不動産を売却する経験は一生に一度かもしれませんが、その大きな取引に失敗すると損失金額も大きくなってしまいます。
そこで、今回は不動産売却の完全ガイドをご紹介します!不動産を売る手順や注意点など、さまざまなポイントを解説しています。
売却を焦らずに、しっかりと準備して成功させましょう!
初めての方でもわかりやすく、不動産売却の流れが掴める内容になっています。ぜひお役立てください。
不動産を売却するときの流れ
まずは、不動産売却の全体的な流れを把握しましょう。全体像は順番にこのようになります。
- 相場を調べる
- 査定依頼する
- 不動産会社を選定する
- 媒介契約を結ぶ
- 売却活動開始
- 申し込みを受ける
- 売買契約
- 引き渡し
不動産の売却方法をかんたんに解説すると、まず価格相場を調べるところから始めます。
そして、相場を頭に入れた上で複数の不動産会社に査定依頼しましょう。
各社からの査定額と査定根拠、対応の早さや信頼感などを比較して不動産会社を選定し、媒介契約を結べば売却活動スタート。
さらに、申込者と交渉をおこない売買契約を締結し、物件引き渡しをして売却完了となります。
ここからは、各段階ごとのポイントを解説していきます。
不動産の相場価格の調べ方
売却予定の不動産の相場価格の調べ方について確認しましょう。
なぜ最初に相場を調べる必要があるかというと、のちのち不動産会社から提示される「査定の根拠」を見極めるために必要な情報だからです。相場を調べるには、このような方法があります。
不動産系ポータルサイトで売り出し価格を調べる
もっともかんたんな方法は、SUUMOやHOME'sといった不動産系ポータルサイトを使って、売却する不動産周辺の売出し物件を検索することです。
土地なら土地、マンションならマンションと、同じ種類の物件を調べてみましょう。きっと、おおよその相場が分かるはずです。
ただし、ここで掲載されているのは成約価格ではなく売出し価格であることに注意してください。中古不動産は売り出し価格から値引きされることが多いので、実際の成約価格とはズレがあります。
REINSや土地総合情報システムで成約価格を確認する
過去の成約価格(取引価格)を確認するなら、こちらの2つのサイトを利用しましょう。
これらのサイトで周辺物件の成約価格を確認しておくことで相場感が養われます。
不動産会社の査定額も「成約価格」をベースにしているので、相場が分かると査定価格が妥当なものかが判断しやすくなるでしょう。
不動産の査定依頼をする
相場感を身に着けたら、次は不動産会社に査定依頼しましょう。
売却活動を主導するのは不動産会社ですが、物件の販売力は不動産会社によって大きく異なります。査定依頼は不動産会社選びの第一ステップとして大変重要なのです。
仲介と買取の違いは?
査定依頼の方法を解説する前に、仲介と買取の違いを解説します。
なぜなら、両者の違いを理解しないと適切な査定依頼ができないからです。
かんたんにいうと、仲介は不動産会社に買主を見つけてきてもらうことで、買取は不動産会社自身が不動産を購入することです。
仲介と買取にはこのような違いがあります。
- 売却価格:仲介の方が高い
- 売却スピード:買取の方が早い
- 売却の手間:買取は手間がかからない
買取の場合は不動産会社が転売目的で購入するので、仲介の7割程度まで価格が下がるでしょう。この点は、買取のもっとも大きなデメリットです。
とはいえ、買取では不動産会社が購入を即決するので売却スピードが早く、売主の手間もかかりません。
このように買取にもメリットはありますが売却価格が大きく下がるので、通常は仲介で売却した方がよいでしょう。
買取を選択するのは、どうしても早く現金化しなければならないといった特殊な事情があるときです。ただし、そのような場合でも、まずは仲介と買取両方の査定額を確認してから判断しましょう。
参考 不動産買取を利用する際には、下記記事で解説しているようなメリットとデメリット、注意点などをよく理解しておきましょう。
査定依頼の方法
査定依頼のポイントは2つあります。
- 複数社に査定依頼する
- 一括査定サイトを利用する
なるべく手間と時間をかけずに、複数社にまとめて査定依頼しましょう。
複数社に査定依頼する
不動産会社によって査定額は異なります。
一社だけではその査定額が信頼できるかどうか判断できません。
必ず複数の不動産会社に査定依頼しましょう。
ただし、査定依頼先が多すぎてもかえって混乱してしまうので、5~7社程度に絞って査定依頼することをおすすめします。
一括査定サイトを利用する
査定依頼の際には一括査定サイトを利用しましょう。今や、不動産や車の査定依頼には一括査定サイトを利用するのが一般的です。
一社ごとに不動産会社に査定依頼するのはかなりの時間と手間がかかりますが、一括査定サイトを利用すれば、物件情報などを一度入力するだけで5社くらいの不動産会社に同時に査定依頼できます。
どの不動産会社も1~2営業日ほどで査定結果を連絡してくるでしょう。一括査定サイトを利用すれば同時期にいっぺんに査定結果が出てくるので、不動産会社を比較しやすいのも大きなメリットです。
家や土地、マンションであれば、NTTデータグループが運営する大手不動産ポータルサイトのHOME4U不動産売却の一括査定を利用すれば問題ないでしょう。
