借地人が借地権付き建物を高く売却する方法と6つのポイント

この記事をご覧になっているということは、ひょっとすると借地権付き建物を相続されたのでしょうか?

「借地権」と聞くと、「なんか難しそうだな。面倒だな。」と思いませんか?

そう感じるのも、もっともです。じつは、プロである不動産業者でさえ、借地権の専門知識や取引スキルに欠けた業者が少なくないのですから…。


とはいえ、借地権付き建物を売却する必要に迫られているなら、そうは言っていられませんよね。

そこで今回は、借地権の種類や特徴、借地権を売却する方法や注意点などを、できるだけ分かりやすく解説します。ぜひ、借地権付き建物を売却する際の参考にしてください。

借地権と底地について

借地権は、平成4年8月以前から借地をしている場合と平成4年8月以降から借地をしている場合とで種類が分かれます。また、平成4年8月には新しく定期借地権という権利も創設されました。

まずは、借地権と底地について説明します。

借地権・底地とは?

借地権とは「第三者の土地を借りて地代を支払い、その土地に自分名義の建物を建てることができる権利」のことです。借地権には「賃借権」と「地上権」の2つがありますが、一般的な借地権はほとんどが「賃借権」です。

この場合、その土地のことを「底地」と言い、「底地」を所有している人を「地主(土地所有者)」と言います。
また、土地を借りて建物を所有している人を「借地人(借地権者)」と言います。

「底地」は借地権が付いていることにより、地主の土地を利用する権利が制限されているため、地主・借地人両者の権利関係が複雑になっています。


<借地権と底地のイメージ>

借地権の種類

平成4年8月より借地借家法(新法)が施行され、定期借地権も新たに創設されました。それ以前までは旧法の借地法が適用されていたため、現在は、旧法借地権・普通借地権(新法)・定期借地権の3種類の借地権が混在しています。

それぞれについて確認してみましょう。


<借地権の種類>


旧法借地権

旧法借地権は借地人の権利が非常に強い借地権です。現在契約されている借地権は、ほとんどが旧法借地権と言われています。

契約期間の定めはありますが、地主側に正当な事由がない限り更新拒否はできないので、 半永久的に土地を借りることができます。

建物が堅固建物(鉄骨造や鉄筋コンクリート造など)の場合は30年以上、非堅固建物(木造など)の場合は20年以上と存続期間が定められています。

借地権の存続期間が満了する場合、借地人は、建物が存在していれば契約の更新を請求することができ、地主が遅滞なく異議を述べなければ契約は従前の内容で法定更新されます

更新後の存続期間は、堅固建物の場合は30年、非堅固建物の場合は20年と定められています。

また、契約期間の定めのない場合の存続期間は、堅固建物の場合は60年、非堅固建物の場合は30年となり、建物の種類や構造の定めがない場合は、非堅固建物の所有を目的とするものとみなします。

普通借地権(新法)

新法の普通借地権は、堅固建物と非堅固建物の区別がなく、存続期間は一律に30年以上となっています。

旧法と同様に、契約期間の定めはありますが、地主側に正当な解約事由 がない限り、更新をすることで半永久的に土地を借りることができます。

借地権の存続期間が満了する場合、借地人は、建物が存在していれば契約の更新を請求することができ、地主が遅滞なく異議を述べなければ契約は従前の内容に法定更新されます

更新後の存続期間は、最初の更新の場合は20年、その後の更新の場合は10年と定められています。また、契約期間の定めのない場合の存続期間は30年となります。

新法の施行前に締結された契約には新法施行後も旧法が適用され、更新後も旧法が適用されるため、注意が必要です。


<旧法借地権と新法普通借地権について>

 旧法借地権
(平成4年8月以前)
普通借地権(新法)
(平成4年8月以降)
建物の目的自由自由
存続期間堅固建物:30年以上
非堅固建物:20年以上
30年以上
更新後の存続期間堅固建物:30年
非堅固建物:20年
最初の更新:20年
その後の更新:10年
当事者による期間の定めがない場合の存続期間堅固建物:60年
非堅固建物:30年
30年
契約方法契約は書面化を必要としない契約は書面化を必要としない

