共有名義の土地を売却する3つの方法と5つの注意点

共有名義の土地を売却する時、その目的はさまざまでしょう。

「持分を現金化したい!」
「共有名義で発生しているトラブルを解消したい!」
「円満に相続を完了させたい」

あなたが、共有名義の土地を売却したいと考えた時、まず共有名義の特徴をよく理解し、最適な売却方法について十分に検討することが大切です。

ここでは、共有名義の土地を売却する方法と注意点について説明します。

共有名義の土地の所有権と持分割合

土地は所有権を登記することにより、第三者に対抗力を有することができます。
所有権は複数の人によって登記することも可能ですが、現実的には土地を物理的に分けて所有したり、使用したりしているわけではありません。

それでは、共有名義や持分とはどういうことを指すのか、確認していきましょう。

共有名義と持分割合とは?

土地を複数の人で共同所有していることを共有といい、共有者がそれぞれ負担した割合などに応じて持分を登記した状態を共有名義といいます

この場合、それぞれが土地そのものでなく、土地の潜在的な権利を共有しているということになります。

代表的な共有名義の例は、夫婦二人で土地を購入し共有名義にしたり、相続で共同相続人が共有名義にしたりするケースです。

持分割合とは、共有の持分のことで「2分の1」など分数で示して登記します。
共有者は、単独で自分の持分を第三者に売却することができます。

自分の持分割合はどうやって調べる?

自分の持分割合は、土地の登記事項証明書を取得することで確認できます。
登記事項証明書は、その土地を管轄する法務局で取得します。

共有名義となっている場合の持分割合記載例を見てみましょう。

(記載例)

「権利者その他の事項」の欄を見ると、住所・持分割合・氏名が確認できます。
持分2分の1ずつ2名が登記されているのがわかります。

ただし、相続の場合は、相続登記を済ませない限り、被相続人(亡くなった方)の名義のままになっています。相続で土地を共有名義にした時の持分割合は、遺言書や法定相続分もしくは遺産分割協議で決定した持分割合となります。

共有名義の土地を売却する3つの方法

共有名義の土地を売却するには、おもに3つの方法があります。

自分の持分だけ売却する

土地の自分の持分のみを売却したい時は、他の共有者の承諾や同意は必要なく、自分だけの意思で自由に売却できることは法律にも規定されています。(民法第206条)

売却の手続きも単独名義の土地を売却する時と変わらず、売買契約を締結し、代金支払いと同時に所有権移転登記をするという流れです。

第三者に売るのは実際のところ難しい

しかし、自分の持分のみを売却できるといっても、買主を探すのは容易ではありません。

一般消費者であるエンドユーザーが、他に自分の知らない共有者が存在して、使用に制限があるかもしれない土地をマイホーム用に購入するわけがないことは、あなたにも理解できるでしょう。

それでは、誰に売却すればよいのでしょうか?

共有者に買い取ってもらうのが現実的

現実的に一番多いケースは、他の共有者へ売却することです。
この場合、持分移転ともいいます。

他の共有者が「土地自体は売りたくないが、持分を買い取るのは差し支えない。」と考えている時、この方法で売却します。
 
ただし、売買価格には気をつけましょう。なぜなら、「いくらでもいいから一刻も早く売却したい」と考え、著しく相場と乖離した価格で売却を行うと贈与と認定され、持分を買った人に贈与税が課税されてしまう可能性があるためです。

共有名義の不動産の専門買取業者に依頼する

近年は、不動産業者もかなり細分化・専門化しており、共有名義を専門に扱っている不動産買取業者もいるのです。

ただし、仲介ではなく買取のため、かなり査定価格は低くなります。
他の共有者とトラブルを抱えている場合や、離婚などで揉めている場合に検討するとよいでしょう。

⇒ 相続や離婚で所有した共有不動産の無料相談

共同相続人が勝手に持分を売却したらどうするか?

