不動産売却時の仲介手数料は値引きできるの?値引きする方法と注意するべきこと

不動産を売却する時に、仲介手数料を支払わなければならないことは知られていますが、

「仲介手数料って高いなー」

と思いませんか?

仲介手数料は、100万円を超える金額になることもよくあるため、高いと感じるのも無理はありません。

少しでも安くしてもらえれば助かりますが、果たして値引きはできるのでしょうか?

何の知識もなしに値引き交渉をしても効果は上がりませんので、この記事を読んで仲介手数料の中身や値引き方法などについて理解したうえで判断しましょう。

不動産売却時の仲介手数料の決まりごと

戸建てやマンションなど、不動産の売却を不動産業者へ依頼すると、売主はその不動産業者へ仲介手数料を支払うことになります。

まずは、この仲介手数料の中身について説明していきます。

仲介手数料は上限が定められている

不動産売買における仲介手数料の計算式は、「売買価格×3%+6万円(消費税別)」という形で広く知られていますが、この6万円とはいったい何でしょうか?
簡単におさらいしましょう。

国土交通省により、「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)が規定されており、不動産業者が宅地建物の売買・交換の代理・媒介を行って受けることができる報酬の上限額を定めています。


<仲介手数料の上限額>

売買代金媒介報酬額(消費税を除く)
200万円以下の部分5%
200万円を超え400万円以下の部分4%
400万円を超える部分3%


そこで、自宅マンションを1,000万円で不動産業者の仲介で売却した場合を例に考えてみます。

<仲介手数料の上限額>の表により計算すると、

200万円×5%+200万円×4%+600万円×3%
=10万円+8万円+18万円
=36万円(消費税別)

となります。

この計算式は、下記の通り置き換えられます。

200万円×(3%+2%)+200万円×(3%+1%)+600万円×3%
=200万円×3%+4万円+200万円×3%+2万円+600万円×3%
=36万円(消費税別)

これを表でまとめてみます。

売買代金売買代金1,000万円の場合媒介報酬額(消費税を除く)内訳(消費税を除く)
200万円以下の部分200万円5%(3%+2%)6万円+4万円
200万円を超え400万円以下の部分200万円4%(3%+1%)6万円+2万円
400万円を超える部分600万円3%18万円

この表から、売買代金が400万円を超える場合、仲介手数料の料率を3%で考えると、200万円以下の部分に対する報酬額は3%+4万円、200万円を超え400万円以下の部分に対する報酬額は3%+2万円、400万円超の部分に対する報酬額は3%となることがわかります。


<仲介手数料・内訳のイメージ>


つまり、売買代金が400万円を超える場合は、売買代金×3%+6万円という速算式で仲介手数料の金額を計算できるのです。

そして、ここで注意したいのは、この速算式で求められるのは「不動産業者が受け取ることができる仲介手数料の上限」だということです。
この金額以下であっても法律上はまったく問題ありません。

すなわち、この計算式で求められる金額以下であれば問題ないため、あとは不動産業者の判断に任されることになります。

しかし、財閥系不動産業者(三井・三菱・住友など)や大手系不動産業者(野村・大京など)を筆頭に、多くの不動産業者は上限額を請求することが一般的で、この仲介手数料の仕組みやルールについて説明することもほぼありません。

したがって、一般の人は仲介手数料の仕組みやルールについて知る機会がないため、売却する時も購入する時もごく自然に上限額を支払っているというのが現状です。

このことは、平成27年1月に一般社団法人「土地総合研究所」が全国の不動産業者に対して行った、「不動産業についてのアンケート調査」の結果にも表れています。


※引用元:一般社団法人 土地総合研究所HP 不動産業についてのアンケート調査 P13【PDF】


「不動産仲介の実際の手数料の額はどうなっていますか」という問いについて、83.8%の不動産業者が「上限額を請求している」ことがわかります。

それに対して、「状況に応じて低くしている」という不動産業者は7.7%にとどまっています。


※引用元:一般社団法人 土地総合研究所HP 不動産業についてのアンケート調査 P14【PDF】


次に、仲介手数料率をみると、3%超4%以下が最多の26%となり、料率3%以下は30%であるが、料率4%を超える回答が70%と多数を占めていることから、「両手仲介」が多いことも推測されます。

