再建築不可物件の売却を成功させる11のポイント

不動産物件の中でも売りにくいといわれているのが、「再建築不可物件」です。

再建築不可物件とは、その名の通り新しく建物を建てることができない物件です。
そのため、「なかなか買い手を見つけることができない・・・」「相続したけれどもどうしたらいいのか?」など、再建築不可物件の扱いに困っていませんか ?

物件としての特殊性から、不動産業者でさえ敬遠するケースのある再建築不可物件ですが、押さえるべきポイントを押さえれば、売却を成功に導く可能性が広がるのです。

今回は、

  • 再建築不可の詳しい意味
  • 再建築不可物件の相場について
  • 再建築不可を再建築可にする3つの解決方法
  • 再建築不可物件を売却するための8つのポイント

などについて、詳しく具体的に解説します。

この記事を読めば、もう再建築不可は怖くありません。

再建築不可とは?

マイソク図面などに「再建築不可」と明記されていることがありますが、「再建築不可」とはどのようなことを意味するのか、説明していきます。

建築基準法の接道義務

建築基準法の接道義務とは「建物を建てる敷地は、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない」というものです。

この接道義務は、自然災害や人災など万一の場合に、救助のための緊急車両が通行できるように定められています。

街を歩くと、接道義務を満たしていない建物もよく見られますが、それらの建物は、現行の建築基準法が施行される前に建てられたものです。

建築当時は合法でしたが、現在の法律には適合しないため、新しく建物を建てることはできずに「再建築不可物件」といわれます。


<接道義務のイメージ>

法42条2項道路のセットバック

接道義務とは「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない」と説明しましたが、前面道路の幅員が4メートル未満の場合は、すべて建築基準法上の道路ではないのでしょうか?

答えは「いいえ」です。

幅員4メートル未満の道路であっても、現行の建築基準法が施行された時点で建物が建っていた土地は、将来的に4メートルの幅員を確保すれば建築基準法上の道路として認定されます。

この道路を「法42条2項道路」または単に「2項道路」といいます。ここでいう「法」とは建築基準法のことです。

土地の前面道路が幅員4メートル未満の法42条2項道路の場合は、道路の中心線から水平距離で2メートルの位置まで敷地を後退させなければなりません。
この後退のことを「敷地のセットバック」といいます。

道路を挟んで向かい側も道路の中心線から2メートルセットバックすることにより、幅員4メートルの道路が確保されることとなります。

そして、セットバックをすることによって接道義務を満たし、建物を新築することが可能となります。


<セットバックのイメージ>

接道義務を満たしていない主なケース

下記のような場合は接道義務を満たしているとは言えず、再建築不可となりますので、注意してください。


<接道義務を満たしていない主なケース>


(A)前面道路に接している間口部分が2メートル未満のケースです。
(B)前面道路には間口2メートル接していますが、路地部分が2メートル未満となっているケースです。
(C)路地部分の最も狭いところが2メートル未満となっているケースです。
(D)路地部分に他人の土地が介在しているケースです。
(E)そもそも道路に接していないケースです。

再建築不可物件は東京に多い

インフラや道路が整備された東京では、再建築不可物件は少ないイメージを持つかもしれませんが、実は全国で東京がもっとも多いことがデータからわかります。

※参考:総務省「住宅・土地統計調査 敷地に接している道路の幅員(6区分)別住宅数―全国,都道府県,21大都市(平成25年)」

原因としては、昭和の初期に、交通の利便性や都市の発展性に着目した多くの人が東京へ集中し、狭い土地に住宅を建てていったことが考えられます。
当時は、接道義務のルールはありませんでした。

その後、昭和25年の建築基準法施行と昭和55年の建築基準法改正により、多くの住宅が再建築不可物件となる結果が生じたのです。

再建築不可物件の相場

次に、不動産流通マーケットでの再建築不可物件の相場について説明します。
どのくらいの価値があり、流動性や相場の状況はどうなっているのか、非常に気になるところです。

