一棟アパートを高く売るには?税金や売却相場、査定依頼の方法も要チェック!

「一棟アパートをできるだけ高く売却したいんだが、どうしたらいいんだろう?」

「今、一棟アパートの売却相場って、どれくらいなのかな?」

自分のアパートを売ったら、いくら位になるのか気になりますよね。


一棟アパートを高く売るには、精度の高い価格戦略や効果的な売却活動、信頼できる仲介業者の協力が欠かせません。また、売却時に払わなければならない税金に関しても、一通り理解しておく必要があるでしょう。


そこで今回は、一棟アパート売却の流れや現状の価格相場、仲介業者の選び方などについて解説します。この記事で正しい知識を身につけて、一棟アパートの売却に役立ててください。

一棟アパート売却の流れ

まずは、一棟アパート売却の流れから説明します。


<一棟アパート売却の流れ>

自分自身で価格査定をする

まずは、自分が保有するアパートの価値を把握するために、大まかに自分自身で価格査定をします。

自分の物件の価値や相場観を把握しておくことで、不動産業者による査定価格の妥当性が検証できるほか、買い叩かれるリスクを回避できます。

価格査定の方法は「積算法」と「収益還元法」の2種類がありますので、それぞれについて説明します。

積算法

積算法とは、土地と建物の価値をそれぞれに分けて算定する方法で、金融機関が担保評価を行う方法として知られています。

まず、土地の価値を算定するベースとなる指標は「路線価」です。
路線価は、国税庁が運営する「財産評価基準書」というサイトで調べることができます。

路線価とは、毎年1月1日を基準日として7月に国税庁から発表され、道路に面する1平方メートル当たりの土地の評価額のことをいい、相続税や贈与税を算定する際の価額です。

このサイトで自分のアパートの路線価を調べ、その路線価に土地面積(単位:平方メートル)を乗じた価額が土地価格となります。


次に、建物の積算法での計算式は、

となります。

再調達価格とは、建物を同じ構造で新築した場合の計算上の価格です。

延床面積は登記されている床面積を採用します。
建築確認申請時の延床面積や施工床面積などで計算しないよう、注意しましょう。


法定耐用年数とは、税法上で規定される建物の耐用年数です。

下記の表は、構造別の再調達価格の目安と法定耐用年数を示しています。


<構造別の再調達価格と耐用年数の一覧表>

建物の構造再調達価格の目安法定耐用年数
鉄骨・鉄筋コンクリート造26万円/平方メートル47年
鉄筋コンクリート造24万円/平方メートル47年
重量鉄骨造20万円/平方メートル34年
軽量鉄骨造16万円/平方メートル27年
木造16万円/平方メートル22年

こうして、建物の計算式に自分のアパートに合ったデータを入れて、計算します。

例として、次の物件の積算評価を計算してみましょう。


<積算法の事例>


まずは土地価格を計算します。

420,000円/平方メートル×200平方メートル=84,000,000円

次に、建物価格を計算します。

16万円/平方メートル×300平方メートル×(22年-15年)/22年=15,272,727円

すなわち、合計99,272,727円がこのアパートの積算評価額となります。

収益還元法

主に都市部のアパートに採用される評価方法であり、アパートの収益性に着目して価値を評価します。

収益還元法での計算式は、

物件価格=(満室想定年間賃料×想定入居率-年間必要経費)÷期待利回り

となります。

期待利回りは投資家の期待する収益率であり、10%や15%といった高い利回りが好まれる傾向がありますが、売主としては売却価格が低くなるため注意が必要です。

たとえば、満室想定年間賃料が300万円、想定入居率90%、年間必要経費が30万円というアパートの場合、

期待利回り6% → (300万円×90%-30万円)÷6%=売却価格4,000万円
期待利回り8% → (300万円×90%-30万円)÷8%=売却価格3,000万円
期待利回り10% → (300万円×90%-30万円)÷10%=売却価格2,400万円

となります。

事前の価格査定では、大まかに収益還元法でさまざまな期待利回りで計算をし、あわせて積算法による評価額と照らし合わせて確認しましょう。

こうして算定した評価額を踏まえて、不動産業者から査定価格を提案してもらい、売出し価格を決めていきます。

必要に応じて補修

原則、アパートを売却する場合、大規模な修繕工事を行う必要はありません。
500万円の費用をかけて大規模修繕したとしても、そのまま売却価格に反映させることはできないケースが多いためです。

ただし、物件の見た目の印象を良くすることは、投資家へのアピールとなるため売却しやすくなるメリットがあります。投資家といえども人間ですので、マイホーム売却と同様に見た目で判断する部分が大きいのです。

