「相続した一戸建て、どう活用すればいいかな?」とお悩みの方におすすめの土地活用方法が、「戸建賃貸経営」です。
初期費用を抑えて始められるため、手軽な投資先として注目されています。
アパート経営ほど一般的ではありませんが、立地条件によっては最適な土地活用となることも少なくありません。
ただし、リスクやデメリットも存在するため注意が必要です。
本記事では、戸建賃貸経営のメリット・デメリットやリスクについて詳しく解説しています。戸建賃貸経営を検討している方は必見です。
戸建賃貸とは?
戸建賃貸とは、その名のとおり、所有する一戸建て住宅を貸し出して賃料を受け取ることです。賃料から管理料等の経費を差し引いた分が営業利益となります。
戸建賃貸の場合、もともと居住用として建てたり、親から相続して所有することが多く、わざわざ賃貸用に建築するケースは少ないでしょう。そのため、アパマン経営に比べると戸建賃貸はさほど多くありません。
戸建賃貸の建築費の目安
不動産物件の建築費は、その構造や間取り、設備や仕様によって大きく異なります。あくまで目安ですが、2016年度に建てられた注文住宅の平均床面積と平均建築費(土地代除く)は以下のとおりです。
地域 | 床面積 | 建築費(土地代含まず) | ㎡単価 |
---|---|---|---|
全国 | 約129.3㎡ | 約3,308万円 | 25.6万円 |
首都圏 | 約127.2㎡ | 約3,593万円 | 28.2万円 |
近畿圏 | 約130.5㎡ | 約3,436万円 | 26.4万円 |
東海圏 | 約132.0㎡ | 約3,405万円 | 25.7万円 |
その他の地域 | 約129.2㎡ | 約3,106万円 | 24万円 |
基本的に戸建ては木造で、一定規模のアパートは鉄骨造、マンションは鉄筋コンクリート造になります。素材としては、建築費がもっとも安くなるのは戸建てです。
ただし、アパートは総工費では戸建てより高くなりますが、スケールメリットから㎡単価では戸建て以下になるケースもあります。
戸建賃貸経営のメリット
戸建賃貸経営には、このようなメリットがあります。
- 税金の節税効果
- 需給バランス的に有利
- 立地が悪くても収益化できる
- 比較的入居者が決まりやすい
- 入居期間が長い
- 入居者や近隣とのトラブルが少ない
- 建物としての流動性が高い
- 建築費が安価で利回り・家賃設定に有利
- 共用部の維持費が不要
それぞれについて、以下に詳しく解説します。
税金の節税効果
戸建の賃貸経営には、相続税や固定資産税、都市計画税の節税効果があります。
現金を不動産に変えることで、相続税評価額が7~8割下がるからです。
さらに、建物の建っている土地は、更地より固定資産税や都市計画税が低くなるので、土地のままにしておくよりも節税効果があります。
需給バランス的に有利
国土交通省の調べでは、77%もの人が「一戸建てに住みたい」と希望しているものの、新築戸建ての供給数は全体の2%以下といわれています。
戸建賃貸の需要に対して供給が圧倒的に不足しているのが現状です。
たとえば、SUUMOを利用して、「練馬区」というキーワードで賃貸物件を検索すると、このような内訳になります。
マンション&アパート | 59,448件 |
戸建 | 1,729件 |
戸建の占める割合はわずか2.8%と、戸建賃貸がいかに少ないかが分かります。
立地が悪くても収益化できる
立地は賃貸不動産を経営する上でたいへん重要な要素であることは、アパートも戸建も変わりません。とはいえ、戸建ては床面積100㎡を超えることも多く、基本的にはファミリー向けの物件です。
立地条件が良くなかったとしても、「広さ」というアドバンテージがあるので、入居希望者が現れやすいのです。さらに、ファミリー層は住環境を重視するので、駅から遠くても静かな環境を求める傾向があります。
いっぽう、アパートやマンションの場合、「広さ」が期待できない分、「駅からの近さ」などのメリットがないと、入居者を集めることは容易ではありません。
また、建築するにはある程度の広さが必要なアパートやマンションと比べて、戸建はそこまで建物が大きくないので、狭小地や変形地でも柔軟に対応できます。
比較的入居者が決まりやすい
これまで説明したとおり、一戸建てはこのような特徴があります。
- 需要が高いもの供給が追いついていない
- 広い部屋で住環境が良いエリアが多い
そのため、戸建賃貸は比較的入居者が決まりやすい物件です。
空室や家賃下落は、不動産経営における大きなリスクですが、その点、戸建賃貸は比較的低リスクといえるでしょう。
入居期間が長い
アパートやマンションと比べて、入居期間が長いのも戸建賃貸の特徴です。
戸建賃貸はファミリー層が入居者となるケースが多く、子どもの転校などを考慮して、引っ越しすることが少なくなります。
入居期間が長いため賃借人の入れ替わりが少なく、比較的安定的に家賃収入を得られるといったメリットがあります。
入居者や近隣とのトラブルが少ない
ファミリータイプの人が多いので、ご近所とは子供を含めたつきあいが増えます。
アパートやマンションと違って建物が独立しているため、ご近所トラブルになりやすい「音」の問題も発生しにくいでしょう。「所定の日以外にゴミを出す」などのモラル違反なことをする家庭も少ないです。
入居者同士のトラブルは、マンションやアパートに比べると少ないといえます。
また、一戸建ては高層建築物ではありませんし、木造が多いので工事音もそこまで大きくありません。なので、建築中も建築後も、その戸建が建築されることで近隣住民からクレームが入るリスクも低いのです。