相続の時に発生する問題です。

相続人は、自分の相続分を第三者へそのすべて、もしくは一部を売却することができます。相続した土地の2分の1が自分の相続分であれば2分の1がすべて、自分の相続分の半分(全体の4分の1)などが一部となります。

この場合、譲渡を受けた譲受人は相続人と同じ立場で、遺産分割協議に参加することができますが、譲受人が共同相続人以外の第三者であった場合、遺産分割協議を進めるうえで円滑に協議が進まないリスクやトラブルが生じる可能性があります。

そこで民法では、一定の要件のもとに譲渡された相続分を買い戻す権利を認めています。この権利を「相続分取戻権」といいます。

相続分取戻権は、相続人から譲受人に取戻権を行使する旨の通知をするだけでよく、譲受人の承諾は必要ありません。
相続分取戻権を行使できる期間は、譲渡の時から1ヶ月ですので注意が必要です。

一方で、相続人が遺産の不動産に対する共有持分を第三者へ譲渡した場合、判例では相続分取戻権によって他の相続人が持分を取り戻すことはできないとされています。(最高裁判所昭和53年7月13日第一小法廷判決

この場合、第三者である譲渡人の同意を得て、持分を買い戻すしかありません。

分筆して売却する

土地の場合は、分筆して売却するという方法もあります。
そのやり方と手順について見ていきましょう。

分筆のやり方と手順

分筆とは1つの土地(1筆の土地)を、登記上2つ以上の土地に分けることをいいます。分筆された土地には新しい地番が付与され、元の1筆の土地とは別個の土地として登記されます。

ちなみに、隣接する2つ以上の土地を1筆の土地にまとめることを合筆といいます。

【分筆のイメージ】

また、分筆により道路に接しない土地ができてしまう場合や角地の分筆など、分筆後の土地の価値に差が出てしまうと考えられる時は、面積で調整するなどして分筆後の土地の価値が同じになるように分筆します。

それでは、分筆のやり方と手順について確認しましょう。

まず、元の土地の確定測量を行う必要があります。すべての隣地所有者が立ち会いのうえで、境界について確認・押印をもらい、境界標を設置し、土地確定測量図および境界確認書がなければ分筆登記ができないためです。

土地確定測量は個人では対応が難しいため、土地家屋調査士に依頼します。
土地確定測量と同時に、分筆する位置に境界標を設置します。


土地を売却する際には、後々のトラブル防止のためにも、基本的には境界確定を行ったほうがよいでしょう。確定測量の方法と費用に関しては↓の記事で詳しく解説しています。

不動産(土地)の売却の際に、境界確定をする必要はあるのでしょうか? 境界確定は法的に義務付けられているわけではありません。境界確定のた...

分筆しただけでは共有名義のまま

土地確定測量をし、分筆位置に境界標を設置しただけでは共有名義のままです。
それぞれの土地を自己の名義に登記しなければなりません。

分筆登記に必要な書類は下記の通りですので確認してください。

  • 登記申請書
  • 境界確認書(隣地土地所有者 いわゆる民民境界)
  • 道路境界確認書(道路を所有する市区町村 いわゆる官民境界)
  • 確定測量図

土地の分筆登記を行う際には、登録免許税という税金を納付する必要があります。
登録免許税は、分筆登記後の土地1筆あたり1,000円となります。
分筆登記後の土地が2筆であれば、2,000円となります。

その後に名義変更をするために、それぞれの土地に対して所有権移転登記を行います。相続の場合、所有権移転登記の登録免許税は土地の固定資産評価額の0.4%です。


土地を分筆する際には、分け方によって土地価格が異なってくることがあります。また、マイホームの特別控除を受けるには条件がありますので注意してください。

土地の一部を分筆して売却する方法や確定測量の費用など、詳しくは↓の記事でご確認ください。

「住んでいる土地の一部を売却してその資金で自宅を建て替えたい」 「土地の一部を売却して相続税を納税したい」 「土地の分筆をするに...