瑕疵担保免責で売却するケースが多い

再建築不可物件は昭和55年以前に建てられている建物が多く、ほとんどが老朽化している可能性が高いでしょう。その場合、柱が腐食しているとか、基礎部分に亀裂があるとか、売主が負うべき瑕疵が存在しているはずです。

通常は、売主が瑕疵担保責任を負うことになるのですが、再建築不可のため増改築ができないという制約や、安くなりがちな売買価格の経済合理性を考えると、売主の瑕疵担保免責とするケースが多くなります

買い手は、売主に瑕疵担保責任を追及できないというリスクを負って購入しなければならないため、格安でないと購入を見送ることとなります。


瑕疵担保免責でない限り、売主は買主に対して、その不動産に欠陥や不具合が見つかった場合、瑕疵担保責任を負わなければなりません。

詳しくは↓の記事で解説しています。買主からクレームがあっても「何も知らない」では済まされないので、確認しておいてください。

瑕疵担保責任は、不動産売却において売主が買主に対して、その不動産に瑕疵があった場合に負わなければならない責任のことです。瑕疵担保責任免責とは、不動産売買契約時に売主・買主双方が合意して「売主は買主に対して瑕疵担保責任を負わなくてよい」とすることです 。

住宅ローンが利用できないケースが多い

再建築不可物件は、都市銀行などの住宅ローンは利用できません。
都市銀行などの金融機関は、建築基準法に適合しない物件など、遵法性が確認できなければ融資を行わないためです。地方銀行、信用金庫なども同様です。

一部のノンバンクが取り組んでいますが、金利が非常に高くなります。

結果的に、買い手としては現金購入しか方法がなくなるため、購入のハードルが高いのが現実です。

相場の3~5割ほどになってしまうことも

このように、大変なハンデを抱えた再建築不可物件ですので、価格が安くなるのはやむを得ません。やはり、相場価格よりも大幅に価格を下げることが一般的です。価格面での魅力がない限り、買い手の検討の土俵にも上がりません。

それだけ、再建築不可というハンデは大きいのです。
相場価格の6割~7割程度を一つの目安にしますが、3割~5割程度になることも珍しくはありません。この点はよく認識しておいてください。

再建築可能にする3つの解決方法

再建築不可物件が売却しにくいのであれば、再建築可能にすれば売却しやすくなる、という考えが成り立ちます。
ここでは、再建築可能となるための3つの解決方法について説明します。

隣地を借りる、もしくは購入する

まず、間口2メートルに不足している部分の土地を借りる、もしくは購入するという方法があります。

たとえば、間口が1.5メートルだとすれば不足分の0.5メートルを借りるか購入できれば、間口2メートルとなり、接道義務を満たすため建築確認申請を行うことができます。

接道義務というのは、土地の権利形態が所有権であろうと借地権であろうと問われることはありません。


<間口を拡げるイメージ>

セットバックして道路の幅を広げる

前面道路が幅員4メートル未満の2項道路の場合は、セットバックして道路幅員を4メートルに拡げたと見なされることで、再建築が可能となります。

ただし、セットバック部分は建ぺい率や容積率の対象となる敷地面積に含まれません。そのため、セットバックによって有効敷地面積が大きく変化することもありますので注意が必要です。

売却の際は、セットバック部分は売買対象面積に含まれることとなり、その扱いについては売買契約の時に個別で相談や確認しましょう。

また、セットバック部分は道路とみなされるため、建物はもちろんですが塀やフェンスなども建築することはできません。万一、これらの既存建築物がある場合は、取り壊して撤去する必要がありますので注意しましょう。

建築基準法第43条の但し書きを申請

建築基準法第43条但し書きとは「建築基準法上の道路に接していないため、原則として再建築や増改築不可であるが、建築審査会の許可を受けることで建築が認められることがある」という規定です。

