アパート経営を始める際に、もっとも気になることのひとつが建築資金ですよね。私もそうでした。
「アパート建築にはどれぐらいの費用がかかるんだろう?」
「自己資金はどれぐらいあった方がいいのかな?」
「融資の際には、どんな審査をしているのだろう?」
多かれ少なかれ、このような不安はアパート経営に付きもの。不安に感じるのは分からないことがあるからです。資金面で分からないことがあるなら、アパート経営を始めるのはちょっと待ってください。
そこで今回は、アパート経営に必要な資金と用意すべき自己資金を解説します。やるべきことがハッキリすれば、不安も解消されるはずですよ。
アパート建築にはどれぐらいの資金が必要?
アパートの建築費は、1坪あたり(もしくは1平方メートルあたり)の単価を基準に、その単価に建築する予定のアパートの面積を掛けて算出します。それを踏まえて、まずは単価を知って費用感をつかみましょう。
一般的な木造2階建てアパートの坪単価
建物の構造や設備などによって一概に言えない部分はあるのですが、首都圏エリア周辺の基準として標準的な木造2階建てのアパートだと「1坪あたり50万円前後」となります。
他にもアパート建築の選択肢には軽量鉄骨やRC(鉄筋コンクリート)などがありますが、軽量鉄骨(3~4階建て)だと70万円/坪前後、RCだと100万円前後となります。
ほとんどのアパートは2階建てなので、木造を基準に考えるとよいでしょう。
参考記事 なお、大手ハウスメーカーの坪単価に関しては、こちらの記事に紹介しています。建築坪数を入力すれば工事費の目安を算出するシミュレーターもありますので、ぜひ活用してみてください。
建ぺい率、容積率を考慮したアパート建築コスト
ご存知かもしれませんが、土地に建物を建てる場合には好きなように何を建ててよいわけではありません。それぞれの土地には都市計画法によって定められている、建ぺい率と容積率を考慮する必要があります。
建ぺい率と容積率の上限ギリギリになるケースが多い
建ぺい率とは土地の面積に対して「建物を建てて良いのはこの面積比率まで」という決まりごとで、容積率は建物の延床面積の上限を定めた決まりごとです。
アパート経営をお考えの方にとって、建築するアパートの部屋数は多いほうが家賃収入が多くなるため、土地の面積に対して少しでも大きな建物を建てて部屋数を確保したいと考えます。
そのため、建築されるアパートは土地の建ぺい率、容積率を計算した上で上限ギリギリの広さになるケースが多く見られます。
用途地域に左右される延床面積
土地がどの用途地域に属するかによって、建ぺい率と容積率は大きく異なります。例えば、第一種中高層住居専用地域であれば建ぺい率は50%、容積率は100%(前面道路6メートル条件)となります。
これを読み替えると「土地の面積に対して建物の面積は50%が上限だが容積率は100%なので2階建てを建てれば土地面積と同じだけの延床面積を確保できる」ということになります。
防火地域規制の影響を受ける場合は建築コストがRC並みになる
建物が密集している地域の場合、火災時の延焼を防ぐために防火地域規制が適用されます。この場合、防火規制の観点から通常の木造アパートを建てることができません。
防火地域規制をクリアするには軽量鉄骨やRCでの建築を検討するか、木造であっても適法になる木造耐火建築物を選択することになります。
軽量鉄骨やRCの建築費は先述の通りですが、木造耐火建築物の場合は坪単価が90万円前後となります。
首都圏で400平方メートルの土地にアパートを建てると建築費用は?
上記の単価を踏まえて、首都圏で300~400平方メートルの土地をお持ちの方がそこにアパートを建てるとどれくらいの建築費になるのか試算をしてみましょう。
試算にあたって、想定される条件は以下の通りです。
- 土地の面積:400平方メートル=121坪
- 建ぺい率:60%
- 木造アパート建築単価:50万円
121坪 × 60% × 50万円 = 3630万円
この試算結果では、400平方メートルの土地に一般的な木造2階建てアパートを建てると、建築費は3630万円という結果になりました。
アパート経営に必要な自己資金の最低ラインは?
