太陽光発電とは?土地活用としての6つのメリットと9つのデメリット&リスクを解説

「売電価格の引き下げ」など、ネガティブなニュースを聞くこともある太陽光発電ですが、土地活用の選択肢のひとつであることは間違いありません。

土地の立地条件などによっては、太陽光発電がベストの選択肢になることもあるでしょう。


アパート経営のように客付けが必要なく安定収入が実現できることや、利便性の低い田舎でも活用できるといったメリットは魅力的です。

いっぽうで、初期費用が高く、投資回収まで長期間転用できないといったデメリットも見逃せません。


そこで今回は、太陽光発電による土地活用の仕組みから、そのメリットやデメリットまで徹底的に詳しく解説します。太陽光発電を検討中の方は、ほとんどの疑問が解けるはずですよ。

太陽光発電による土地活用の仕組み

太陽光発電のメリットやデメリットを解説する前に、まずは太陽光発電の仕組みや設置費用、ランニングコストについて解説します。

売電の仕組み

太陽光発電は、設置した専用パネルで太陽光を受けて発電し、その電気を集めてパワーコンディショナーという機器に送るという仕組みでできています。パネルで発電した電気はパワーコンディショナーを介して家庭でも使える電気に変換します。

生み出された電気を売却することで収益を上げる土地活用方法ですが、買い取りには余剰買取全量買取の二通りがあります。

余剰買取は、発電した電力を家庭で消費し、余った分を電力会社に流して売り(売電)ます。一方、家庭では消費せずに、電力会社にそのまま流して売ることを全量買取といいます。

どちらの方法にせよ、売電するには電力会社と契約をしなければなりません。

太陽光発電の設置費用

一般的な家庭に導入される太陽光発電の容量は3~5kWほどで、非住宅なら50kw以上と言われています。土地活用の際は、どちらの方法も考えられるでしょう。

たとえば、土地だけであれば野立てに専用の太陽光パネルを大量に設置し非住宅として備えることができます。
土地に家屋があれば家屋に住宅用の太陽光パネルを設置することも可能です。

太陽光発電のシステムを導入するときのコストは、おおよそ「1kWあたり41万円程度」が相場になるので、住宅用なら123~205万円、非住宅なら2,000万円以上が相場金額と言えるでしょう。

具体的な内訳は以下の通りです。

費目コスト
太陽電池モジュール(パネル)70,000円(1枚)×設置枚数(20枚)=1,400,000円
パワーコンディショナー230,000円
発電モニター50,000円
リモコン・ケーブル・その他20,000円
設置架台118,000円
架台工事費80,000円
太陽電池モジュール設置工事費160,000円
電気配線工事費115,000円

上記の合計額は2,173,000円です。ただし、上記はあくまで参考程度に考えてください。家庭によってkWは異なりますし、設備導入費用もそれぞれ異なります。

太陽光発電のランニングコスト

太陽光発電の補助金などを管轄している資源エネルギー庁の資料によると、太陽光発電の年間のランニングコストは、住宅用なら3,000円/kw、非住宅用なら5,000円/kwほどです。

そのため、上述した「住宅用の3~5kW」なら、年間9,000円~1万5,000円ほどになるということです。

ランニングコストの内訳は以下の通りです。

  • 電気代
  • 点検や清掃代
  • 交換や修理費
  • 保証延長や保険料
  • 税金

電気代

パワーコンディショナーは、基本的に太陽光発電による自立運転なのですが、発電できない夜間の待機電力は電気代がかかります。

そのため、電気代はパワーコンディショナーの種類や台数などによって異なりますが、平均で1台で月に数百円ほどです。

点検や清掃代

住宅用の発電機器に点検義務はありませんが、4年に1回以上の定期点検が推奨されています。点検費は1回2万円ほどなので、4年に1回行うと年換算で5,000円かかるということです。

仮に、非住宅の太陽光発電で収益を上げるとなると50kw以上なので数十万円~100万円ほどの金額になります。

また、パネルは頻繁に掃除をする必要はありませんが、1~2年に1回くらいは清掃しておいた方が良いでしょう。

清掃費は規模によって異なりますが、屋根に設置しているなら高所作業なので1kWあたり5,000円~1万円ほどです。野立ての設置なら、一式で数千円~規模が大きければ数万円ほどになります。

交換や修理費

ほとんどの設備の交換や修理は、保証期間内で無償対応になりますが、期間外であればパワーコンディショナーは基板交換のみで数万円、全交換で1台20万円ほどの費用になります。

太陽光発電の設備は、多くのメーカーが10年以上の保証となっています。

保証延長や保険料

上記の「保証」は販売価格に上乗せされており、購入者の負担です。また、例外としてパネルだけは20年の場合もあります。

この保証期間を有償で延長するサービスを展開しているメーカーが多く、1kWあたり5,000円~1万円ほどで保証期間は5年延長できます。

保証期間を超えた状態での交換は高いので、上記の費用を支払って保証期間を延長した方がメリットがあると判断すれば延長するということです。

税金

太陽光発電を行うと、固定資産税や所得税がかかってきます。

太陽光発電設備は、住宅用の10kW未満以外は固定資産税の対象となります。1年目は取得価格に0.936を掛けた価格、2年目以降は前年度の評価額に0.873を掛けた価格が評価額となり、その評価額に1.4%を掛けた金額が固定資産税となります。