参考 不動産一括査定サイトは、誰でもかんたんに利用することができます。下記記事では、一括査定サイトを利用することのメリットとデメリットを詳しく解説すると共に、具体的な利用の流れを画像付きで紹介しています。
信頼できる不動産会社選び
査定依頼の次はいよいよ不動産会社の選定です。選定の際のポイントは、査定額の高さだけでなく「査定額の根拠」を確認して比較することです。
それでは具体的な選定方法を見ていきましょう。
査定金額だけで選んではいけない
一括査定サイトで査定依頼したところ、たとえばA社が3,000万円、B社が2,900万円、C社が3,200万円の査定額だったとします。
査定額だけなら一番高いC社を選びますよね。
一番安いB社よりC社のほうが300万円も高いので、C社を選びたくなる気持ちは分かります。
一見すると、査定金額が高い不動産会社のほうが販売力の高い会社のように見えるでしょう。
しかし、査定額は「売却の目安」でしかないので、その金額で必ずしも売却できるとは限りません。
なかには媒介契約を結ぶために、あえて本来より高めの査定額を提示してくる不動産会社もあります。そのような会社は、売却活動の途中で「反応が鈍いので値下げしましょう」と打診してくる可能性が高いでしょう。
そこで、査定額の根拠を確認して、信頼できる不動産会社かどうかを確認する必要があるのです。
査定根拠を比較する方法
査定額の根拠を比較するには以下3点を確認しましょう。
- 成約事例
- 売却実績
- 競合物件
査定額にこの3つの要素が入っていなければ、根拠の薄い査定額といえます。
まずは、成約事例をもとにしていないのは根拠ゼロなので論外です。
逆に、成約事例を根拠としているだけでなく、自社の売却実績を参考事例として提示できるなら、その会社は当該エリアにおける独自ノウハウを持っていると考えられます。
さらに、競合物件も考慮に入れているかどうかチェックしてください。成約事例をもとにしていても、実際の取引価格は現在の競合物件によって左右されるからです。
以上3点を確認した上で、もっとも査定根拠に納得感があり信頼できる不動産会社を選びましょう。
不動産の媒介契約の種類と特徴
信頼できる不動産会社が見つかったら媒介契約を結びます。媒介契約には3種類ありますが、契約前にその違いと特徴を理解しておきましょう。
媒介契約の違いと特徴
3種類の媒介契約の特徴をまとめるとこのようになります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
契約できる会社 | 複数社と可能 | 1社のみ | 1社のみ |
自分で買い手を見つけて売却 | できる | できる | 仲介を通さなければならない |
契約期間 | 規定なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
依頼主への報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
不動産流通機構(レインズ)への登録義務 | なし | 契約から7日以内に | 契約から5日以内に |
専属専任媒介契約と専任媒介契約をまとめて「専任系媒介契約」といいます。
両者のもっとも大きな違いは自分で買い手を見つけて売却できるか否かで、他に大きな違いはありません。
「専任系媒介契約」と一般媒介契約とでは異なる点が多く、とりわけ大きいのが複数の不動産会社と契約できるか否かです。
専任系媒介契約のメリット
専任系媒介契約では、売却が決まると必ず仲介手数料が手に入ることから、不動産会社は迷うことなく広告費と人件費を投下できます。
集客力と成約率も上がるので、不動産を売却しやすくなるでしょう。
専任系媒介契約のデメリット
いっぽうで、買主を自社で見つけなくても売主からの仲介手数料は必ず手に入るという安心感から、売却活動をおざなりにする業者も存在します。
また、売主と買主双方から仲介手数料を獲得する、いわゆる「両手」を狙って物件情報を隠したり、他社からの問い合わせをもっともらしい理由をつけて断ってしまうなどの「囲い込み」をする悪質業者も少なくありません。
囲い込みは、売主に対する重大な背信行為ですが、不動産業界ではいまだにこのような行為が横行しているのが現実です。
参考 下記記事では、囲い込みの実態と売主にできる防止策を紹介しています。囲い込みの被害に遭わないよう、しっかりと知識を身につけて自己防衛してください。
専任系媒介契約を結ぶ際には、このようなメリットとデメリットがあることに注意してください。
両手仲介狙いの囲い込みによる不利益を回避するには、100%売り手の味方になってくれる片手仲介専門の不動産会社を利用するのも有効な手段です。
ソニーグループのSRE不動産は、「片手仲介」を採用し「囲い込み」を行わないことを公式に宣言していることで有名な会社です。
実際に利用されたお客様の満足度も非常に高い(92.9%)不動産会社なので、首都圏の物件売却をご検討の方は、まずは査定依頼してみるとよいでしょう。
ソニーグループのSRE不動産また、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県のマンション売却をお考えなら、RENOSY スマート売却 も選択肢に入れておきましょう。透明性の高い売却活動で、囲い込みをしない不動産売却サービスです。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
信頼できる2社と一般媒介契約がおすすめ!