売却後に持分割合で分ける

続いて、共有者全員の同意のもと土地全体を売却して、売却代金を持分に応じて按分する、という方法について説明します。

共有者全員の意思が一致しているため、共有名義の土地を売るには最良の方法ですが、注意点もありますので確認しましょう。

代理売買に必要な書類等

共有者全員が売主として、売買契約・決済引渡しに立会うことが理想ですが、遠方に住んでいる、海外転勤のため日本にいない、高齢者のため移動が難しいなどの場合は、代表者を決めて売却を進めることがあります。

この場合、共有者全員の委任状が必要となります。
代表者は、委任状に定められた権限の範囲内において他の共有者に代わって売却手続きを進めることができます。

売買契約時には代表者は買主に対して共有者全員分の委任状を提示します。
そうすれば、買主は代表者以外の共有者の売却意思を確認することができ、取引に対して信頼感を持つことができます。

決済引渡し時には所有権移転登記を行うために、共有者全員分の実印および印鑑証明書(発行3ヶ月以内のもの)、登記上の住所と現住所が異なる場合は住民票(発行3ヶ月以内のもの)、住民票だけで住所履歴を証明できない時は戸籍の附票、運転免許証などの本人確認書類の写し、固定資産評価証明書などが必要となります。

委任状に記載する項目

委任状には特別な形式はありませんが、下記の項目について記載します。

  • 委任者の住所・氏名
  • 受任者の住所・氏名
  • 受任者へ委任する権限
  • 対象土地の表示(所在・地番・地目・面積・持分など)

委任状には実印で押印し、印鑑証明書を添付することで、土地売却委任の意思をより証明できます。

【委任状の例】


不動産を代理人として売却するには、委任状以外にもいくつか注意点があります。詳しくは↓の記事でご確認ください。

不動産の所有者本人が売却手続きを行えない場合、代理人を立てて売却を進めるという方法があります。代理人は、与えられた権限の範囲内で契約手続きなどの法律行為を所有者本人に代わって行うことができ、代理人が行った行為の責任や成果はすべて委任した所有者本人に帰属します。

売却代金の分配方法

無事、土地の売却が済めば、持分割合に応じて売却代金を分配します。

委任状で売却代金の受領権限を代表者に付与していれば、代表者が一括して売却代金を受領し各共有者へ分配、付与していなければ売却代金を分割して各共有者の口座に直接振り込む、などの方法を取ります。

共有名義の土地を売る時の注意点

最後に、共有名義の土地を売る際の注意点について説明します。

売却代金も経費も持分割合で分ける

売却代金を持分割合に応じて分配することは説明しましたが、かかった経費も持分割合に応じて負担する必要があります。
主な経費は、測量費用・仲介手数料・登記費用などです。

確定申告など税金に関する注意点

税金についても持分割合に応じて、各共有者が分割して負担する必要があります。
負担が考えられる税金は、固定資産税・登録免許税・譲渡所得税・相続税などです。

譲渡所得税は翌年に確定申告をし、相続税は相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告します。

また、居住用不動産についての3000万円の特別控除を共有者それぞれが受けられますので、確認しておきましょう。


不動産売却時にかかってくる税金に関しては、↓の記事で詳しく解説しています。節税ノウハウに関しても紹介しています。利用できる節税ノウハウは利用しないと損なので、ぜひご確認ください。

不動産を売却する時は、さまざまな税金が課税されます。納税はもちろん国民の義務ですが、無駄に支払う必要はありません。売却に課税される税金の種類と税額の計算方法と共に節税対策を理解しておくべきです。納め過ぎた税金を取り戻すのは難しいのですから。

無償で名義変更すると贈与扱いに

自分の持分を無償で他の共有者へ名義変更すると、税務署で贈与と判断され贈与税の対象になります。

便宜上、他の共有者へ無償で名義変更をした後、売却できたら代金を分割したとしても贈与と判断され、贈与を受けた人に贈与税が課税(贈与により取得した財産の合計が110万円以下の場合は非課税)されてしまうので、注意が必要です。

相続の場合は換価分割

相続の場合、相続人のうち一人を代表として単独登記し、土地の売却後に売却代金を分割する方法を使うことがあり、この方法を換価分割といいます。

換価分割の場合は贈与税の対象となりませんが、分割協議で決められた割合と異なった分配をすると対象となることもあり得るので注意しましょう。


不動産を相続すると、分け方や売却方法、税金、申告手続きなど、数多くの悩ましい問題に直面します。↓の記事では、不動産を相続してから売却・分割するまでの一連の流れを詳しく解説しています。

地方の実家を相続するケースはよくありますが、その利用や処分にお悩みではありませんか? 自分自身で家を持っていれば住むこともできませんし...

