが、実際にはコンビニや飲食店等も建っています。

市街化調整区域は建物が絶対に建たないエリアというわけではなく、要件を満たした建物を建てることが可能です。

市街化調整区域は、最初から土地活用を諦めている人もいらっしゃるかもしれません。
実は「建物が建てられて活用ができる土地だった」という可能性もありますので、市街化調整区域の土地をお持ちの方でも土地活用は検討してみる価値はあります。

市街化調整区域でも土地活用ができる可能性がある

この記事では「市街化調整区域の土地活用」について解説します。
ぜひご参考ください。

執筆・監修
この記事の執筆・監修者
竹内英二

保有資格:不動産鑑定士、中小企業診断士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)
大手ディベロッパーにて不動産鑑定業務や収益物件の用地仕入れ等を行ってきたことから、土地活用や不動産投資、借地借家の分野に強い。現在は不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である株式会社グロープロフィットの代表取締役。大阪大学出身。

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市街化調整区域とは

市街化調整区域とは

市街化調整区域とは、都市部の農村地帯を守ることを目的に指定された区域のことです。
最初に市街化調整区域のポテンシャルを知ってもらうために、市街化調整区域はどのようなエリアに指定されているかを解説します。

都市計画法による分類

都市計画法によって、全国は「都市計画区域」と「準都市計画区域」、「都市計画区域外」の3つに分類されます。
全国の面積のおよそ7割強が都市計画区域外であり、残りの3割弱が都市計画区域です。

都市計画区域は全体の3割弱しかありませんが、人が多く住む場所に指定されており、その名の通り計画的に街づくりが行われている区域となっています。

都市計画区域の分類

都市計画区域は、さらに「区域区分がされた区域」と「区域区分がされていない区域(非線引都市計画区域)」の2つに分かれます。

区域区分とは、「市街化区域」と「市街化調整区域」の区分のことを指します。
市街化区域とは、「すでに市街化を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」のことです。

「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けることを、線を引くという意味で「線引」と表現します。

都市計画区域の「非線引都市計画区域」とは、線を引いて区域を分けていない地域のことです。

「非線引都市計画区域」は「市街化区域」と「市街化調整区域」に分かれていないことから、「非線引都市計画区域」には「市街化調整区域」は存在しないことになります。

都市計画区域の分類

[事例]千葉県における都市計画区域の指定状況

ここで、具体的なイメージを持ってもらうために千葉県を例に都市計画区域の指定状況を見てみます。
以下の図は、千葉県の都市計画区域図です。

千葉県「都市計画区域図」
画像出典 千葉県「都市計画区域図」

緑の部分が「区域区分がされた区域」、黄色の部分が「非線引都市計画区域」、白抜きの部分が「都市計画区域外」となります。

千葉県は、県の北西部の東京湾側は東京都に近いため、都市化が進んでおり、人も多く住んでいます。

一方で、県の東部の太平洋側は東京から離れていることもあり、北西部に比べると人口は少ない地域です。

千葉県の都市計画区域図を見ると、人口の多い北西部側は緑色の「区域区分がされた区域」であり、人口の少ない東部は黄色の「非線引都市計画区域」で指定されています。
また、千葉県南部の人口が最も少ないエリアは白抜きの「都市計画区域外」です。

つまり、人口が多いエリアは「区域区分がされた区域」にしてされており、「市街化調整区域」はこの人口の多いエリアの中に存在する都市農村ということになります
千葉県の場合は、緑の部分に市街化調整区域があるということです。

都市部の乱開発を規制する市街化調整区域

人口が多い都市部では、放っておくと宅地開発が広がってしまうため、都市部に存する農地が著しく減少してしまう恐れがあります。

そこで、乱開発が生じる懸念がある都市部においては、農村部を「市街化調整区域」に分けることによって大切な農地の減少を防止することにしたのです

「非線引都市計画区域」や「都市計画区域外」では、そもそも人口が少なく、乱開発の可能性が低いことから、特に規制をしなくても農地が減少するリスクは低いといえます。

よって、「非線引都市計画区域」や「都市計画区域外」のような人口の少ない地域には、市街化を抑制する「市街化調整区域」は指定されません。

土地のポテンシャルは高い市街化調整区域

少し表現は悪いですが、「本当の田舎」には市街化調整区域は存在しないことになります。
市街化調整区域は「本当の田舎」ではなく、規制によって「田舎にさせられているエリア」ということもできるのです。