建物としての流動性が高い
アパートやマンションを売却する場合、買い手は資金力のある不動産投資家や不動産会社などの法人に限られます。
いっぽう、戸建て住宅の場合は、そのような不動産投資家などに加えて、居住目的の方も購入者になりますので、マーケットの規模が大きくなります。出口戦略を考えると、戸建住宅の流動性の高さは大きなメリットといえるでしょう。
建築費が安価で利回り・家賃設定に有利
一戸建ては木造なので建築費が安価です。
坪単価は戸建ての方が高くなる可能性もありますが、全体的な工事費は戸建ての方が安価に建築できます。
さらに、一戸建ては設備や仕様を変更できる範囲が広いので、意図的に建築費を抑えることも可能なのです。しかも、アパートよりも広さや設備が充実しているので、より高い家賃設定ができます。
つまり、建築費が安価で高い家賃設定ができるので、利回りが高く回収も早いのです。
もちろん、物件によって家賃も建築費も異なるので、すべての物件がそうなるとは限りません。逆にいうと、建築費と家賃、その利回りを考慮して、アパート経営よりも収益率に優れた物件にしなければいけません。
戸建賃貸に限らず、土地活用の際に必ず理解しておきたいのが「利回り」です。利回りは重要な指標ですが、利回りの高さだけで判断することにも大きな落とし穴があります。
参考 たとえばアパート・マンション経営の利回りに関しては、下記記事をご確認ください。
共用部の維持費が不要
アパートやマンションには、エントランスや外部廊下、ゴミ置き場や駐輪場など、入居者全員が利用できる共用部があります。
共用部の管理や修繕にかかるコストはオーナー負担ですが、長い目でみると収益を大きく圧迫するケースも少なくありません。ところが、戸建てには共用部がないので、そのような負担がかからない点はメリットといえるでしょう。
戸建賃貸経営のデメリット&リスク
戸建賃貸経営はメリットばかりではありません。一方では、このようなデメリットやリスクがあることも確認しておきましょう。
- リスク分散しにくい
- 時期によっては空室が長期化しやすい
- ご近所づきあいのトラブルリスクはある
- 共用施設はないが維持費はかかる
- 原状回復費用が大きくなりやすい
それぞれについて、以下に詳しく解説します。
リスク分散しにくい
アパートやマンション経営の場合は部屋が複数あるので、1部屋が空室になっても他の部屋の家賃収入によってリスク分散が可能です。
ところが、戸建賃貸の場合、空室になると収入がまったく入らなくなってしまいます。リスク分散するには、複数棟を同時に運営しなければなりません。
時期によっては空室が長期化しやすい
戸建賃貸を借りるのは、ほとんどの場合ファミリー層になります。
ファミリー層が入居するのは、転勤や子どもの入学など、引っ越しがもっとも多い1~3月に集中する傾向がありますので、このタイミングを逃してしまうと、なかなか入居希望者が現れません。
退去時期によっては、次の入居者が決まるまで空室が長期化するリスクがあるのです。その場合は、レントフリーの期間を設けるなどの対策を考える必要があるでしょう。
ご近所づきあいのトラブルリスクはある
賃借人がファミリー層のため、比較的近隣トラブルは起きにくいですが、戸建の場合、人間関係が希薄なアパートやマンションとは違った「ご近所づきあい」というものがあります。
地域によっては、自治会や地域イベントへの参加を求められるケースもあるでしょう。子供同士の友達付き合いでのいざこざが、家族同士の軋轢に発展する可能性もあります。
戸建賃貸では、このようなご近所づきあいでのトラブルリスクがあることを認識しておいてください。
共用施設はないが維持費はかかる
上述したように、戸建賃貸は共用施設がないので、共用部に関するコストは発生しません。とはいえ、外壁修繕や外構の補修工事などの費用はかかります。
マンションやアパートの大規模修繕ほどではありませんが、10年単位で修繕計画を策定して修繕しておかないと資産価値は下落します。将来に備えて、家賃収入から一定の修繕維持費をプールしておく必要はあるでしょう。
参考 ちなみに、アパート・マンション経営における、具体的なランニングコストに関しては、下記記事で詳しく解説しています。
原状回復費用が大きくなりやすい
戸建賃貸経営は、敷地が広く設備比率が高いぶん、原状回復費用が高額になります。原状回復工事は、賃借人が入れ替わるたびに、もしくは長期間入居していれば入居中に行うこともあります。
その費用を抑えると資産価値が落ちてしまいますので、維持費とともにある程度の費用はプールしておきましょう。
戸建賃貸経営はメリット・デメリットを把握
戸建賃貸経営は、駅チカでなくても入居者を集めやすいといったメリットがありますが、リスク分散しにくく、維持費や原状回復費用が高額になりやすいといったデメリットも無視できません。
また、ちょっと調べてみれば分かりますが、賃貸物件として市場に出回っている数は少なく、アパートやマンションに比べると一般的な賃貸経営ではありません。
しかし、逆に言うと「需要>供給」ですので、戸建賃貸は大きなチャンスを秘めているともいえるでしょう。
以上、戸建賃貸経営における9つのメリットと5つのデメリット&リスク…でした。
参考記事 土地活用の一括資料請求サイトはどれを選んだらよいのか分からない…という方は下記記事も参考に。それぞれの比較一覧表も提示していますので、違いがよく分かりますよ。
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