そこでおすすめなのが、信頼できる2社と一般媒介契約を結ぶことです。
ただし、3社以上はやめたほうがよいでしょう。
売却活動の際には、チラシをまいたりネットに物件を掲載したりといった広告活動が行われます。
問い合わせへの対応や内見の案内など、営業マンの人件費もかかってきます。
このような不動産の売却活動における経費は、基本的に不動産会社が全額負担しています。
ところが、他社が売買を成立させてしまうと、それまでにかけた経費がすべて無駄になってしまいます。
しかし、2社との媒介契約であれば自社が売買を成立させる可能性は十分ありますし、競争原理も働くので、より早く高く売れるようになるはずです。
ところが、3社以上と契約してしまうと仲介手数料を得られる可能性が低いため、費用をかけてまで売却活動する気にはならないでしょう。
参考 それぞれの媒介契約のメリットやデメリットに関しては、下記記事で詳しく解説しています。
不動産の売却活動
不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ売却活動スタートです。売却活動はおおむね3ヶ月くらいと思ってください。
基本的に売却活動を主導するのは不動産会社ですが、売主も最大限協力するようにしましょう。
売却活動で行うこと
売却活動では主にこのようなことを行います。
- 広告を打って集客する
- 営業マンが日程調整をする
- 内覧(物件見学)を受ける
- 購入希望者と交渉する
基本的に売却活動を手動するのは不動産会社の営業マンですが、売主にも協力できることはたくさんあります。
まず、広告に関しては「実際に住んでみたときの魅力」を売主ならではの視点で営業マンに伝えましょう。その情報はきっと広告や営業トークに反映されるはずです。
また、内覧の日程は平日も含めてなるべく受けられるよう調整しましょう。
とくに内覧希望者が殺到する販売してすぐの時期は、土日は毎回内覧者が来ることを想定しておくべきです。
内覧前には、水周りを綺麗にしておく、不用品を処分したり整理整頓して家の中を広く見えるようにしておく、すべての明かりを点けて部屋の中を明るくしておく、といったことを心がけてください。
参考 内覧は成約のカギを握るたいへん重要なプロセスです。下記記事では、内覧成功のコツを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
また、購入希望者との交渉時には、「値引きを許容する金額」と「引き渡し限度時期」を営業マンに前もって伝えておくことが重要です。
その2点を営業マンが把握していた方が、購入希望者との交渉もスムーズに進むからです。
参考 不動産をできるだけ高く売却するには、事前に周到な価格戦略を立てておくことです。下記記事では、適切な相場の見極めや、効果的な値下げ幅、値下げのタイミングなど、より具体的な価格戦略を解説しています。
購入の申し込みを受ける
購入希望者との交渉がまとまり、売却価格と引渡日が決まったら、いよいよ申し込みを受けて売買契約の締結となります。なお、申し込みと契約は別物で、それぞれ注意点があるので気をつけてください。
申し込みとは?
