家やマンション、土地などの不動産を売却する際には、不動産業者に仲介を依頼することが一般的ですよね。
売却が成功したら不動産業者には仲介手数料を支払いますが、この仲介手数料には法的に上限が決まっていることはご存知ですか?
じつは、その計算方法も非常に簡単なんです!
さらに、あなたにはこんな疑問があるかもしれません。
「仲介手数料は具体的にいつ支払う必要があるの?」「他に請求される費用はあるの?」「仲介手数料は値引き可能なの?」。
もしこういった疑問を持っているのであれば、この記事を読んでみることをおすすめします。
仲介手数料に関する疑問がスッキリ解決するので、不動産業者に売買仲介を依頼する前に、ぜひご確認ください!
仲介手数料には上限がある
仲介手数料とは、不動産取引の仲介を行った不動産業者に対する成功報酬のことです。売主と買主は、それぞれ窓口になった不動産業者に仲介手数料を払います。
仲介手数料には上限があり、国土交通省の「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)【PDF】によって決められています。
仲介手数料は上限額より少なくても問題ない
なお、あくまでも上限額なので、それ以下であっても法律上まったく問題ありません。
とはいえ、大手不動産業者をはじめとして、ほとんどの不動産会社は仲介手数料の上限額を請求してくるでしょう。仲介手数料の仕組みやルールに関して、説明することもほとんどありません。
なにも知らない一般の人は、言われるまま上限額を支払っているケースが多いのです。
仲介手数料の上限を超えた請求は宅建業法違反
宅建業法(宅地建物取引業法)では、上限を超える仲介手数料を請求したり、事務手数料や広告費など別の名目で請求を行うことを禁じています。
なお、不動産保証協会では不動産業者の取引に関する苦情の解決をおもな業務としています。仲介手数料の上限を超える金額を請求されるようなことがあったら、不動産保証協会に相談するとよいでしょう。
仲介手数料(上限)の計算方法と具体例
仲介手数料(上限)を今すぐ知りたい方はこちらをご利用ください。
なお、不動産売買の仲介手数料の上限は、このような計算式で決められます。
<仲介手数料の上限額>
売買代金 | 媒介報酬額(消費税を除く) |
---|---|
200万円以下の部分 | 5% |
200万円を超え400万円以下の部分 | 4% |
400万円を超える部分 | 3% |
たとえば、自宅マンションを1,000万円で不動産業者の仲介で売却したケースで、仲介手数料の上限額を計算してみましょう。
<仲介手数料の上限額>の表により計算すると、
=10万円+8万円+18万円
=36万円(消費税別)
となります。
仲介手数料の上限の即算式
この計算式は、下記のように置き換えられます。
=200万円×3%+4万円+200万円×3%+2万円+600万円×3%
=36万円(消費税別)
これを表でまとめてみます。
売買代金 | 売買代金1,000万円の場合 | 媒介報酬額(消費税を除く) | 内訳(消費税を除く) |
---|---|---|---|
200万円以下の部分 | 200万円 | 5%(3%+2%) | 6万円+4万円 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 200万円 | 4%(3%+1%) | 6万円+2万円 |
400万円を超える部分 | 600万円 | 3% | 18万円 |
この表から、売買代金が400万円を超える場合、仲介手数料の料率を3%で考えてみましょう。
すると、200万円以下の部分に対する報酬額は3%+4万円、200万円を超え400万円以下の部分に対する報酬額は3%+2万円、400万円超の部分に対する報酬額は3%となることがわかります。
<仲介手数料・内訳のイメージ>
つまり、売買代金が400万円を超える場合は、このような速算式で仲介手数料の金額を計算できるんです!