また、太陽光発電を売電して得た利益は「所得」となりますが、二通りの扱いがあります。

  • 事業として行う場合は事業所得に加算
  • 給与所得者が行っていれば雑所得で確定申告

このように、仮に給与所得者である会社員の方が行うと、雑所得となり確定申告が必要なので注意してください。

太陽光発電のメリット

次に太陽光発電のメリットを解説します。

利便性の低い土地や田舎の土地を活用できる

たとえば、相続したのが田舎の土地で、自分が居住するにも適さないしアパート経営や駐車場経営をしようにも需要のない場所だと、無駄に放置し続けることになってしまいます。

保有している以上は固定資産税がかかりますし、仮に家屋があるなら、放火や不法滞在などの犯罪リスクも無視できません。

ところが、太陽光発電なら住居として需要のない土地でも運営可能です。初期費用とランニングコストはかかるものの、収益はプラスになる可能性があります。

市街化調整区域でも設置可能

市街化調整区域とは市街化を抑制するエリアのことです。
活用予定の土地が市街化調整区域にある場合、建物の建築などが制限される可能性が高いでしょう。

すると、アパート経営などの賃貸物件による土地活用は難しくなります。

ところが、太陽光発電の場合、その設備は建築物には当たらないので市街化調整区域でも問題なく設置できます。市街化調整区域での土地活用における、有効な選択肢のひとつといえるでしょう。

電気は20年間固定価格で買い取ってもらえるので低リスク

太陽光発電による売電は、20年間固定価格で買い取ってもらえます
買取価格は、中立的な調達価格等算定委員会という組織の意見を尊重し、経済産業大臣が決定します。

ただし、20年間は固定価格での買い取りが保証されているものの、それ以降の価格は不透明な部分があることは否めません。

とはいえ、確実に固定価格で買い取ってもらえる期間があるので、収支予測は立てやすいでしょう。

利回りが高く、約16年で初期投資が回収できる

設備の改修費用は「設置費用÷収益」で算出でき、設置費用は上述した設備導入費用とランニングコストになります。収益というのは、売電収入と電気代削減額になるので、全量買取であれば全電力売却するため「電気代削減額」は該当しません。

仮に、余剰買取を選択して住宅用パネルの売電収益を「住宅用の5kW」とし、売電収入98,863円、電気代削減額を年間39,110円(合計137,973円)とします。設置費用を、上述した1kW41万円とすると205万円です。

そして、ランニングコストが5kWなら1.5万円なので、総合すると「設置費用205万円÷(売電収入98,863円+39,110円-15,000円)=16.6年」となります。

16.6年で回収できるということは利回り6%という数値なので、まずまず高い利回りと言えるでしょう。

ただ、設備導入費用を抑えたり、ランニングコストを抑えたりと工夫すれば、利回りをさらに上げることは可能です。


太陽光発電に限らず、土地活用の際に必ず理解しておきたいのが「利回り」です。利回りは重要な指標ですが、利回りの高さだけで判断することにも大きな落とし穴があります。詳しくは↓の記事をご確認ください。

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メンテナンスの手間やランニングコストがほとんどかからない

また、土地活用として太陽光発電を利用するのは、メンテナンスの手間やランニングコストという観点からもメリットがあります。たとえば、アパート経営や一戸建て経営では、建物のメンテナンス費用は太陽光発電の比ではありません。

外壁や外部廊下などの共用部分ももちろん、賃借人が退去するごとに室内の修繕費用が加わります。


アパート・マンション経営における、具体的なランニングコストに関しては、↓の記事で詳しく解説しています。

親の家や土地を相続して「固定資産税も高額だしどうしよう・・・」と悩んでいませんか? 空き地のままだとけっこうな税金が毎年発生してしまい...


いっぽう、太陽光発電もメンテナンス費用はゼロではありませんが、ほかの不動産投資と比べるとはるかに安価で手間もかかりません

導入の際に自治体の補助金制度を活用できることがある

太陽光発電は設備導入の際に、自治体の補助金制度を活用できることがあります。

もともと、日本は資源がない国の上、先の東日本大震災によって原発もフル稼働しているわけではありません。そのため、太陽光発電を民間で行って、電力会社に電力を供給することを推奨しています。

ただし、補助金の額や対象に当てはまるかどうかは、各自治体によって異なります。正確な補助金額は各自治体で確認する必要がありますが、目安金額を算出できる下記のようなサイト※もあります。