市街化調整区域は、隣接する市街化区域に人口が多く住んでいることから、土地のポテンシャルは高い地域であるともいえます。

そのため、建物を建てることができれば、市街化調整区域でも土地活用に成功する可能性は高いのです。

市街化調整区域は人口の多いエリアなので、建物を建てられれば土地活用に成功する可能性は高い

開発許可とは

開発許可とは

市街化調整区域に建物を建てるには、原則として開発許可が必要となります。
開発許可とは、開発行為を行うための許可のことを指します。

あくまでも「許可」という行政手続きですので、要件を満たせば許可は下り、建物を建てることは可能です。

開発許可を要する開発行為

開発許可を要する開発行為とは、以下の3つのいずれかになります。

【開発行為】

  • 土地の「区画」の変更
  • 土地の「形」の変更
  • 土地の「質」の変更

土地の区画形質の変更とは
画像出典 東京都「開発許可制度のあらまし」

土地の区画の変更とは、敷地を分割して区画することを指し、具体的には敷地内に新たに道路を作ったり、元々あった道路を廃道したりする行為のことです。

土地の形の変更とは、敷地の造成工事のことを指し、具体的には一定規模以上の盛り土や切り土を行う行為を指します。

土地の質の変更とは、土地の用途変更のことを指し、具体的には雑種地や原野を宅地にする行為のことです。

市街化調整区域での開発行為には開発許可が必要

開発行為を行うには、全国どこでも許可が必要になりますが、市街化調整区域以外では一定規模以上の土地面積でないと許可は要しないことになっています。

例えば、市街化区域であれば原則として1,000平米未満、非線引都市計画区域であれば原則として3,000平米未満で開発行為を行う場合は、開発許可は不要です。

ところが、市街化調整区域では、土地の面積が何平米であっても開発行為を行う場合には許可が必要となっています。

つまり、市街化調整区域では「0.01平米」の土地であっても開発行為を行おうとすれば開発許可を要するということです。

宅地以外の土地に建物を建てるには開発許可が必要

ここで、開発行為の中には「土地の質の変更」というものがありました。
市街化調整区域では0.01平米であっても、宅地以外の土地を宅地に変更するには開発許可が必要となります。

宅地とは、建物の敷地に供する土地のことです。
登記簿上の地目とは直接は関係なく、現況が建物の敷地に供している土地であれば「宅地」という扱いになります。

例えば、現況が原野であれば、その土地は宅地ではありません。
原野の土地の上に建物を建てようとすれば、その土地は「建物の敷地に供する土地」となり、原野から宅地に質が変わることになります。

つまり、市街化調整区域では土地の面積に関わらず宅地以外の土地に建物を建てようとすれば、「土地の質の変更」に該当することから、開発許可が必要となるのです。

市街化調整区域で現況が原野の土地に建物を建てようとするなら、土地面積に関わらず開発許可が必要

農地は農地法の規制もかかる

農地は農地法の規制もかかる

市街化調整区域は都市農村を乱開発から守ることが目的であることから、区域の中には農地も多いです。

農地は、都市計画法の市街化調整区域以外に農地法の規制も受けます。
農地法も農地を守るための法律であり、市街化調整区域だけでなく全国に適用されます。

建物を建てるには農地法の転用許可が必要

農地法では、農地を農地以外にすることを「転用」と表現します。
農地の上に建物を建てることも転用に該当し、農地法の転用許可が必要です。

農地の中には、最初から転用できない農地が存在します。
農地の種別と転用の可否の関係は、下表の通りです。

種別定義許可の方針
農用地区区域内農地市町村が定める農業振興地域整備区域内において農用地区域とされた農地原則不許可
甲種農地市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)等の特に良好な営農条件を備えている農地原則不許可
第1種農地10ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等の良好な営農条件を備えている地域原則不許可
第2種農地鉄道の駅が500m以内にある等の市街地化が見込まれる農地または生産性の低い小集団の農地周辺の他の土地に立地することができない場合等は許可
第3種農地鉄道の駅が300m以内にある等の市街地の区域または市街化の傾向が著しい区域にある農地原則許可

