読み方によって違う「売り止め」の意味とは?両手狙いの売り止めに要注意!

「売り止め」という言葉を知っていますか?

言葉だけだと、「売るのをやめた」とか「売るのを中断した」といった意味に思われますよね。しかし、不動産業界では、業者による悪質な「売り止め」行為があるのです。

今回は、そんな「売り止め」の意味や、不動産業界での実態、売り止めを防ぐ方法などを徹底解説します。悪質業者による「売り止め」被害に遭わないよう、ぜひこの記事を読んで知識武装してください。

売り止めの意味とは?

漢字で「売り止め」と記述した場合、読み方は2種類あります。ひとつは「売り止め(うりやめ)」、もうひとつは「売り止め(うりどめ)」です。

不動産業界ではそれぞれ異なる意味で使われていますので、ここではその違いについて確認していきます。

「売り止め(うりやめ)」とは?

まず、「売り止め(うりやめ)」とは、販売中の物件の売主が何らかの事情で物件を売却することを止めることをいいます。

もともとは売却するつもりでいたものの、売主を取り巻く事情や状況が変わって売却しないという判断が働いたことになります。

不動産を売却する場合は、

  • 住み替えのために売却する
  • 住宅ローンが支払えなくて売却する
  • 相続のために売却する

など、必ず売主に売却する理由があります。

しかし、

  • 住み替えるが、元の家は賃貸にすることにした
  • 転職が決まり、住宅ローンが払えるようになった
  • 相続した家に子供が住むことになった

など、売主の事情や状況に変化が生じて売り止めになることがあるのです。

つまり、不動産ポータルサイトなどに掲載されていた物件情報が消えた時、売却が決まった場合と売却が中止になった場合があることになります。

「売り止め(うりどめ)」とは?

いっぽう、「売り止め(うりどめ)」とは、販売している物件に買付証明書(購入申込書)が入って購入の意思表示がなされ、具体的な契約条件などを交渉するために一時販売を中断することをいいます。

ただし、不動産情報としての物件情報自体は発信し続けています。

一般的に、このタイミングで他の不動産業者やエンドユーザーが物件について問い合せると、「商談中です」「契約予定です」と回答されます。

商談によっては、契約条件の折り合いがつかないことや住宅ローン融資の承認が下りないことなどがあり、「売り止め」から再度「販売中」に変更になる場合もあります


<物件の販売状況の推移>


ちなみに、「売り止め」にはもうひとつの意味があります。
それは、「売主から売却を依頼された不動産業者が他の不動産業者へ物件を紹介させないために悪用する」ということです。

この点については次章で説明します。

不動産業者による「売り止め」の悪用

不動産業者に不動産の売却を依頼する場合、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類の契約形態の中からひとつを選んで契約します。

それぞれの契約の特徴や違いは下記の表の通りです。

 一般媒介専任媒介専属専任媒介
契約期間規定なし(ただし一般的には3カ月以内)3カ月以内3カ月以内
レインズ登録義務法律上の義務なし契約から7日以内契約から5日以内
業務報告義務法律上の義務なし2週間に1回以上1週間に1回以上
自己発見取引不可
他の不動産業者へ重ねて依頼不可不可

ここで注目したいのは、レインズへの登録義務と他の不動産業者への重複依頼です。

レインズとは、ほとんどの不動産業者が加入している不動産流通標準情報システムのことです。売却したい物件をレインズに登録することで、すべての不動産業者が物件情報を共有でき、販売を促進します。

一般媒介契約の場合はレインズへの物件情報登録の義務はありませんが、専属専任媒介・専任媒介契約の場合、それぞれ5日以内・7日以内に物件情報を登録しなければなりません。

また、専属専任媒介・専任媒介契約を締結した場合は、他の不動産業者に重ねて売却を依頼することができず、3ヶ月以内の契約期間は1社限定で売却活動を行うこととなります。


それぞれの媒介契約のメリットやデメリットに関しては、↓の記事で詳しく解説しています。

不動産業者に売却を依頼する際の媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。レインズ登録義務や自己発見取引の可否など、それぞれの違いとメリット・デメリットをよく確認し、物件に最適な媒介契約を結ぶことが売却成功につながります。