この規定を利用して、市区町村の建築指導課などで相談のうえ、建築確認申請の前に「法43条許可申請」を行うこともひとつの解決方法です。

再建築不可物件の売却で押さえるべき8つのポイント

再建築不可物件の売却を成功させるために、押さえるべき8つのポイントがあります。ここでは、その8つのポイントについてよく確認しましょう。

まずは隣地所有者に声をかける

まずは、隣地所有者に購入を打診することが一番です。
隣地所有者が購入を希望しなければ、共同売却を提案してみるとよいでしょう。

共同売却することによって、あなたの土地は接道義務が満たされ価値が上がり、相場価格での売却のチャンスが生まれます。

隣地所有者にとっても、地形が良くなるメリットや、土地面積が広くなることで売りやすくなるメリットなどが生まれるかもしれません。

お互いに高く売却できれば、双方にとってメリットのある話となるでしょう。
共同売却が成功すれば、隣地所有者と売却代金を分割します。

予算の低い居住用物件の買い手をさがす

再建築不可物件ですので、相場価格より割安な価格設定が必要です。
そのため、予算の低いマイホームなどの買い手が検討する可能性があります。

たとえば、「東京23区内のマイホームが1,000万円未満で購入できるとしたら、検討する価値はある」と考える買い手もいるのです。そのような格安物件として、予算の低い居住用物件を探している買い手の目に留まる可能性があります。

不動産投資家に検討してもらう

再建築不可物件は、 内部をリフォームして「一戸建賃貸」として賃貸マーケットに出せば、かなりの需要が見込めます。
「一戸建賃貸」は根強い人気があるためです。

売買価格が安ければ、たとえ再建築不可だとしても賃貸物件として高利回りで運用できる可能性があります。

不動産投資家は、利回りなどの指標とリスク分析によって購入を判断しますので、高利回り物件であれば検討する可能性は高いでしょう。

買取業者に買い取ってもらう

最終的には買取業者です。
買取業者の中には、再建築不可などの訳あり・難あり物件を専門に買い取っている買取業者がいます。

リフォームやリノベーションを行ったうえで再販したり、投資用の収益物件として再販したり、種地として仕入れて近隣を地上げしたり、と買取業者のビジネスプランはさまざまですが、事業の可能性があれば買取を検討することは間違いありません。

ただし、買取業者もあくまでもビジネスですので、利益やリスクとの兼ね合いとなり、それらの要素は買取価格に反映します。

そのため、買取価格はかなり安くなる可能性もありますが、エンドユーザーや投資家などへの売却が困難な場合は、そのような買取業者への売却を検討してみましょう。


不動産買取を利用する際には、↓の記事で解説しているようなメリットとデメリット、注意点などをよく理解しておきましょう。

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近隣との関係を良好に

再建築不可物件を売却する場合は、近隣(特に隣地)との関係を良好にしておきましょう。

たとえば、リフォーム工事を行う場合、路地部分が狭いために工事用の車が入れずに近隣に迷惑をかける場合もあります。そのような場合、近隣と良好な関係を保っておかないと、工事などに不都合が生じないとも限りません。

ふだんから挨拶を欠かさず、何気ない会話でコミュニケーションを取るなど、近隣との関係構築に努めておけば、問題が生じるリスクを減らせます。

とくに境界に関する問題や塀やフェンスに関する問題については、よく話し合って解決しておきましょう。近隣との関係悪化やトラブルの有無は、買い手の購入意欲に非常に影響しますので、注意が必要です。

また、隣地所有者との関係が良好であれば、路地部分の隣地の購入や借地、隣地所有者に自分の物件を購入してもらう、共同売却する、などの戦略も取りやすくなります。

リフォームやリノベーションで物件価値を高める

再建築不可物件は、建築確認申請が承認されません。
したがって、新築はもちろんのこと、確認申請が必要な増改築や柱や梁などの主要構造部を壊して建て替える工事はできません。

しかし、床面積を変えずに主要構造部を残して行うリフォームやリノベーション工事は確認申請の必要がないため、行うことができます。

こうしたリフォーム工事やリノベーション工事によって、不動産としての付加価値を高めることで、売却の可能性を広げることができます。

資金面でも、金利は高めですがリフォームローンの利用が可能です

注意点としては、敷地が狭いために足場が組みにくかったり、道路間口が狭いために工事車両が入りにくかったりなどの不便さがあり、近隣にも十分な対応が必要です。また、こうした工事の困難性から工事費が割高になることもあります