申し込みとは、売買契約を締結する前提で買主が不動産を押さえる行為です。
つまり、申し込みが入ると、他の人がその物件の購入を申し込んでも二番手の扱いになります。
通常は不動産会社が申込書を用意し、購入希望者はその書面に署名・捺印をします。
申込時に決めること
このようなことを売主と買主とで合意した上で申込書をもらいます。
- 売却金額
- 手付金
- 引き渡し時期
とりわけ手付金は重要なので、その効果をよく理解しておきましょう。
手付金の効果
手付金は売買契約を一方的に解除したときの違約金になります。
つまり、買主が自己都合で売買契約を解除した場合、売主は買主の手付金を没収することができます。
いっぽう、売主が自己都合で契約解除する場合は、預かっている手付金を返還し、かつ手付金と同額を買主に支払う必要があります。
手付金額の上限
手付金は申込~契約までに買主から預かるお金になります。
あくまで預り金なので、売却金額に充当するか、充当しない場合は引き渡し時に買主へ返還します。
なお、手付金は売買代金の20%が上限になります。
手付金額の設定
前述したように、手付金は契約解除の違約金になるので、売主としてはできるだけ高い金額に設定したいところです。とはいえ、売却代金の20%は買主にとって負担が大きいので、通常は5%~10%程度になります。
ただ、契約後の解約リスクを少しでも減らすよう、なるべく高額に設定するように営業マンに伝えておきましょう。
不動産売買契約のポイント
申し込みを受けて手付金の入金を確認したら、売買契約の締結です。実際に売買契約で行うことや注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。
売買契約で行うこと
売買契約はこのような流れで行われます。
- 買主に対しての重要事項説明
- 売買契約書に署名・捺印して契約締結
重要事項説明は、宅建士の資格を持った営業マンが行います。
買主が重要事項説明の内容に異論がなければ、そのまま売買契約書を締結することになります。
基本的には不動産会社の営業マンが主導するので、売主が特別準備するものはありません。当日は印鑑を持参し売買契約書に署名・捺印するだけです。
重要事項説明がどれぐらいかかるかは買主の質問量に比例しますが、おおむね2~3時間程度で終わるでしょう。
契約での注意点
売買契約を結ぶ上で売主が気をつけることは、契約の日程です。
契約の日程に特段決まりはありませんが、たいていは申し込みから1週間以内に設定します。
契約解除には手付金没収のペナルティがありますが、申し込みキャンセルにはペナルティはありません。
ですから、なるべく契約日を早く設定することで、申し込みキャンセルを防ぎましょう。できれば、土日に申し込みを受けたら、翌週の火曜~水曜に契約するのが理想的です。
少なくとも契約日が申し込みから1週間以上経過しないようにしましょう。
売却物件の引き渡し
契約完了後、およそ1ヶ月前後で物件の引き渡しを行います。引き渡しの際に登記上の名義も変更され、晴れて不動産は買主の所有になります。
売主は引き渡し前にやることが意外に多いので、事前に把握しておきましょう。
引き渡し前にやること
ローン残債があるなら完済手続きが必要です。
ローンを組んでいる金融機関が不動産に抵当権を設定しているので、ローンを完済して抵当権を抹消します。
なお、抵当権の設定された不動産を売却する場合、必ず抹消登記が必要になります。抵当権抹消登記なしに引き渡すと、違約金や損害賠償を請求される可能性もありますので、ご注意ください。
参考抵当権に関しては、下記記事で詳しく解説しています。
その手続きのため、事前に金融機関と話し合う必要があるでしょう。金融機関にもよりますが、開店している平日の時間帯しか受付を行っていない場合もあります。予約制でない場合も多いので、所要時間が読めない点も気をつけてください。
会社員の方などは平日に1~2時間程度の時間を確保する必要があるため、金融機関に事前に連絡をして手続き方法を確認しておきましょう。
引き渡し当日
引き渡し当日の流れはこのようになります。
- 不動産会社のオフィスなどに集まる
- 売買代金の振込確認
- 各書面に署名と捺印
- 金融機関へ行き抵当権抹消書類を受け取る
- 法務局で登記手続き
売買代金の振り込みと登記の関係上、引渡しは基本的に平日に行われます。
上記のうち、法務局での手続きは売主が動く必要はありませんが、それでも1時間程度はかかるでしょう。
どうしても出席が難しい場合は、委任状で親類を代理人に設定するなどの対応が必要になります。
不動産を売却する全体の流れを把握しよう
家や土地を売却する際には、売却方法と全体の流れをあらかじめ把握しておきましょう。
売却過程での細かな点は、不動産会社と相談しながら進めていくことをおすすめします。不動産の売却は手間と時間のかかる作業ですが、信頼できる不動産会社としっかり協力し合いながら進めていくとよいでしょう。
以上、家・マンション・土地を売る手順とは?初心者向けに売却の流れを解説・・・でした。
参考記事 信頼できる不動産業者の探し方を知りたい…という方は下記記事も参考に。一括査定サイトを利用すると、そのような業者が見つかる可能性も高くなりますよ。
不動産一括査定サービスの利用も忘れずに!
価格査定と不動産会社探しには、複数の会社にいっぺんに査定依頼できる不動産一括査定サービスが便利。今や不動産や自動車の売却には一括査定サービスを使うのが常識です。 
一般的な家や土地なら、大手不動産ポータルサイトのHOME4U不動産売却の一括査定で問題ありません。特殊な物件に関しては、「物件タイプ別不動産一括査定サービスの選び方」をご確認ください。