自然災害が発生すると、古い空き家は崩壊する可能性が高くなります。
それがあなたの所有する空き家なら、事前に対処することが肝心です。なぜなら、崩壊した建物は二次被害を引き起こし、被害者になるだけでなく加害者になるリスクもあるからです。
さらに、損害賠償額が数億円にも及ぶこともあるということを忘れてはいけません。
しかし、安心してください。今回はそんなリスクに備えるための重要な情報をお届けします。
この記事では、空き家が災害にあった場合に発生する二次被害の具体例やハザードマップの確認方法、解体時の注意点などを詳しく解説しています。
あなたの大切な資産と命を守るために、今すぐこの記事を読んでください。
空き家がもたらす二次災害の具体例と損害賠償額
空き家がもたらす二次災害にはどのようなものがあるのでしょうか?
具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 倒壊による近隣住居等の損壊や避難経路の遮断
- 強風による屋根や壁等の飛散がもたらす人身被害
- 火災による周辺住居への延焼発生
- 破損箇所から害獣が住み着くことによる悪臭発生・感染症蔓延
- 浸水によるシロアリ被害の蔓延
- 不審者による住み着き
このうち特に発生する可能性が高く要注意なのが、「近隣住居の損壊」と「人身被害」です。
民法717条には所有物を適切に管理する義務が明記されており、相続した空き家であったとしても、空き家による二次災害には損害賠償を請求されるかもしれません。
具体的な損賠賠償額はケースバイケースですが、被害状況によっては億単位と非常に高額になる可能性もあります。
たとえば、こちらはNPO法人 空家・空地管理センターによる損害賠償額の試算モデルです。
(例)倒壊による隣地家屋の全壊と夫婦、8歳の女児死亡事故の場合(想定)
<試算の前提とした被害モデル>
○所在地 :東京都(郊外)
○敷地面積:165㎡(50坪)
○延べ床面積:83㎡(25坪)
○建築時期:平成4年(築後20年)
○居住世帯:世帯主:40歳、年収600万円
妻 :36歳主婦
子供 :8歳の女児(小学校3年生)
引用 放置空き家がもたらす被害-NPO法人 空家・空地管理センター
この試算によると隣家の全壊と住人の死亡により2億円以上の損害賠償額が発生しています。これほどの金額は、誰にでもそう簡単に支払えるものではありません。
空家を放置していると、所有者は常にこのようなリスクを抱えることになります。
特定空家に指定されると行政指導や罰金の可能性も
空き家を放置すると地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあることから、適切な管理・運営を推進することを目的に、『空家等対策特別措置法(空家法)』が制定されました。
とりわけ、そのまま放置しておくと危険とされる「特定空家等」に指定されると、自治体から立入調査を受けたり、固定資産税の軽減措置対象外にされてしまう可能性があります。
さらに、行政側の命令に従わなければ50万円以下の罰金を科されたり、最終的には自治体が所有者に代わり、建物などの解体や塀や樹木の撤去などを行う代執行が行われます。
空き家による二次災害が起こらなくても、放置していると、このような行政指導を受けるかもしれませんので、できるだけ早めに対処しておいたほうがよいでしょう。
空家等対策特別措置法(空家法)に関しては、こちらの記事にて詳しく解説しています。
ハザードマップで災害リスクの確認を
「空き家の所在地はどのような災害リスクがあるのだろうか?」
「洪水?津波?土砂災害?」
具体的な災害リスクを確認するには、ハザードマップポータルサイトを見ておくとよいでしょう。
ハザードマップポータルサイト
ハザードマップポータルサイトには、「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の二つの機能があります。
「重ねるハザードマップ」では、防災に役立つ災害リスク情報などを地図や写真に自由に重ねて表示することができます。
また、「わがまちハザードマップ」では、全国の市町村が作成したハザードマップを地図や災害種別から簡単に検索することができます。