ちなみに、アメリカでは不動産を売却する人が約6%の仲介手数料をエージェント(仲介人)に支払い、購入する人は無料(0%)というシステムになっています。

購入側のエージェントは、売却側のエージェントと仲介手数料をシェアすることになります。

また、現在、空き家問題などの解消に国家的に取り組んでいます。

そのため、「低廉な空き家等の売買に関する特例」により、低廉な空き家などの売買において、通常と比較して現地調査などの費用が多く発生する場合、空き家の売主などから受け取れる仲介手数料は、上限額と現地調査などの費用を合計した額(上限は18万円+消費税)までとなっています。

これらの金額については、事前に両者間で合意する必要があります。


なお、売主の無知につけ込んで仲介手数料以外の費用を請求してきたりする悪質業者もいますので、↓の記事で仲介手数料の基本的なことを確認しておいてください。

不動産業者が売買契約を成約させた場合、売り主は仲介手数料を払います。もうひとつ、買主が不動産業者に支払うものもあります。両方とも仲介手数料ですが、支払う人が違うだけで売却価格によって計算され、法的に「上限」が定められています。

仲介手数料に含まれている不動産業者のコスト

不動産売却を仲介する際 、不動産業者が負担しているコストはどのようなものがあるのか、具体的に説明します。

物件調査費用

不動産を売却する時に、不動産業者は物件の状態や権利関係、法令上の制限など、基本的な調査を行います。

売主の代理人として、買い手側の問い合わせや質問に答えられなければなりませんし、リスクについてもきちんと把握しておかなければいけないため、現地・法務局・役所を中心に、必要に応じて関係各所にも調査に行きます。

そのため、謄本や各種資料、証明書の取得費用、コピー代などのコストが発生します。

交通費

物件調査や内覧立会いなど、移動するための交通費が発生します。

広告宣伝費

物件情報を広く周知するため、SUUMOやアットホームなどの不動産ポータルサイトへ物件広告を掲載します。そのため、広告料を各ポータルサイトへ支払いますが、人件費に次ぐ高額なコストとなります。

人件費

不動産を売却するためには、物件査定、物件調査、内覧立会い、販売図面作成、広告資料作成、媒介業務報告書作成、買い手サイドとの条件交渉、重要事項説明書作成、司法書士との連携、金融機関などとの折衝など、時間やマンパワーが必要なこともあり、人件費がそれだけ発生します。

その他費用

物件査定をより正確にするために有料データを利用するなど、独自にコストを負担している場合もあります。


一番大きなコストは人件費ということになりますが、不動産売却が成約するまではそれなりに費用が発生することがわかります。

仲介手数料は「成功報酬」

仲介手数料は、弁護士費用やM&A仲介料、建築請負契約と違って「成功報酬」のため、 売買契約締結時まで発生しません。

弁護士に業務や事件を依頼した場合には、「着手金」と「成功報酬」とに分かれますが、「着手金」は弁護士費用の一部として依頼した時に支払い、結果の成功・不成功にかかわらず戻ってきません。

マイホームを建築する時なども、契約時30%・上棟時30%・引渡し時40%など、作業実績に応じて支払うことが多いです。

しかし、不動産の仲介業務においては、物件の売買契約が成立しなければ、いくらコストをかけたとしても報酬は1円ももらえないこととなっているのです。

不動産業者にとっては、媒介契約を締結すれば前述のコストが発生してくるため、売れなければ大きな赤字となるリスクがあります。

仲介手数料はいつ支払う?

仲介手数料が成功報酬であることはわかりましたが、実際にはいつ支払えばいいのでしょうか。
仲介手数料を支払うタイミングについて説明します。

不動産売却を不動産業者へ依頼する時に、媒介契約を締結します。
この時締結する媒介契約書において、仲介手数料支払いのタイミングが規定されています。


<媒介契約約款より>


実務的には、売買契約締結時に半金、決済引渡し時に残りの半金を支払うパターンが多いですが、状況によっては決済引渡し時に全額、というケースもあります。

仲介手数料の支払い時期については、媒介契約書に明確に記載してもらいましょう。

宅地建物取引業を管轄する国土交通省は、「売買契約が成立した時に半金、媒介の責任を完了した時に残金を受領」することを、不動産業者に指導しています。

ただし、売買契約が停止条件付契約の場合は、停止条件が解消されてからでないと仲介手数料を請求することはできません。

仲介手数料の値引きをアピールする不動産業者

近年、「仲介手数料、半額!」「無料!」など仲介手数料の値引きをセールスポイントにする不動産業者も現れてきていますが、不動産仲介の唯一の収入である仲介手数料が無料とは、どのようなカラクリがあるのでしょうか。

