不動産売却時にかかる税金と知っておきたい9つの節税ノウハウ

不動産を売却する時は、さまざまな税金が課税されます。

納税はもちろん国民の義務ですが、無駄に支払う必要はありません。
知識不足から納め過ぎた税金を、後から取り戻すのは非常に大変です。

そんな失敗を犯さないためにも、

  • 不動産売却時にはどのような税金が課税されるのか
  • 税金はどのような計算方法で算定するのか
  • どのような特例があるのか
  • 節税する方法はあるのか

などについて解説しますので、理解を深めておきましょう。

不動産の売却を検討されている方はぜひご確認ください。

不動産売却時にかかる税金の種類と計算方法

不動産売却時にかかる税金は大きく分けて、譲渡所得税印紙税の2つです。
それぞれの特徴と内容を具体的なシミュレーションと併せて解説します。

譲渡所得税・住民税

不動産を売却して得た利益を譲渡所得(売却益)といい、譲渡所得には所得税と住民税および復興所得税が課税されます。

譲渡所得は下記の計算式で算定します。

譲渡所得(売却益)=売却価格-(購入価格+購入時の諸経費+売却時の諸経費)

譲渡所得を算定する時は、売却価格から購入価格のみならず、購入した時にかかった諸経費と売却する時にかかった諸経費の合計を差し引くことができます。

また、購入価格から建物の減価償却費は除きます。減価償却とは、建物が古くなることにより価値が減ることです。

たとえば、購入価格の建物価値が2000万円で、売却までに1000万円分減価償却されたとすると、売却時の建物価値は1000万円となります。

減価償却費=建物取得価格×0.9×償却率×経過年数

法定耐用年数表

構造非事業用(マイホームなど)事業用(賃貸マンションなど)
耐用年数償却率耐用年数償却率
木造33年0.03122年0.046
軽量鉄骨40年0.02527年0.038
重量鉄骨51年0.02034年0.030
鉄筋コンクリート70年0.01547年0.022

例)木造のマイホーム(自己居住用) 建物取得価格2,000万円 10年後で売却した場合
減価償却費=2,000万円×0.9×0.031×10=558万円


次に、購入時の諸経費と売却時の諸経費は以下のようなものがあります。

購入時の諸経費

  • 購入時に支払った仲介手数料
  • 購入時に納付した登録免許税(登記費用も含む)
  • 不動産取得税・印紙税
  • 建物の建築代金
  • 立退き料
  • 建物の取り壊し費用など

売却時の諸経費

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 登録免許税(登記費用も含む)
  • 測量費用
  • 資産の維持管理のための費用など


譲渡所得税の税率は、売却した不動産の所有期間に応じて異なります。

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となり、マイホーム(自己居住用不動産)の税率は以下の通りとなります。

所有期間所得税住民税
短期譲渡所得
(所有期間が5年以下)
30.63%9%
長期譲渡所得
(所有期間が5年超)
15.315%5%

なお、この表には平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加算されています。

それでは、譲渡所得税について具体的な例でシミュレーションしてみましょう。

【前提条件】

  • マイホーム売却価格  4,000万円
  • マイホーム購入価格  3,000万円(木造・建物価格1,000万円)
  • 購入時の諸経費  250万円
  • 売却時の諸経費  200万円
  • 所有期間     8年

減価償却費=1,000万円×0.9×0.031×8=224万円
譲渡所得=4,000万円-(3,000円-224万円+250万円+200万円)=774万円
譲渡所得税=774万円×15.315%=約119万円
住民税=774万円×5%=約39万円

印紙税

印紙税は不動産売買契約書に貼付することにより納付します。
契約金額によって税額が定められています。

2018年4月1日から2020年3月31日までに作成される契約書に記載された契約金額が、10万円を超えるものについては以下の通り軽減措置が適用されます。

契約金額本則税率による税額軽減後の印紙税額
1万円未満のもの非課税非課税
1万円以上10万円以下のもの200円200円
10万円を超え50万円以下のもの400円200円
50万円を超え100万円以下のもの1,000円500円
100万円を超え500万円以下のもの2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの1万円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの2万円1万円
5,000万円を超え1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え5億円以下のもの10万円6万円
5億円を超え10億円以下のもの20万円16万円
10億円を超え50億円以下のもの40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円

不動産を売却する際の9つの節税ノウハウ

不動産を売却して売却益が出る場合、非常に大きな金額となるケースがあります。

不動産売却に関してはさまざまな特例措置があり、自分自身で申告すれば優遇措置を受けられますが、知らないと国からは何も言ってきてくれません。

知らないまま確定申告してしまうと還付してもらうのに一苦労してしまいますので、事前にしっかりと節税の知識を身に付けておきましょう。

3,000万円の特別控除の特例

売却した不動産がマイホーム(自己居住用)の場合は、所有期間に関係なく譲渡所得から3,000万円を控除することができます。
つまり、売却益が3000万円までの場合、税金はかかりません

また、相続した不動産を売却した場合、相続した実家に住んでいなくても3000万円特別控除が認められています。(2016年4月から2019年12月31日までの時限措置)

ただし、いずれも控除を受けるためには一定の要件を満たしていなければならないので、管轄する税務署などに確認したうえで、翌年の確定申告を行いましょう。

相続税の申告期限から3年以内の売却なら取得費に加算できる

相続税の申告期限の翌日から3年以内に相続不動産を売却した場合、その不動産に対する相続税額を取得費に加算できるという特例が認められています。

ただし、3000万円の特別控除と取得費加算の特例は選択適用となりますので注意が必要です。

所有期間が5年超なら長期譲渡所得

不動産の所有期間が5年超であれば長期譲渡となりますが、所有期間は不動産を購入した日から売却した日までの期間で算定するのではありません。

売却した日が属する年の1月1日を基準日として算定します。

上記(図1)は、2012年3月16日に購入したマイホームを2017年10月1日に売却したケースを示しています。

2017年中にいつ売却しようとも2017年1月1日が判定の基準日となりますので、所有期間は5年以下となり、短期譲渡所得に該当します。

上記(図2)は、2012年3月16日に購入した不動産を2018年1月15日に売却するケースですが、基準日は2018年1月1日のため所有期間は5年超となり、長期譲渡所得に該当します。