これらの点から、いわゆる「囲い込み」のリスクが発生します。

売却を依頼された不動産業者が自社で買主を見つければ、買主からの仲介手数料も受領して、手数料収入を2倍にすることができます。
これを「両手仲介」といいますが、両手仲介自体は違法ではありません。

しかし、両手仲介を狙うために、他の不動産業者に物件情報を意図的に流さなかったり、他の不動産業者からの問い合わせに応じなかったりすることを「囲い込み」といいます。


囲い込みは、売主に対する重大な背信行為ですが、不動産業界ではいまだにこのような行為が横行しているのが現実です。

↓の記事では、囲い込みの実態と売主にできる防止策を紹介しています。囲い込みの被害に遭わないよう、しっかりと知識を身につけて自己防衛してください。

不動産(マンションや家)の売却の際に問題となる囲い込みの実態と対策について解説。利益相反がもたらす業界の構造的な問題が背景にあり、とくに専任媒介や専属専任媒介契約の際に起こりやすい。両手仲介を狙う不動産業者の囲い込みは売主の利益を害するものです。


この「囲い込み」を行うために悪用されるのが「売り止め」なのです
「売り止め(うりどめ)」も「売り止め(うりやめ)」も両方とも悪用されています。

具体的には、専属専任媒介もしくは専任媒介契約を締結し、登録義務があるため物件情報をレインズに登録はします。

ところが、他の不動産業者からの問い合わせに対して「現在、商談中です」「この物件は契約予定です」と回答し、販売を一時中断させる「売り止め(うりどめ)」を悪用することがあります。

本当は購入検討客などいないにもかかわらず、勝手に他の不動産業者からの問い合わせを断ってしまうのです。

さらにひどいケースになると、レインズへの登録自体を行っていないケースもあります。

その他にも、物件情報をレインズへ登録はしますが、他の不動産業者からの問い合わせに対して「売主の都合により一時売却を見合わせている状況です」と嘘の回答をすることもあります。

「売り止め(うりやめ)」を悪用して、あくまでも自社で買主を見つけようとしているのです。

こうした悪しき慣習がなくならない原因としては、不動産業者の社員に対する給与体系が挙げられます。給与のうち歩合が占める割合が大きければ、仲介手数料を稼がなければ給与が増えません。

そうすると、売主の利益より自分の利益を優先するという発想になり、自分自身の判断で「囲い込み」や「売り止め」を行って、成績を上げようと考えてしまうのです。過剰なノルマなども原因となるケースもあるでしょう。

このように、不動産業者による「売り止め」の悪用によって「囲い込み」の可能性がある以上、不動産を売却する時には、信頼できる不動産業者の選定が非常に重要となります。


不動産業者選びは、不動産売却の成否を大きく左右します。↓の記事では不動産業者の選び方のポイントを解説しています。不動産売却の際には、ぜひご確認ください。

家や土地といった不動産を売却するときは、不動産業者に購入検討者を探してきてもらいます。不動産業者とひとくちに言っても、たくさんの業者があり、...

売り止めの実態

売り止めは、「人気の物件」や「安くて良い物件」、「出たばかりの新鮮な物件」ほど悪用されます。

反対に「なかなか売れない物件」は、売り止めせずに他の不動産業者の助けを借りながら、何とかして成約させようと考えます。

ここでは、売り止めの実態について見ていきましょう。

「商談中」が一転して・・・

不動産業者Aは、昨日レインズに登録されたばかりの人気マンションの物件情報を見つけました。

なかなか売り物件が出ないマンションであり、A業者のもとにも2名の購入希望者がいたので、早速元付業者であるB業者に問い合わせの電話をしました。


A業者
物件確認をお願いします。○○区○○1丁目所在、●●マンション△△△△万円ですが、ご紹介可能でしょうか?
B業者
あー・・・その物件は買付が入って商談中ですね
A業者
(昨日登録したばかりの物件がもう商談中?)・・・了解しました

A業者は非常に疑問に感じましたが、まさか「本当に商談中ですか」とも言えず、B業者の回答に従うしかありません。

しかし、電話を切った後も納得できなかったA業者がB業者のホームページを確認すると、もちろんその物件が掲載されていました。
そこで、A業者は一般客のふりをしてB業者に電話してみることにしました。