法律改正で400万円以下の空き家は上限緩和されました
売却価格が400万円(税抜)以下の空き家の場合、上記計算式の例外があります。
通常の物件より現地調査などの費用が多く発生するケースがあるからです。
国は空き家問題の解決を進めるために、「低廉な空き家等の売買に関する特例[PDF]」によって報酬告知の改正を行い、価格の低い空き家の仲介手数料には特例を設けました。
これにより、400万円(税抜)以下の空き家の仲介手数料の上限は、18万円(+消費税)になっています。
ただし、以下のような条件があります。
- 通常の上限額に現地調査などの費用を合計した金額以内で請求できる
- 事前に両者間で合意する必要がある
- 売主側の仲介手数料のみに適用され、買主側は通常の上限額になる
これらの条件に当てはまらない限り、特例の仲介手数料を請求することはできません。
仲介手数料の注意点
仲介手数料に関しては、上限額のほかにも売主が知っておいたほうがよいことがあります。ここでは、仲介手数料の注意点を4つ紹介します。
- 支払うタイミング
- 仲介手数料以外の費用の請求
- 仲介手数料の値引きは実際には難しい
- 仲介手数料の安さで業者を選ぶことの危険性
それぞれについて、以下に詳しく解説します。
支払うタイミング
仲介手数料は成功報酬なので、売買契約が成立するまでは支払う必要はありません。ただ、売買契約と物件の引き渡しを同じタイミングで行うことは、まずないでしょう。
そこで、仲介手数料の支払いも分けて、売買契約時に50%、物件の引渡し時に残りの50%を支払うケースが一般的です。
仲介手数料以外の費用の請求
不動産業者は、仲介手数料の上限を超える報酬や別名目の費用を請求することはできません。仲介手数料には、不動産業者の人件費や事務手数料、交通費、広告費などの費用が含まれているからです。
ただし、売主側から正式に依頼した広告費などは例外として請求されます。
もし、なにも依頼していないのに、仲介手数料以外の請求があったら絶対に支払わないでください。事務手数料や広告費といった名目で請求するのは、宅建業法違反です。
仲介手数料の値引きは実際には難しい
仲介手数料は、上限額の範囲内で契約前であれば自由に決めることができます。交渉しだいでは、値引きすることも可能でしょう。
個人的なツテがあったり、以前から懇意にしている不動産業者なら値引きに応じてくれるかもしれません。
しかし、実際には上限額を仲介手数料として提示する業者が多く、大手をはじめとしてほとんどの業者は値引きには応じないでしょう。
なお、仲介手数料の値引きには注意するべき点もあります。詳しくは、下記記事をご確認ください。
仲介手数料の安さで業者を選ぶことの危険性
まれにですが、仲介手数料の値引きをアピールポイントにしている不動産業者もいます。仲介手数料が安くなるなら歓迎したいところですが、ほんとうに大丈夫なんでしょうか?
良心的な業者もいますが、はじめから「両手」狙いの悪質な業者もいるので要注意です!「両手」とは、売主と買主の両方の仲介の窓口になることです。
不動産業者は、「両手」仲介によって売主と買主の両方から仲介手数料を得ることができるわけです。両手取引が実現すれば、値引き分以上の手数料収入を得ることは難しくありません。
両手仲介自体は違法ではありませんが、「両手」狙いの業者は、「囲い込み」をして他の仲介業者を排除するために危険性があります。
囲い込みは、売主に対する重大な背信行為ですが、不動産業界ではいまだにこのような行為が横行しているのが現実です。
下記記事では、囲い込みの実態と売主にできる防止策を紹介しています。囲い込みの被害に遭わないよう、しっかりと知識を身につけて自己防衛してください。
売主にとっては、せっかくの売れるチャンスを潰されることになるので、売却まで時間がかかったり、割安な価格でしか売れなくなってしまうかもしれません!
すべてではありませんが、「値引きする」業者には、そのようなリスクがあることは覚えておいてください。
ソニーグループのSRE不動産は、「片手仲介」を採用し「囲い込み」を行わないことを公式に宣言しています。
実際に利用されたお客様の満足度も非常に高い(92.9%)不動産会社なので、首都圏の物件売却をご検討の方は、まずは査定依頼してみるとよいでしょう。
仲介手数料には上限があることを押さえておきましょう
仲介手数料には上限を決める計算式があり、売主が正式に依頼した広告などを除き、不動産業者はそれ以外の請求をすることはできません。
ただし、法律改正により400万円以下の空き家に関しては、例外的に18万円(税抜)の仲介手数料が上限になることもあります。
また、あくまでも上限なので値引きすることは可能ですが、売買仲介を手がける不動産業者にとっては唯一の収入源なので、実際には難しいのが実情です。
なお、仲介手数料の早見表をこちらに掲載しています。売買金額に応じた仲介手数料の金額がすぐ分かりますので、ぜひご利用ください。
以上、不動産売却時の仲介手数料の上限と売り主が注意するべき4つのこと・・・でした。
参考
どうしても仲介手数料を値引きする方法が知りたい…という方は下記記事も参考に。難しいことはたしかですが、まったく不可能というわけではありません。値引きをアピールする業者のカラクリも解説しています。
不動産一括査定サービスの利用も忘れずに!
価格査定と不動産会社探しには、複数の会社にいっぺんに査定依頼できる不動産一括査定サービスが便利。今や不動産や自動車の売却には一括査定サービスを使うのが常識です。 
一般的な家や土地なら、大手不動産ポータルサイトのHOME4U不動産売却の一括査定で問題ありません。特殊な物件に関しては、「物件タイプ別不動産一括査定サービスの選び方」をご確認ください。