下記の補修等は費用をそれほどかけなくてもできますので、ぜひ検討するとよいでしょう。

共用部やエントランスの掃除

共用部分であるエントランスや廊下などの掃除を徹底して清潔な状態を保ち、粗大ごみや不用品などもきれいに片付けておきます。

共用部の照明

共用部分の照明の蛍光灯や電球を新しいものに交換しておきましょう。
共用部分の廊下の照明が切れていたり、点滅していたりすれば印象が悪くなり、買い叩かれてしまいます。

雑草の除去や害虫駆除

敷地内に雑草がボウボウに生えていると、非常に印象が悪くなりますので、きちんと除去しておきましょう。
また、害虫などの駆除も同様です。

集合ポストの交換

集合ポストが壊れてチラシなどが溢れかえっていると、スラム化したイメージを持たれてしまいます。集合ポストを交換して、空室にはチラシを投函できないようにすれば印象が良くなります。

不動産業者に査定依頼~媒介契約締結

売却の準備ができたら、不動産業者へ査定依頼します。
一棟アパートの売却を成功させるためには、不動産業者選びは大変重要です。

まずは、不動産一括査定サイトを利用して複数の不動産業者からの提案を待ちます。

自分自身で把握している査定価格と各不動産業者の査定価格を比較・検討して、腑に落ちない部分やわからない点については、理解できるまで確認しましょう。

また、不動産業者の中にはマイホームの売買仲介は得意でも、一棟アパートの売買仲介にはあまり実績のない業者もいます。

そうした不動産業者に依頼してしまうと、売却が長期化したり、売却価格が低くなったりすることがありますので、必ず一棟アパートの売買仲介が得意な不動産業者に依頼してください。

売却活動

売却活動を始めるにあたっては、売出し価格の設定が非常に重要です。

高く売却したい気持ちはわかりますが、あまりにも売出し価格が高すぎればいつまでたっても問い合わせすら来ません。

あげくには「あの物件はずっと売りに出ているが売れていないな。何か問題があるのでは・・・?」という憶測を持たれて、価格を下げても売れなくなってしまいます。

逆に、売出し価格が安すぎれば投資家が殺到してしまい、慌てて売り止めにするケースなどもあります。

いずれにしても、売却を依頼した不動産業者とよく相談し、納得のいく価格設定をしましょう。

また、前述の必要最低限の補修工事や管理を行い、収益用物件としての価値を高めておくことも大切です。

見た目の印象が良くなった物件なら入居者にもアピールできます。空室がある場合はできる限り入居率を上げて、価値を高めておきましょう。
入居率が上がれば、収益還元法による物件評価も上がります。

あまりにも空室が多く手をかけたくない場合については、次章を参考にしてください。

売買契約締結~決済・引渡し

購入希望の投資家から買付証明書が提出され、諸条件について合意できたら売買契約締結、決済・引渡しとなります。

さまざまな書類を準備する必要がありますが、不動産業者の指示に従って準備すれば問題ありません。めでたく、あなたは一棟アパートを売却できます。

入居者は退去させるべき?

空室が多い一棟アパートを売却するとき、頭を悩ませるのが「入居者を退去させた方がよいのか、そのままの方がよいのか」という売却戦略の問題です。

ここでは、それぞれのケースのメリット・デメリットについて確認してみましょう。


<それぞれのケースのメリット・デメリット一覧表>

 メリットデメリット
退去させる場合・買い手の幅が広がる・立ち退きに関する費用と時間がかかる
・1人でも残ると、そのままの状態で運営しなければならない
退去させない場合・立ち退きに関する費用や時間がかからない
・最後まで賃料収入が得られる
・買い手が投資家に限定され、売却が長期化するリスクがある

入居者を退去させて売却する場合

まず、入居者を退去させて売却する場合について考えてみましょう。
メリットとしては、買い手の幅が広がることが挙げられます。

入居者のいない空渡し物件であれば、一般の投資家以外にも買い手の幅が広がります。

マイホーム用の土地を探している個人、建売やマンションなどの開発をしている不動産業者、リノベーションや建て替えをして自分好みの賃貸物件が欲しい投資家なども購入対象者となり、流動性が高くなります。

反対にデメリットとしては、入居者の立ち退きに関して費用と時間がかかることです。

入居者に立ち退きを要求する場合、一般的には敷金を返還したうえで、立ち退き料として賃料の5~6ヶ月分を支払うケースが多いです。たとえば、賃料が6万円のアパートであれば、1件当たり30~40万円程度の費用が発生します。