A業者
ホームページで拝見したのですが、○○区○○1丁目の△△△△万円の●●マンションは見学できますか?
B業者
ありがとうございます!すぐにでも内覧可能です
A業者
本当ですか?
B業者
はい。お客様が内覧の申込み1組目です

「商談中」の物件が、一転して内覧申込みも入っていなかった・・・という笑えないケースです。知らぬは売主ばかりなり・・・ということになり、売主がこの事実を知ったら、卒倒してしまうかもしれません。

A業者がこの事実を売主に報告できれば売主も救われるのですが、不動産業界では他の不動産業者と媒介契約を締結している売主に直接接触することを「抜き行為」と呼び、タブー行為とされているため難しい面があるのです。

レインズの物件情報がすぐに削除された

不動産業者Cは、3日前にレインズに登録されたばかりの物件情報をあらためて見ようとしたのですが、すでに情報が削除されていました。

不動産業者Dが扱っている物件ということはわかっていたので、電話で確認してみると「売主さんの都合で売り止めになりました」との回答でした。

しかし、レインズの物件情報は削除されているにもかかわらず、D業者のホームページや不動産ポータルサイトには物件情報が掲載されたままだったのです。

これは、いったんレインズに登録して登録証明書を売主に提示し、その後に物件情報を削除して他の不動産業者が見られないようにする・・・というケースと推測できます。

あくまでも、自社で買主を見つけて両手仲介を狙う売り止めの悪質なケースです。

売り止めを防ぐ方法

ここまで説明した通り、悪質な不動産業者に売却を依頼すると、売り止めをされてしまう可能性があります。

物件をレインズに登録しなかったり、他の不動産業者の問い合わせに嘘を言ったりするだけで、売り止めは簡単にできてしまいます。

もちろん、信頼できる優良な不動産業者へ売却を依頼すればよいことですが、売主として売り止めや囲い込みを防ぐ対策を知っておくことも必要でしょう。

「自分の物件は自分で守る!」という意味からも、この章で説明する売り止め対策についてしっかり理解しておきましょう。

売主自身が売り止めを知っていることをアピール

まずは、売主として売り止めの事実があることや売り止めの実態について、理解しておくことが大切です。そして、媒介契約締結前の不動産業者との面談時に、売り止めや囲い込みについての知識があることをアピールしましょう

不動産業者は「このお客さんは業界や取引について勉強しているな」と感じ、悪質な不動産業者に対してはそれだけで抑止力となります。

また、実際に「御社は囲い込みや売り止めはしませんよね?」と確認してもよいでしょう。

できれば明るい感じで聞き、相手の不動産業者が「しません」と答えてくれればOKですし、不機嫌な態度を取るようでしたら媒介契約締結を見送ってもよいでしょう

「私は、不動産売却について一応の知識は持っていますよ」という事実とアピールが自分の物件を守ることにつながります。

レインズのステータス管理をチェック

物件の囲い込みや売り止めが後を絶たないことから、平成28年1月レインズを運営する不動産流通機構は、レインズに「ステータス管理機能」を追加しました。

「ステータス管理機能」は「物件の取引状況を明示する機能」と「物件情報と取引状況を売主が直接確認できる機能」を有しています。

専任媒介もしくは専属専任媒介契約を締結した場合、不動産業者は取引状況として「公開中」「書面による購入申込あり」「売主都合で一時紹介停止中」のいずれかを設定することが義務付けられています。

「公開中」のステータスであれば、他の不動産業者からの問い合わせや引合いに対して、拒否することはできません。


<レインズの「ステータス管理機能」画面>


また、この取引状況を売主が直接確認できる機能も付けられました

売主は専任媒介もしくは専属専任媒介契約を締結した不動産業者から、まずレインズの登録証明書を受領します。

その登録証明書には、専用確認画面URL・個別ID・パスワードが記載されていますので、それらを利用して、物件情報やマイソク図面、取引状況などを確認することができます。