一般的なアパート建築に必要な金額が数千万円クラスになることが、前項でお分かりいただけたと思います。次に生じる疑問は、その資金の工面です。
自己資金で100%用意できるのであれば問題ありませんが、多くの場合、一部を自己資金で用意して残りは融資によって調達することになるでしょう。
そこには必ず審査があるので、審査にパスすることを目的とした自己資金額はいくら必要なのでしょうか。
アパート経営を始める自己資金額の下限
一般的に、不動産投資を始めるにあたってローンを利用するのであれば自己資金は物件価格の5分の1が目安であるとされています。3000万円の物件であれば600万円、2000万円の物件であれば400万円という具合です。
土地を担保に入れるため、理論上はアパート建築費用の全額をローンで調達することも不可能ではありません。しかし、それはあまりおすすめしません。その理由については後述します。
ここでは自己資金の目安がアパート建築費用の5分の1であること、さらに加えると建築費用の如何にかかわらず最低でも300万円はあった方がよいことを押さえておいてください。
- 物件価格の5分の1
- 建築費用に関わらず300万円
自己資金額はローン審査に大きく影響する
先ほど、自己資金ゼロからのアパート経営についてはおすすめしないと述べました。その理由はいくつかありますが、金融機関の融資審査にパスできる可能性がかなり低くなってしまうことが最大の理由です。
その根拠は、金融機関側の視点で考えると一目瞭然です。自己居住を前提としないアパートという収益物件を建てようとするオーナーを審査する際、金融機関は投資家の本気度を注視しています。
なぜなら、「本気度が高い=返済意思も高い」と見なされるからです。
自己資金の比率が高いということは、それだけアパート経営を成功させたいという意思表示になり、同時に融資比率が低くなることで審査のプラス要因になるのです。
一時期はアパート投資ブームに乗って金融機関の審査が緩かったこともあるのですが、現在はその状況も収束して以前よりも審査が厳しくなっています。
審査環境の変化に応じて、自己資金額は適切な額を用意するべきでしょう。
アパート経営の資金調達で検討したい金融機関
一時期よりも下火になったとは言え、依然としてアパート経営の資金調達需要は旺盛です。
金融機関の中にはそうした需要に応える融資商品を用意しているところもあるので、オリックス銀行の「不動産投資ローン」、JAバンクの「アパートローン」などが融資目的に合致しているため申し込みやすいでしょう。
その他に、自己資金額がどうしてもあまり用意できないといった場合は政府系金融機関である日本政策金融公庫も検討に値します。
アパート経営開始後のキャッシュフローを意識しよう
アパート経営が始まったら、収入源は毎月の家賃収入です。その一方でローン返済を筆頭に物件の管理委託費、修繕積立、そして税金などが支出となります。
参考 アパート・マンション経営における、具体的なランニングコストに関しては、↓の記事で詳しく解説しています。
不動産経営では、これらの支出を差し引いた手残りのことをキャッシュフローといいます。
キャッシュフロー改善に最も大切なのは家賃収入の安定的確保ですが、その一方で支出の筆頭格であるローン返済もできるだけ圧縮しておきたいところです。
適切な自己資金を用意してローン利用額を圧縮するのは、キャッシュフロー改善という経営上の理由もあるのです。
アパート経営を成功させるために
安定的な収入源の確保だけでなく老後の年金確保や、次の世代への相続対策など、アパート経営には実に多くのメリットがあります。
もちろんそれらのメリットはアパート経営が成功したらの話なので、その成功に深く関わる最初の資金計画はとても重要です。
融資審査への影響とアパート経営開始後のキャッシュフロー改善、この2点を意識した上で最適な自己資金のあり方を資金計画に組み込めば、アパート経営の成功率はグッと上昇します。
借り入れ金額が大きくなりがちなアパート経営だけに、入念な資金計画で臨みましょう。
以上、アパート経営に必要な資金は?自己資金はどれぐらい用意するべき?…でした。
参考リンク アパート経営ではどれぐらいのランニングコストがかかるのか知りたい…という方は下記記事も参考に。ランニングコストの具体的な内訳やランニングコストを抑えるポイントも解説しています。
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