共有名義の土地に抵当権が設定されている場合

共有名義の土地に金融機関の抵当権が設定されている場合、債務者である共有者が他の共有者へ名義を変え、所有者でなくなってしまうと担保のないローンだけが残ってしまいます。


なお、抵当権の設定された不動産を売却する場合、必ず抹消登記が必要になります。抵当権抹消登記なしに引き渡すと、違約金や損害賠償を請求される可能性もありますので、ご注意ください。

抵当権に関しては、↓の記事で詳しく解説しています。

抵当権が設定されている不動産を売却する場合は、売主の義務としてその抵当権を必ず抹消登記しなければなりません。抵当権抹消なしに引き渡すと、売主として債務不履行となり、違約金や損害賠償の請求を受けたり、契約解除にまで発展することも考えられます。


事前に、金融機関へ名義変更の承諾について相談しましょう。

共有名義の土地を売却するために必要な事とは?

共有名義の土地を売却する方法と注意点について、さまざまな角度から見てきました。

土地が共有名義となるケースは、夫婦や親子で共同購入するか、あるいは相続によるケースが通常です。

夫婦、親子、兄弟姉妹など関係が良好であれば問題は発生しないのですが、一度こじれてしまうとなかなか修復できないのが厄介です。

そうなると、財産である土地や建物の売却を巡って、共有者同士の協力が得られなくなり問題が長期する、不当な安い買取価格に甘んじる、などよいことは一つもありません。

土地は、全体で一括売却することで最も価値が生まれます。自分の持分だけを売却することは不利な取引になることがほとんどですので、土地の価値を落とさずに売却できる方法をよく考え、共有者とも協力し合える態勢を作ることが大切です

万一、協力態勢が作れない時は、経済合理性に基づいて説得するとか、他の親族や共通の知人などを通して態勢構築の協力を仰ぐとかして、土地全体を一括売却できるための方法をよく考えましょう。

問題が長引けば長引くほど、二次相続などが発生して複雑化していくだけです。
短期間で共有者全員が満足できる円満な売却方法を目指しましょう。

以上、共有名義の土地を売却する3つの方法と5つの注意点…でした。

 

不動産を売るなら無料の一括査定サービスの利用を忘れずに!

  不動産の査定価格は、どの不動産会社でも同じではありません。
1社だけでは競争原理が働かないので、高く売りたいなら必ず複数の会社に査定依頼してください。
 
その上で、価格だけでなく、説明が丁寧で実績のある不動産会社を選ぶようにしましょう。 価格査定には、複数の会社にいっぺんに査定依頼できる不動産一括査定サービスが便利です。
 
実際に、LIFULL HOME'S PRESSの調査(調査対象:売却を経験したことのある20代~60代までの男女541人)によると、活用した情報ランキング1位は「複数の不動産会社に依頼や相談ができるサイト(一括見積もりサイトなど)」(38.6%)でした。
 
さらに、売却を依頼した不動産会社に対する評価は、一括見積もりサイトから問合せた会社に依頼した人は、「とても親身になってくれて、いい関係が築けた」が61.4%で、他が4割台であるのに対して多いという結果が出ています。
 
査定依頼したからといって、必ず売却を依頼しなければならないわけではありません。「ちょっと我が家の相場を確認したい」といった時に利用してもOKですよ。

⇒ 無料の一括査定サービス(HOME's)を見てみる

コメントの入力は終了しました。