これにより、物件情報の囲い込みや売り止めをすることが不可能になる・・・と期待されています。

あなたの不動産を売却するために専任媒介もしくは専属専任媒介契約を締結する場合は、必ずレインズ登録証明書を受領し、不動産業者の義務である業務報告に合わせて定期的にステータスを確認しましょう

他の不動産業者に確認してもらう

この対策は他の不動産業者の協力が必要となりますが、囲い込みや売り止めの事実を知るためには非常に有効な手段となります。
方法はシンプルで、他の不動産業者に物件の確認をしてもらうのです。

取引状況のステータスが「公開中」であるにもかかわらず、「契約予定です」「売り止め(うりやめ)中です」という回答であれば、囲い込みや売り止めをしていることとなりますので、その不動産業者との媒介契約は解約した方がよいでしょう。

他の不動産業者に物件確認をお願いする際には、「囲い込みや売り止めが発覚した場合は御社と媒介契約を締結する」という条件を提示して協力してもらうとよいでしょう。

一般媒介で契約する

一般媒介で媒介契約を締結すれば、100%囲い込みや売り止めを防ぐことができます。

不動産業者にとって、専任媒介物件もしくは専属専任媒介物件という物件を1社だけで独占できる場合に、囲い込みや売り止めができることになります。

一般媒介であれば、売主は他の不動産業者とも媒介契約を締結できるため、物件を独占できません。

不動産業者にとって、一般媒介で複数の不動産業者と物件情報を共有している状態で、囲い込みや売り止めをすれば成約の可能性を低くするだけですので、何のメリットも生まれません。

そのため、複数の不動産業者と一般媒介契約を締結すれば、ほぼ間違いなく囲い込みや売り止めを防ぐことができるでしょう。

ただし、一般媒介の場合、「自社で必ず成約できるかがわからないため、不動産業者が広告費をかけた売却活動をしにくい」というデメリットもあります


3つの媒介契約の違いと選び方に関しては、↓の記事で詳しく解説しています。

不動産業者に売却を依頼する際の媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。レインズ登録義務や自己発見取引の可否など、それぞれの違いとメリット・デメリットをよく確認し、物件に最適な媒介契約を結ぶことが売却成功につながります。

売り止めや囲い込みの先には値下げがあるだけです

売り止めの意味や悪用方法、現場での実態、防衛策などについて解説してきました。

売り止めや囲い込みは、不動産業者にとっては利益がありますが、売主にとっては何の利益もないどころか、売却の機会損失となります。

そして、売り止めや囲い込みの先には、売却価格の値下げが待っているのです。

売り止めや囲い込みを行うような不動産業者は、自社の利益しか考えておらず、両手仲介がやりやすい価格に下げるよう、必ず提案してくるからです。
その結果、売主利益がさらに失われることとなります。

こうした事態を絶対に生じさせないためにも、売り止めや囲い込みの方法や実態をよく理解して、後悔のない不動産売却を実現させてください!

以上、読み方によって違う「売り止め」の意味とは?両手狙いの売り止めに要注意!…でした。

 

不動産を売るなら無料の一括査定サービスの利用を忘れずに!

  不動産の査定価格は、どの不動産会社でも同じではありません。
1社だけでは競争原理が働かないので、高く売りたいなら必ず複数の会社に査定依頼してください。
 
その上で、価格だけでなく、説明が丁寧で実績のある不動産会社を選ぶようにしましょう。 価格査定には、複数の会社にいっぺんに査定依頼できる不動産一括査定サービスが便利です。
 
実際に、LIFULL HOME'S PRESSの調査(調査対象:売却を経験したことのある20代~60代までの男女541人)によると、活用した情報ランキング1位は「複数の不動産会社に依頼や相談ができるサイト(一括見積もりサイトなど)」(38.6%)でした。
 
さらに、売却を依頼した不動産会社に対する評価は、一括見積もりサイトから問合せた会社に依頼した人は、「とても親身になってくれて、いい関係が築けた」が61.4%で、他が4割台であるのに対して多いという結果が出ています。
 
査定依頼したからといって、必ず売却を依頼しなければならないわけではありません。「ちょっと我が家の相場を確認したい」といった時に利用してもOKですよ。

⇒ 無料の一括査定サービス(HOME's)を見てみる