原則として「第2種農地の一部」か「第3種農地」のみ転用可

転用できる農地は、原則として「第2種農地の一部」または「第3種農地」に限られます。
転用できない農地であれば、市街化調整区域の規制以前に農地法の規制によって土地活用ができなくなります。

市街化調整区域の農地は、都市計画法の市街化調整区域の規制と農地法の規制の2つがかかっているため、活用のハードルが相当に高いです。

市街化調整区域内で農地を活用する場合には、まずは転用できる農地かどうかを知ることが第一歩となります。

市街化調整区域で開発許可を得る要件

市街化調整区域で開発許可を得る要件

繰り返しますが、市街化調整区域であっても要件を満たせば開発許可は下り、建物を建てることは可能です。
この章では、市街化調整区域で開発許可を得る要件について解説します。

市街化調整区域で開発許可を得るには、「技術的基準」と「立地基準」の2つを満たす必要があります。

【市街化調整区域の開発許可要件】

  • 技術的基準(都市計画法第33条)
  • 立地基準(都市計画法第34条)

市街化調整区域で開発許可を得るには、まず技術的基準をクリアすることが最大の難関です。

技術的基準とは

技術的基準とは、開発する土地の安全性や、排水施設の能力が一定水準以上に達しているか等の技術的な要件を定めたものとなります。

技術的基準の中には、「排水路その他の排水施設」を定めた基準があります。
排水施設の基準とは、対象地から排出される雨水や雑排水によって開発区域およびその周辺に水があふれて被害が生じないような構造や能力を定めた設計基準になります。

一見すると簡単な要件に見えますが、市街化調整区域の場合、対象地の前面道路に雨水や下水の排水管が通っていないことから、敷地外へ適切に排水をできないことが多いです。

市街化調整区域内では、前面道路の排水インフラ整備がなされていないことで、33条の技術的基準を満たせず、開発許可が得られないケースがよくあります。

よって、市街化調整区域内で開発許可を得るには、まずは技術的基準をクリアできる土地であるかどうかを調べることが第一歩です。

排水施設の能力が一定水準以上に達しているか等の技術的な要件をクリアしているか?

立地基準とは

33条の技術的基準を満たせば、次に34条の立地基準を満たすことで開発許可を得ることができます。

立地基準は、主に市街化調整区域内で建築して良い建物用途が規定されています。
例えば学校等の公益上必要な建物や、コンビニ等の日常生活に必要な店舗であれば市街化調整区域でも建築可能となっています。

市街化調整区域内では、好きな用途の建物を自由に建てることはできませんが、立地基準に合致した建物であれば建築は可能です。

市街化調整区域内で建築して良い建物用途に合致しているか?

 
つまり、市街化調整区域内でも、技術的基準をクリアできれば立地基準の範囲の中で土地活用できることになります。

開発許可を取得してできる土地活用

この章では、技術的基準がクリアでき、開発許可が取得できる土地における活用方法について解説します。

  • 公益上必要な建物
  • 日常生活に必要な店舗等
  • 市街化区域に近接する区域の建物

公益上必要な建物

公益上必要な建物

都市計画法34条の立地基準では、「公益上必要な建物」は建てられることになっています。
ただし、公益上必要な建物は法律で具体的に定めているわけではなく、各自治体が条例や開発要綱を設けて独自に規定しています。

各自治体が定めている公益上必要な建物には、一般的に以下のようなものがあります。

  • 学校
  • 老人ホーム
  • 保育園
  • 幼稚園
  • 学童保育
  • 病院

個人が行う土地活用としては、「老人ホーム」や「保育園」あたりが候補になり得ます。

自治体の要綱等の確認を

ただし、公益上必要な建物は、各自治体によって異なります。
例えば老人ホームを公益上必要な建物に含んでいる自治体もあれば、含んでいない自治体もあります。

仮に含んでいても、特別養護老人ホーム(公共の費用が安い老人ホーム)やグループホーム(認知症者を対象にした施設)等の特殊な老人ホームに限定しているケースも多いです。

また、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」も、単なるサ高住の要件を満たしただけでは足りず、有料老人ホーム並みの要件を満たさないと認めていない自治体もあります。
サ高住とは、安否確認と生活相談のサービスを兼ね備えた高齢者向け住宅のことです。