これらの機能を活用することで、具体的にどのような災害リスクがあるのか確認できるでしょう。
「LIFULL HOME’S 空き家バンク」のハザードマップ機能
また、LIFULL HOME’Sが運営する「LIFULL HOME’S 空き家バンク」では、各空き家の詳細ページにて、地盤・防災関連マップを確認できます。
空き家周辺の地震による揺れやすさや、今後の地震予測、液状化・浸水の可能性などの防災情報がマップ上に表示されますので、すでに空き家が登録されている場合は、こちらから災害リスクを確認しておくとよいでしょう。
空き家を解体する際の注意点
空き家による二次災害リスクに対する根本的解決策は、解体してしまうことです。売却するにしても、更地のほうが売りやすいですし、建物の瑕疵担保責任を負わなくてすむといったメリットもあります。
しかし、このようなデメリットや注意点もあります。
- 空き家を解体すると固定資産税が高くなる
- 空き家が再建築不可物件だと建物を新築できない
- 自治体の補助金制度などを解体前に確認する
- 一括見積で解体業者を選ぶ
空き家を解体すると固定資産税が高くなる
建物が立っている状態では、住宅用地の特例により固定資産税が軽減されています。
ところが、建物を解体して更地にしてしまうと、この軽減措置は受けられなくなってしまうので、固定資産税・都市計画税が高くなります。
参考 固定資産税の計算方法や特例に関しては、こちらの記事が詳しいです。
空き家が再建築不可物件だと建物を新築できない
再建築不可とは、接道義務を満たしていないなどの法令上の制限により、現在ある建物を解体した場合に建物を新築することができないことをいいます。
この接道義務を満たさない土地では、解体して新しく建物を建てることはできず、リフォームやリノベーションしかできません。
詳しくはこちらの記事に解説しています。
自治体の補助金制度などを解体前に確認する
空き家の解体工事費用に補助金を交付している自治体は多いですが、自治体によって条件は異なります。
また、解体工事に着手してしまった後では、補助金申請ができないケースも少なくありません。必ず解体前に自治体に問い合わせて確認しておきましょう。
一括見積で解体業者を選ぶ
解体工事の費用は、木造の場合、目安として@3万円~4万円/坪と高額であり、一戸建てを解体する場合は100万円以上かかるケースも珍しくありません。
解体工事の坪当たり単価の相場はこちらを参考にしてください。
<解体工事の費用相場>
構造 | 坪当たりの単価 |
---|---|
木造 | 3万円~4万円 |
鉄骨造 | 4万円~5万円 |
鉄筋コンクリート造 | 5万円~8万円 |
解体工事の費用相場は 万円 〜 万円です。
けっして安い金額ではないので、解体工事の一括見積サイトを使って事前に複数業者から見積書をもらってください。その中から適正価格で解体してもらえる業者を選び、きちんと資金計画を立てるようにしましょう。
参考【無料】解体工事の一括見積サイト > 解体無料見積ガイド災害時の避難所として活用する自治体も
空き家が二次災害を引き起こす懸念がある一方、自治体によっては空き家を解体し、跡地を防災拠点として活用する動きがあります。地域住民の避難場所になるだけでなく、密集地域での火災の広がりを防ぐ効果も期待されています。
土地を無償提供した所有者の税金を優遇したり、解体費用を助成する自治体もあるようですので、空き家所在地の自治体にそのような制度がないか、問い合わせてみるとよいでしょう。
空き家は早めの解体・売却を!
ご存知の通り、日本は地震や台風が多く、今後もそのような災害リスクからは逃れられないでしょう。
もし、相続などで空き家をお持ちでしたら、二次災害を引き起こすことによって巨額の損害賠償を請求される可能性があります。災害はいつ起こるか分かりませんので、できるだけ早めに対処したほうがよいでしょう。
将来の災害リスクから解放されるには、空き家を解体するか売却する必要があります。具体的には、自治体や不動産会社に相談してみてください。
売却するなら、HOME4U不動産売却のような無料の一括査定サイトを使って複数の不動産会社から見積もりをとっておくと、おおよその相場感がつかめるはずです。
以上、あなたの空き家は大丈夫?二次災害で損害賠償額が億超えの可能性も!…でした。