ここでは、その実態に迫っていきます。

値引きのカラクリ

まず、一般的な不動産売買の仲介手数料の支払いは下記の通りになります。


売主側・買主側にそれぞれ不動産業者がついており、それぞれに仲介手数料を支払います。

仲介手数料の無料や値引きをアピールするケースは、以下の2通りが主流です。

媒介業者が1社で、売主が不動産業者の場合


売主が戸建て開発業者などの不動産業者の場合、売主からは必ず仲介手数料が受け取れますので、新築住宅などを購入する一般個人である買主の仲介手数料を、無料または値引きするケースがあります。

媒介業者が1社で、買主が不動産業者の場合


買主が買取り業者などの不動産業者の場合、買主からは必ず仲介手数料が受け取れます。買取りにより売却価格が低くなることもあるため、売主の仲介手数料を無料または値引きするケースが多く見られます。

いずれも特徴は、契約当事者の一方が不動産業者であり、媒介業者も1社だけというケースです。

前述の一般的な取引の場合、不動産業者が自主的に仲介手数料の値引きをするケースはまだ少ないですが、

  • 仲介手数料の計算をパーセンテージでなく工数+経費に応じて計算する
  • 売買価格によって段階的に仲介手数料を固定報酬で設定する

など、工夫をしながら差別化を図る不動産業者も出てきています。

値引きする業者を利用する際の注意点

仲介手数料の値引きを謳う不動産業者にも気を付けるべき点があります。

まず、売主の仲介手数料を無料または値引きする場合、買主は買取り業者のため売買価格は必ず安くなります

買取り業者は転売が目的ですので、リフォーム費用や利益を差し引いて買取り価格を算定するからです。

どうしても急いで売却したい場合や瑕疵担保責任などが気になる場合以外は、仲介手数料を満額支払っても、一般向けに高い価格で売却する方がベターです。

反対に、買主の仲介手数料を無料または割引する場合、売主が不動産業者でないとタダ働きになってしまうため、売主が不動産業者の物件しか紹介されません 。

売主が不動産業者ということは、経費や利益が売買価格に上乗せされているため、割高な物件を購入することになります。

次に、仲介手数料は無料または割引を謳いつつも、コンサルティング料や広告料など、その他の名目で費用を請求してくるケースもあります。契約外の費用は支払う必要はないため、安易に支払うことのないように注意しましょう。

仲介手数料を値引きする方法

続いて、仲介手数料をスマートに値引きする方法について紹介します。

勤務先と取引関係にある不動産業者に依頼する

勤務先企業の福利厚生として、提携するフィットネスクラブが割引で使えたり、提携の旅館やホテルに割安で宿泊できたりするのと同様に、勤務先企業が取引している不動産業者から値引きを受けられる場合があります。

例えば、社員がマイホームを購入したり、自宅を売却したりする場合に提携業者へ依頼すれば仲介手数料を20%割引する、などの恩恵が受けられるのです。

勤務先企業と提携している不動産業者があるかどうか、確認してみましょう。

株主優待を使う

上場している不動産会社が、株主向けに仲介手数料割引の株主優待を与えている場合があります。

そういった会社の株主であれば、その優待を受けることができます。
あるいは、身内などに株主がいる場合は、譲ってもらうことも可能でしょう。

ただし、決算期末や中間決算期末などの権利確定日に現物株を保有していなければ、株主優待は受けられません。

友人知人のコネを使う

友人知人に不動産業者がいる場合、気軽に手数料割引の条件で売却の依頼を打診することができるでしょう。

個人経営規模の小さな業者であれば、人件費などのコストもそれほどかからないため、快く受けてもらえるケースもあります。

専任媒介契約を条件に値引き交渉する

売却を依頼する時に、専任媒介契約を締結することとして、その交換条件に仲介手数料の値引きを交渉する方法があります。

媒介契約には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介と3種類の契約形態があります。
このうち、専任媒介と専属専任媒介は重ねて他の不動産業者へ依頼することができない契約です。