定期借地権

定期借地権は法定更新ができず、借地人は契約期間満了時に建物を取り壊して、原則更地として地主に返還しなければなりません

定期借地権は、「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」の3種類に分かれます。


<定期借地権について>

 一般定期借地権建物譲渡特約付借地権
事業用定期借地権
建物の目的自由自由事業用に限る(居住用は不可
存続期間50年以上30年以上10年以上50年未満
更新後の存続期間更新なし更新なし更新なし
契約方法公正証書等の書面で契約建物譲渡特約を締結する建物の仮登記を実施公正証書により契約
備考契約満了時は更地返還契約満了時に借地人の建物を地主が買い取ることにより借地権が消滅
借地人等は譲渡した建物の賃借の継続をを請求できる(法定借家権)
契約満了時は更地返還

借地権を売却する5つの方法

借地権は第三者へ売却することが可能です。
ここでは、借地権を売却する5つの方法について説明します。

借地権を地主に売却

借地人は、地主の承諾がなければ借地権を売却することができません。
万一、地主の承諾なしに売却した場合は、地主から借地契約の解除を求められ、借地権を失う恐れがあります。

そのため、借地権を売却したい場合には、あらかじめ地主の承諾が得られるよう交渉することとなります。

その際、地主は第三者に優先してその借地権を買うことができる権利(介入権といいます)を持っています。地主にとっても土地の権利が完全な形で戻ってくるため悪い話ではなく、一番スムーズに話が進む可能性があります。

地主と共同で同時売却

借地人と地主が共同して、それぞれの権利を第三者へ同時に売却する方法です。
地主は底地を、借地人は借地権を売却することになります。

「底地+借地権」を購入した第三者は、その土地の権利を完全な形である所有権で取得することができるため、それぞれ単独で売却するときよりも高値で売却することが可能です。

地主と等価交換して売却

借地人の権利と地主の権利を借地権割合などで交換し、底地を分割して借地人と地主でお互いに所有権として土地を所有します。
そのうえで、借地人は自分の所有権になった土地を売却します。

この方法を行うためには、ある程度の土地面積があり分割可能な底地でなければなりません。

また、借地人と地主が土地の分割面積、測量費用、分筆費用、建物解体費用などについて相談のうえ合意する必要がありますが、双方にとってメリットの大きい方法と言えます。


<借地権と底地の等価交換のイメージ>

底地を買い取ってまとめて売却

底地を地主さんから買い取って、まとめて売却するという方法もあります。

借地権付き建物を単独で売却するよりも、底地を買い取って完全な状態にしてから売ったほうが、底地の買取費用を考慮しても、より高く売却できるケースは少なくありません

ケースバイケースなので必ず高値がつくとは限りませんが、地主さんの了解を得られる可能性があるなら検討してみる価値はあるでしょう。

借地権を単独で第三者に売却

地主の承諾を得たうえで、第三者に借地権を売却する方法です。
借地権売却の契約は、借地権(賃借権)と建物が一体であるため、「借地権付き建物」の売買契約となります。

地主からは、「譲渡承諾料」や「建替承諾料(次の借地人が建物を建て替える承諾のこと)」などを求められるケースがあります。

借地権の単独売却が安い理由

借地権の特徴や売却方法を理解したところで、続いて借地権の評価について確認しましょう。

借地権割合と借地権評価額

借地権は資産であり、売却して現金化することが可能です。
そのためには資産評価を行い、価格を算定しなければなりません。

借地権の評価額は、何の権利も付着していない底地の所有権更地評価額に、路線価図にて地域毎に定められている借地権割合を掛けて算定します。
路線価図は、国税庁ホームページで閲覧できます。

路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示)である路線価に、土地面積を掛けたものが相続税や贈与税を算定するための評価額であり、借地権の場合はさらに借地権割合を掛けます。