解体して更地にしない

再建築不可物件は、解体して更地にしてはいけません。
更地にしてしまうと、新たに建物が建てられず、道路間口から駐車場としての利用も難しいため、土地としてほぼ無価値となってしまいます。

通常の土地であれば、古家が建っているより更地の方が売りやすい場合もありますが、再建築不可物件は更地にすると売却できなくなる、と覚えておいてください。


家を解体してから後悔しても取り返しがつきません。更地にしてしまうことのメリットとデメリットを↓の記事で詳しく解説していますので、ぜひ確認してください。

古家付きの土地は、建物を解体して更地で売った方がよいのか、そのままで売却した方がよいのか悩ましいところです。更地にすることには、流動性が高まるといったメリットの反面、家の解体工事に費用がかかるといったデメリットがあるので、事前によく検討する必要があるでしょう。

空き家は傷みやすいので早めに売却を!

平成27年5月より「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、全国の空き家問題解決への取組みが始まりました。

空き家をそのまま放置すると、住宅用地の特例による固定資産税・都市計画税の軽減措置の適用対象外になったり、解体命令や強制的に代執行を受けたりします。


空家等対策特別措置法について、詳しくは↓の記事で解説しています。行政処分の対象となる「特定空家等」に当てはまらないかどうか、確認しておきましょう。

平成27年5月から「空家等対策の推進に関する特別措置法」(略して空家等対策特別措置法といいます)が全面施行され、全国の空き家問題解決への取組...


空き家のままにしておくと建物の傷みも早く、近隣にも保安上・防犯上・衛生上の迷惑をかける恐れがあるので、早めに売却するなどの対応をしましょう。
早めに対応することで、近隣住民からの信頼にもつながります。


古家付き土地(空き家)の売却方法は3つあります。それぞれにメリットとデメリットがありますので、↓の記事でよく確認してください。

「古家付き土地」とは、資産価値がほとんどない古い家が建っている土地のことです。このような土地を売却する際に古家が建ったままの状態で売却した方...

賃貸するという方法もあり

売却せずに有効活用するのであれば、全面的にリフォームをして賃貸で運営することをお勧めします。

購入でなければ、一戸建てとして根強い賃貸需要が見込めます。
賃貸管理を行う必要がありますが、管理業者などに委託すれば、ほとんどの業務を代行してくれますので、検討しましょう。


↓の記事では、土地活用としての戸建賃貸経営のメリットとデメリットを、さらに詳しく解説しています。

土地活用のひとつとして戸建賃貸があります。建築費が安価で利回り・家賃設定に有利、立地が悪くても収益化できるといったメリットがあります。いっぽう、デメリットとしては、リスク分散しにくい、時期によっては空室が長期化しやすいといったことが挙げられます。

再建築不可物件は特殊な物件です

再建築不可物件の売却を成功させるために、再建築を可能にする3つの解決方法、再建築不可のままで売却するための8つのポイント、合計11のポイントについて解説しました。

再建築不可物件が再建築可能となれば大変な価値の向上ですので、少しでも可能性があればぜひ検討してください。また、再建築不可物件のままでも、解説したポイントを押さえながら、工夫をすれば売却することは可能です。

ただし、これらのポイントに加えて、再建築不可物件に強い不動産業者の協力が必要です。再建築不可物件は、物件の中でもアクの強い特殊な部類に入りますので、得意としている不動産業者を選ぶことが非常に大切です。

以上、再建築不可物件の売却を成功させる11のポイント…でした。

 

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さらに、売却を依頼した不動産会社に対する評価は、一括見積もりサイトから問合せた会社に依頼した人は、「とても親身になってくれて、いい関係が築けた」が61.4%で、他が4割台であるのに対して多いという結果が出ています。
 
査定依頼したからといって、必ず売却を依頼しなければならないわけではありません。「ちょっと我が家の相場を確認したい」といった時に利用してもOKですよ。

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