すなわち、専任媒介か専属専任媒介を締結すれば、売主から仲介手数料を受け取ることは確定するため、不動産業者にとっては大変有利な契約となります。

※ただし、専任契約の場合は、自己発見取引(売主自身が買主を見つけること)が認められています。

そのため、不動産業者にとって有利な条件を交渉の材料として、手数料の値引き交渉が可能となります。


一般媒介、専任媒介、専属専任媒介には、それぞれメリットとデメリットがあり、物件によって向き不向きがあります。詳しくは↓の記事で解説しています。

不動産業者に売却を依頼する際の媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。レインズ登録義務や自己発見取引の可否など、それぞれの違いとメリット・デメリットをよく確認し、物件に最適な媒介契約を結ぶことが売却成功につながります。

値引き交渉から生じるリスクとは?

ここでは、仲介手数料の値引き交渉をして、値引きに成功した場合のリスクについて説明します。

売却活動の質が下がる

不動産業者(特に零細・中小)においては、給料を占める大きな割合が歩合給という社員が多くいます。もちろんその源泉となるのが仲介手数料ですので、それが値切られるということは大げさに言えば死活問題となるのです。

そのため、仲介手数料の値引きをした場合、担当者のモチベーションが低下することが考えられます。

担当者のモチベーションが下がれば、

  • あなたの物件の優先順位が下がり、真っ先に紹介してくれない
  • 広告活動が十分に行えない
  • 物件周知や情報発信が鈍くなる

など売却活動の質が下がるリスクが生じます。

その結果、成約までの時間が長くなったり、値下げの打診を受けたりすることとなります。

両手仲介を狙うための囲い込みの危険性

売主からの仲介手数料が値下げされれば、両手仲介(買主も自社で探す取引)を狙う可能性が高くなります 。

その結果、物件の囲い込みが発生し、

  • 物件周知や情報発信が不十分になる
  • 他の不動産業者へ物件を紹介しなくなる
  • 自社で成約させるように売買価格の値下げを要求

などのリスクが生じます。


囲い込みは、売主に対する重大な背信行為ですが、不動産業界ではいまだにこのような行為が横行しているのが現実です。

↓の記事では、囲い込みの実態と売主にできる防止策を紹介しています。囲い込みの被害に遭わないよう、しっかりと知識を身につけて自己防衛してください。

不動産(マンションや家)の売却の際に問題となる囲い込みの実態と対策について解説。利益相反がもたらす業界の構造的な問題が背景にあり、とくに専任媒介や専属専任媒介契約の際に起こりやすい。両手仲介を狙う不動産業者の囲い込みは売主の利益を害するものです。


最後に、例を挙げて値引き交渉の効果について見てみましょう。

仮に、1,000万円でマンションの売却を依頼して、仲介手数料を半額にしてもらったとすると、

仲介手数料
(1,000万円×3%+6万円)×50%=18万円(税別)
手元に残る金額
1,000万円-18万円=982万円

一方、仲介手数料を満額支払う約束をし、不動産業者に頑張ってもらって、1,050万円で売却できたとすると、

仲介手数料
1,050万円×3%+6万円=37.5万円(税別)
手元に残る金額
1,050万円-37.5万円=1,012.5万円

これを見ると、たとえ仲介手数料を半額にしてもらっても、売買価格が5%高くなった方が手元に残るお金は増えることになります。

「損して得取れ」の精神で

仲介手数料は売買価格の3%程度ですので、そこをたとえゼロにしたとしても不動産業者に満額支払うことで気持ちよく働いてもらい、売買価格を5%アップさせた方が売主利益は大きくなる可能性もあり ます。

もちろん、不必要なコストは極力下げなければいけませんが、高く早く売却するための必要なコストと判断できれば、「損して得取れ」くらいの精神で考えてもよいでしょう。

むしろ 、不動産一括サイトなどを利用して、実力やスキルのある良い不動産業者に巡り合うことが売却活動の成功につながります

以上、不動産売却時の仲介手数料は値引きできるの?値引きする方法と注意するべきこと… でした。

 

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