借地権割合は最大90%から最低30%までの間で、地域毎に定められています。
また、路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」を利用します。

その土地の評価を、土地所有者である底地権者と建物所有者である借地権者で分割しているイメージです。

<借地権割合イメージ>


<路線価図および借地権割合>

※引用元:国税局 路線価図・評価倍率表


<借地権評価額の算定例>
土地A(100平方メートル)の所有権更地評価額を、

100平方メートル×57万/平方メートル=5,700万円

と仮定すると、土地Aの借地権割合はC(70%)であるため、土地Aの借地権評価額は、

5,700万円×70%=3,990万円

となります。

評価額よりさらに安くなりがちな借地権

基本的に借地権と底地の同時売却の場合は、所有権という完全な権利形態になるので、一番高く売却することができます。

もちろん、借地権単独での売却も可能ですが、

  • 借地権売却時には必ず地主の承諾が必要
  • 建物を建て替える場合も地主の承諾が必要
  • 譲渡承諾料や建替承諾料などの費用が発生
  • 地主へ地代を支払う

などの、土地の利用や処分に関する制限や費用があるため、評価額より安くないとなかなか買い手を見つけることはできません。

また、金融機関による住宅ローンなど買い手の資金調達が難しいこともボトルネックであり、所有権の物件と比較した場合に、半分程度の価格になることもあります。

借地権を単独で売却する際の6つのポイント

借地権を売却する時に 注意すべき6つのポイントについて説明します。

相続に地主の承諾は不要

借地権は相続することができ、相続することに関しても、そのまま住み続けることに関しても地主の承諾は不要です。なぜなら、相続は包括承継であり、被相続人(亡くなった人)の地位をそのまま承継できるためです。

また、地主は法定相続人が借地権を相続することを拒否できず、立退きを請求することもできません。
建物の所有権は相続登記をし、名義人を変更しておく必要があります。

ただし、借地人は遺産分割協議が整ったら、書面などで「借地権を相続した」旨を通知しておきましょう。

後々のトラブル防止になるうえに、地主との良好なコミュニケーションはさまざまな売却スキームを考える際に、大変なメリットとなります。

定期借地権も相続することが可能ですが、存続期間満了時には建物を取り壊して、地主へ土地を更地返還しなければなりません。


不動産を相続すると、分け方や売却方法、税金、申告手続きなど、数多くの悩ましい問題に直面します。↓の記事では、不動産を相続してから売却・分割するまでの一連の流れを詳しく解説しています。

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建物の売却は借地権とセットで

借地権の売却は、実務的には「借地権付き建物売買契約」ということになります。

建物は、土地の利用する権利である借地権と一体であると考えられています。
もし、土地を利用する権利がないまま建物を購入したとすれば、不法占拠となり、地主から建物の撤去や土地の明け渡し請求を受けてしまいます。

そのため、借地上の建物を売却した場合は、借地権とセットで売却されたものとなります。

借地権の売却には地主の承諾が必要

借地人が、建物とともに借地権を第三者へ譲渡するには、地主の承諾が必要です。
地主の承諾を得ずに借地権を譲渡した場合、無断譲渡を理由として土地賃貸借契約を解除される可能性がありますので、注意しましょう。

また、可能な限り地主とは良好なコミュニケーションを取るようにしましょう。

承諾料の相場

借地人が第三者に借地権を譲渡する場合、地主の承諾が必要ですが、その際に譲渡承諾料(または名義書換料や名義変更料などともいう)を支払うことが一般的です。

譲渡承諾料は、通常、借地権価格(所有権更地評価額に借地権割合を掛けたもの)の10%が相場といわれて いますが、実際は、借地権の売買価格の10%が相場となります。

ただし、土地の所在するエリアによってパーセンテージに違いが生じることがあるため、確認が必要です。

「借地非訟」の要件や手続き方法

借地権の譲渡に関して地主の承諾が得られない場合、裁判にて譲渡の承諾を得られる可能性があります。このように、借地権に関する問題を借地人と地主の当事者だけでは解決できずに、裁判にて解決を図ることを「借地非訟」と言います。