なお、新築以外のマイホームの取得の日や譲渡の日については、引渡日または契約日のいずれかを取得の日および譲渡の日とすることができますが、新築の場合は引渡日のみとなります。

また、相続により取得した不動産は、原則として、被相続人が取得した日を承継することができます。

所有期間が10年以上の場合の軽減税率の特例

譲渡した年の1月1日現在で、所有期間が10年以上のマイホーム(自己居住用)を売却した場合、一定の要件を満たせば3,000万円の特別控除と併せて適用ができ、税率が軽減されます。

税率は以下の通り。

 譲渡所得が
6,000万円以下
譲渡所得が6,000万円超で
6,000万円以下の部分
譲渡所得が6,000万円超で
6,000万円超の部分
所得税10.21%10.21%15.315%
住民税4%4%5%
合計14.21%14.21%20.315%

特定マイホームの買い換え特例

譲渡した年の1月1日現在で、所有期間が10年以上のマイホーム(自己居住用)を2019年12月31日までに売却し、代わりのマイホームに買い換えた場合、一定の要件を満たせば譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。

ただし、譲渡益が非課税となるわけではありません。

この特例を適用すると、譲渡したマイホームの売却価格より買い換えたマイホームの購入価格の方が大きい場合、その売却益の課税が将来、買い替えたマイホームを売却するときまで繰り延べられます。

逆に売却価格の方が大きい場合、譲渡益のうち買い換えた購入価格に充当した額に相当する課税は繰り延べられ、売却価格、買換え価格との差額に長期譲渡所得税および住民税が課税されます。

(例)

3,000万円の特別控除や10年超所有軽減税率適用の特例と併せて適用はできません。

特定のマイホームの買い換え特例と3,000万円の特別控除のどちらを適用したほうが節税になるのかは、一概に判断できませんので、管轄する税務署や税理士などの専門家に確認しましょう

特定事業用資産の買い換えの特例

賃貸マンションなどの事業用不動産を売却した場合は、マイホームではないので3,000万円の特別控除や特定マイホームの買い換え特例などは適用されません。

しかし、特定事業用資産の買い換え特例が適用できる場合があります。

個人が賃貸マンションなどの事業の用に供している特定の不動産などを譲渡して、一定期間内に特定の不動産など資産を取得し、その取得の日から1年以内に買い換え資産を事業の用に供した場合、一定の要件を満たせば譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます。

ただし、譲渡益が非課税となるわけではありません。

この特例を受けますと、売却価格より買い換えた購入価格の方が大きい場合、売却価格の20%を収入金額として譲渡所得を算定します。

買い換えた購入価格より売却価格の方が大きい場合は、その差額と買い換えた購入価格の20%との合計額を収入金額として、譲渡所得を算定します。

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

譲渡した年の1月1日現在で、所有期間が5年超のマイホーム(自己居住用)を2019年12月31日までに売却して生じた譲渡損失については、一定の要件を満たせば譲渡した年の事業所得や給与所得など他の所得との損益通算をすることができます。

損益通算を行ってもなお控除しきれない損失の金額については、その譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除することができます。

取得費や経費をもれなく計上

譲渡所得の計算式の中で、購入価格と購入時の諸経費の合計を取得費といいます。

購入した時の売買契約書や領収書などの関係書類を保管してあれば、すべて計算できますが、祖父母や両親の代で購入された不動産の場合、売買契約書を含む関係書類が残っていないケースも少なくありません。

そのような場合は概算法で、「取得費=売却価格×5%」と算定します。

たとえば、マイホームを3,000万円で売却した場合、取得費が不明の時は売却価格の5%である150万円が取得費となります。

概算法を採用した場合、取得費がかなり低くなってしまうため、譲渡所得が出やすくなります。その結果、納税額が増えてしまいますので、購入時の売買契約書や領収書などの関係書類は、できる限り失くさず保管しておきましょう

万一、売買契約書や領収書などの関係書類が見つからない場合、通帳などの出金記録や住宅ローンの金銭消費貸借契約書など、購入価格を証明できるものがあれば実額によって取得費を計算できる可能性があります。

その場合は、できる限り購入時の関係書類を探したうえで、管轄する税務署に相談してみましょう。

印紙税の節約

不動産を売却する時、売主は売買契約書の原本を保有する必要はなく、コピーで差し支えありません

そのため、売買契約書原本を1通のみとして、原本に貼付する印紙税を折半するという方法を取ることにより、売主・買主双方とも印紙税の節約をすることができます。

ただし、事前に買主や不動産仲介業者ともよく相談してください。

不動産売却時の節税対策を知らずに損をする前に・・・

不動産を売却する時に課税される税金の種類、計算方法、適用できる特例、節税の方法について解説してきました。

一般的に不動産を売却することは、一生のうちで何度もあることではありませんので、慣れている人はいないでしょう。

しかし、事前に知識と対策を身につけることで、無駄な税金を納めることを回避できます。税金は納税が足りなければ指摘されますが、多く納税した場合は国からは特に何も言ってきませんので、自分自身で理論武装して申告することが大切です。

なお、詳細については、管轄する税務署や税理士などの専門家に確認しましょう。

以上、不動産売却時にかかる税金と知っておきたい9つの節税ノウハウ…でした。

 

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