※参考:パナソニック 太陽光発電システムの補助金を調べる

太陽光発電のデメリットとリスク

太陽光発電には、これまで解説したようなメリットがあるいっぽう、このようなデメリットやリスクがあることも無視できません。

太陽光発電設置の初期費用が高い

太陽光発電の初期費用の目安は1kW当たり41万円ほどなので、仮に5kWなら200万円くらいといったところでしょう。
非住宅で50kW規模なら2,000万円もの高額な投資になります。

銀行から融資を受ける場合、太陽光発電はソーラーローンやフリーローンを利用するので、金利は住宅ローンよりはるかに高い2.5%~4%ほどになります

そのため、アパート経営などのようなレバレッジ効果も得にくく、初期費用として手持ち金は消費してしまいます。

最低でも投資回収までの16年間は転用できない

たとえば、土地活用として駐車場経営を選んだ場合、すぐに転用できますし、初期費用がかからないぶん回収までの期間も短くてすみます。

ところが、太陽光発電は転用してしまえば収益は途切れます。そのため、初期費用回収の目安期間である16年間は運用し続けなければなりません

地盤強化に費用がかかるケースも

太陽光発電のパネルはそれなりの重量があるので、軟弱な地盤の場合は設置前に強化が必要なケースもあります。

ただし、もともと農地だった土地など「歩くとプルプル震える」くらいの柔らかさでなければ、地盤改良工事は必要ありません。

歩くと震えるくらいの地盤だと、土を入れ替えたり、固化材で地盤を強くしたりという工事が必要な場合もあります。

土地の広さにもよりますが、大規模な工事となると費用は数百万円単位になることもあり、そのような土地では採算が取れないかもしれません。

電柱のない場所では、自費で電柱と電線の敷設が必要

太陽光発電における夜間の待機電力は、電柱・電線から供給されます。そのため、電柱のない場所では自費で電柱と電線の施設をしなければなりません

市街化区域であればそのようなケースは稀ですが、地方の市街化調整区域ではじゅうぶんにありえます。しかも、電柱と電線の敷設は行政も絡んできますので、そうかんたんに敷設できるものではありません。

固定買い取り終了後の20年後以降どうなるか不透明

20年間は固定価格で売電できることは太陽光発電のメリットですが、それ以降どうなっているかは分かりません。

売電価格は年々引き下げられているのが現状です。
20年後の売電価格は、いったいどれだけ下がっているのでしょうか?

たとえば、住宅用の売電価格は2010年は48円/kWでしたが、2011年~2012年は42円、2013年は38円、2017年は28円まで下がっています。このペースで下落していくと、20年後の収支は今より厳しいものになることが予想されます。

天候に発電量が左右され安定しない

太陽光発電は、当然ですが太陽光によって発電されるので、天候によって発電量が左右されます。買取価格が固定されているとはいえ、あくまでも「kwあたり◯◯円」と固定されているにすぎません。

したがって、天候によって発電量が低くなると収益が下がり、収支計画が崩れることもありえます。とくに雨や降雪量の多いエリアは要注意です。

建物や樹木によって太陽光が遮られる可能性

天候のほかにも太陽光が遮られる要因はあります。

たとえば、野立てで太陽光発電設備を設置したものの、近隣に建物が建ったことで影になってしまい、じゅうぶんな太陽光が得られないかもしれません。
建物以外にも、樹木などが太陽光を遮ってしまう可能性はあるでしょう。

光の反射による近隣住民からのクレームやトラブル発生リスク

太陽光発電のソーラーパネルは光を反射します。
角度によっては、近隣住宅の方向に光を反射してしまう可能性もあるでしょう。

そのようなトラブルが発生した場合、近隣からのクレームが損害賠償請求に発展する可能性もありますので、なんらかの対処が必要になります。

とはいえ、角度を変えると太陽光をじゅうぶんに確保できなかったり、向きを変えるにも工事費用がかかってしまいます。

固定資産税や相続税の節税効果がない

土地に建物が建っていると、固定資産税や相続税の課税評価額が減免されるなど、多くの節税効果があります。

ところが、太陽光発電の設備は建物ではないので、これらの恩恵を受けることができません。節税という点ではメリットのない土地活用といえます。

田舎でも成り立つ太陽光発電

太陽光発電は、売電価格が固定されており、ランニングコストがほとんどかからないことから、収支計画が立てやすい土地活用です。

なによりも、賃貸経営のように入居者がいなくても経営が成り立つ点が、他の土地活用には見られない大きなメリットでしょう。太陽光発電は、賃貸経営の難しい田舎でも成り立つ可能性のある土地活用といえます。


人口が減少傾向にある田舎で、土地活用を成功させるのは容易ではありません。可能性のある土地活用は限られますが、↓の記事では、田舎でも検討の価値のある土地活用をいくつか紹介しています。

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いっぽう、固定買取期間が終了した後の価格が不透明な点や、初期費用が高く、投資回収まで他の用途に転用できないといったデメリットもあります。

太陽光発電を検討するにあたっては、このようなメリットやデメリット、リスク等を考慮した上で判断してください。

以上、太陽光発電とは?土地活用としての6つのメリットと9つのデメリット&リスクを解説…でした。


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