老人ホームは認めている自治体も比較的多いですが、どのような老人ホームが建てられるかを知るには、自治体の要綱等をしっかり確認する必要があります。

日常生活に必要な店舗等

日常生活に必要な店舗等

都市計画法34条の立地基準では、「日常生活に必要な店舗等」も建てられることになっています。

日常生活に必要な店舗等に関しても、法律で具体的に定めているわけではなく、各自治体が条例や開発要綱を設けて独自に規定しています。

各自治体が定めている日常生活に必要な店舗等には、例えば以下のようなものがあります。

  • コンビニエンスストア(飲食料品を中心とするものに限る)
  • 各種食料品小売業
  • 紙・文房具小売業
  • 燃料小売業(ガソリンスタンドを除く)
  • 酒小売業、他に分類されない飲食料品小売業(調味料小売業に限る)
  • 野菜・果実小売業
  • 食肉小売業
  • 鮮魚小売業
  • 料理品小売業、持ち帰り飲食サービス業
  • 医薬品小売業(調剤薬局を除く)
  • 金物小売業
  • 電気機械器具小売業(中古品を除く)
  • 洋品雑貨・小間物小売業
  • 農器具修理加工店
  • 自転車・二輪自動車修理加工店(販売含む)
  • 自動車一般整備業
  • 理容業
  • 美容業
  • 普通洗濯業
  • 食堂・レストラン(専門料理店を除く)
  • 新聞小売業
  • あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所

技術的基準をクリアすれば、実はかなり様々な店舗が建てられることになります。
市街化調整区域であっても、要件を満たせば収益性の高いコンビニの土地活用をできることもあるのです。

市街化区域に近接する区域の建物

都市計画法34条の立地基準では、「市街化区域に近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であっておおむね50以上の建築物が連たんしている地域」であれば、環境保全上支障がない建物は建築可能としています。

市街化区域に近く、間際まで住宅街が迫っているような土地であれば、建物を建てられる可能性は高いです。

開発許可を取得せずにできる土地活用

この章では、技術的基準がクリアできず、開発許可が得られない土地における活用方法について解説します。

  • 建物を建てない土地活用
  • 開発許可を要しない建物
  • 既存適法建築物の建て替え

建物を建てない土地活用

建物を建てない土地活用

建物を建てずにできる土地活用としては、以下のようなものが挙げられます。

  • コインパーキング
  • 太陽光発電
  • 資材置場
  • 野立て看板用地

太陽光発電も建築物の建築を伴うタイプのものは、市街化調整区域ではできないことになります。

市街化調整区域は、周辺に人口が多い市街化区域があるため、コインパーキングのニーズは相応に存在します。
初期費用の安さや収益性を考慮すると、コインパーキングが最もおすすめです。

尚、トランクルームは、コンテナハウスと呼ばれる建物建築を伴うため、市街化調整区域ではできません。

開発許可を要しない建物

開発許可を要しない建物

市街化調整区域内では、「農林漁業の用に供する一定の建物」や「農林漁業を営む者の自宅」であれば開発許可を要せずに建てることができます。

農林漁業の用に供する一定の建物には、畜舎や温室、サイロ、農機具等収納施設があります。

既存適法建築物の建て替え

既存適法建築物の建て替え

市街化調整区域では、既存適法建築物の建て替えは可能です。
適法に建物が建っている土地はすでに宅地であることから、その土地に建物を建てても「宅地以外の土地を宅地にする開発行為」に該当しないことになります。

市街化調整区域で宅地として使われている土地のことを「宅地性のある土地」と表現します。

宅地性がある土地で建物を建てる場合は、開発行為に該当しないことから、開発許可も不要になるということです。

ただし、宅地性がある土地は開発許可こそ不要となりますが、都市計画法第43条の「建築許可」と呼ばれる別の許可が必要となります。

建築許可には、例えば従前と同一用途、かつ、同一規模(従前の1.5倍以内)の建物であれば建て替え可能といった要件があります。

【既存適法建築物の建て替え】

  • 可能かつ開発許可は不要
  • 都市計画法第43条の「建築許可」は必要

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まとめ

以上、市街化調整区域の土地活用について解説してきました。
市街化調整区域では、技術的基準がクリアできれば、かなり幅広い活用の可能性が出てきます。

開発許可が得られるかどうかを知るには、プロに役所で調査してもらうことが必要です。
実は「建物が建てられて活用ができる土地だった」という可能性もありますので、まずは土地活用提案を受けてみることをおすすめします。

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