「借地非訟」には、

A.借地条件変更
B.増改築許可
C.土地の賃借権譲渡または転貸の許可
D.競売または公売に伴う土地賃借権譲受の許可
E.借地権設定者の建物及び土地賃借権譲受

の5種類がありますが、借地権の売却に関係するものはCとEです。

借地人が借地上の建物を土地の賃借権(借地権)とともに譲渡する時、地主の承諾が得られない場合は、借地人は土地の賃借権譲渡許可の申立てをし、裁判所が相当と認めれば、地主の承諾に代わる許可を受けることができます(上記C)。

ただし、その場合、地主には借地権と建物を一体で優先的に買い取ることができる介入権が与えられています。地主は、裁判所が定めた期間内に限り、介入権を行使する申立てをすることができます。

介入権行使の申立てがあった場合は、原則、地主が借地人の建物および借地権を裁判所が定めた価格で買い取ることになります(上記E)。

注意点としては、上記Cに関する借地非訟を行う場合は、

  • 借地上に建物が存在していること
  • その借地権を譲渡する第三者が決まっていること

が必要要件となります。

その他、借地非訟において譲渡の許可を得た場合においても、裁判所が定めた承諾料を地主に対して支払う必要があります

また、介入権が行使された場合、借地人は承諾料の支払いが不要となりますが、裁判所が定めた借地権の価格からその分を差し引いて地主に請求されます。

借地非訟の手続きは以下の通りです。

借地人(申立人)が,民事第22部に申立書を提出
  ↓
裁判所が、第1回審問期日を定めるとともに申立書を地主(相手方)に郵送
  ↓
裁判所は第1回審問期日を開き、当事者(申立人及び相手方)から陳述を聴く(必要に応じて第2回、第3回あり)
  ↓
裁判所が鑑定委員会に、許可の可否、承諾料額、賃料額、建物及び借地権価格等について意見を聴取
  ↓ 
鑑定委員会が、現地の状況を調査(当事者も立会い)
  ↓
鑑定委員会が、裁判所に意見書を提出し、裁判所は意見書を当事者に送付
  ↓
裁判所が鑑定委員会の意見について、当事者から意見を聴くための最終審問期日を開き、審理を終了
  ↓
裁判所が決定書を作成し、当事者に送付

借地非訟手続きに要する期間は、申立てから決定まで約7ヶ月から1年程度と言われており、膨大な時間と労力、そして高額な費用が発生します。
そのため、可能な限り当事者間で解決する方が賢明です。

借地権の売却が得意な不動産業者を選ぶ

借地権の売却は特殊な分野であり、評価額の算定や権利調整など、専門的知識やノウハウが非常に求められます。また、借地権評価額の算定や承諾料など、計算通りに運ばない場合も多々あるため、高度な交渉能力も必要となります。

そのため、不動産業者を選ぶ時は、不動産一括査定サイトを利用することがお勧めです

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借地権のノウハウを持った不動産業者へ依頼

借地権の売却に関して、注意すべきポイントなどを説明してきました。

借地権を一番高く売却できる方法は、「借地権と底地をセットで売却」することです。「借地権と底地を等価交換」することもメリットが大きいでしょう。

これらの方法は地主と共同で行う必要があるため、相続前から地主とコミュニケーションが取れている場合には大変有効です。

いずれにしても、借地権の売却をするためには、借地権専門のノウハウがある不動産業者に依頼することが大切です

借地権の事例を多く取り扱っている不動産業者は多くありませんので、不動産一括査定サイトを利用してプロの不動産業者の提案を待ちましょう。

以上、借地人が借地権付き建物を高く売却する方法と6つのポイント… でした。

 

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さらに、売却を依頼した不動産会社に対する評価は、一括見積もりサイトから問合せた会社に依頼した人は、「とても親身になってくれて、いい関係が築けた」が61.4%で、他が4割台であるのに対して多いという結果が出ています。
 
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