また、残っている入居者が同時期に退去するよう交渉を進めますが、1人でも残ってしまうと、他の部屋が空室状態のままでアパートを運営しなければならなくなります。その間の収益性は大きく下がってしまいます。

入居者を退去させずに売却する場合

入居者を退去させずに売却する場合のメリットは、立ち退き費用や立ち退きに要する時間がかからないことです。

また、賃料収入も決済・引渡しの時まで受け取れますので、収益性でも入居者を退去させる場合より圧倒的に有利です。

基本的には、できる限り空室を減らして一棟アパートとして売却するのがベストな方法でしょう。

デメリットとしては、買い手が投資家に限られるため、流動性が低くなることです。
一棟アパート売却にスキルのない不動産業者に依頼してしまうと、売却が長期化するリスクがあるため要注意です。

一棟アパートの価格相場の現状

国土交通省が発表する「不動産価格指数(商業用不動産)」によると、一棟マンション・一棟アパートの取引価格は2013年から右肩上がりで上昇しており、2018年にかけて30ポイントも上昇しています。


<不動産価格指数(商業不動産)>

引用 国土交通省HP 建設産業・不動産業 不動産価格指数(商業用不動産)


これは「この先、年金収入だけで老後生活を送れるのか?」といった将来不安から、年金対策としてサラリーマンの人たちが一棟マンションや一棟アパートを購入し、賃貸経営を行っている影響が大きいと考えられています。

価格が上昇すれば利回りは低下するため、購入のタイミングを計るのは難しいですが、逆に売却するためにはよい環境かもしれません。
こうした相場価格の上昇局面は、売却を検討している人にとってチャンスです。

一棟アパート売却時に支払わなければならない税金

一棟アパート売却には大きな金額の税金が発生する可能性もありますので、事前に確認しておきましょう。

印紙税

売買契約締結時に、契約金額に応じて売買契約書に収入印紙を貼付します。
印紙代は、売主・買主双方が均等に負担することが一般的です。

2018年4月1日から2020年3月31日までに作成される契約書に記載された契約金額が、10万円を超えるものについては軽減措置が適用されます。

一棟アパート売却の際のおもな印紙税は以下の通りです。


<一棟アパート売却の場合の主な印紙税一覧>

契約金額本則税率による税額軽減後の印紙税額
1万円未満のもの非課税非課税
1万円以上10万円以下のもの200円200円
10万円を超え50万円以下のもの400円200円
50万円を超え100万円以下のもの1,000円500円
100万円を超え500万円以下のもの2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの1万円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの2万円1万円
5,000万円を超え1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え5億円以下のもの10万円6万円
5億円を超え10億円以下のもの20万円16万円
10億円を超え50億円以下のもの40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円

登録免許税

所有権移転登記にかかる登録免許税は、基本的に買主負担となります。ただし、売主の登記上の住所が現住所と違う場合は住所変更登記が、登記上の氏名が現在の氏名と違う場合は氏名変更登記が必要となり、売主に登録免許税がかかります。

登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
たとえば、アパートの土地が2筆、建物が1棟の場合は合計で3,000円の登録免許税を納めることとなります。

消費税

一棟アパートを売却した場合、個人であっても事業とみなされるため、建物部分は消費税の課税対象です(土地部分は非課税です)。

しかし、消費税は課税事業者にのみ課税されます。

まず、基準期間である前々事業年度(個人の場合は2年前)の課税売上高が1,000万円を超えていれば、消費税の課税事業者と判断されます。

基準期間で1,000万円を超えていなくても、さらに特定期間で課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となってしまいます。

特定期間とは、前事業年度の開始の日以後6ヶ月間(個人の場合は前年の1月から6月の間)のことです。

基準期間と特定期間のいずれも、課税売上高が1,000万円以下であれば免税事業者となり、今年売却したアパートの消費税はかかりません。

アパートなどの住居用の賃料は消費税非課税ですので、2年前にアパートの賃料収入が年間1,000万円を超えていても課税業者には該当しません。ただし、住居用の賃料以外のテナント収入などが1,000万円を超えていれば課税業者となります。

また、今年売却したアパートの建物部分が1,000万円を超えている場合、2年後は課税業者となり、その年に再度アパートを売却するなどして課税売上が1,000万円を越えれば、消費税が課税されますので注意しましょう。

所得税・住民税

一棟アパートを売却して売却益(譲渡所得)が発生すれば、その利益に対して所得税・住民税・復興所得税が課税されます。

譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)

譲渡価格とは売却価格であり、取得費は売却した一棟アパートを購入した時の購入価格や購入時に発生した仲介手数料などの諸経費の合計です。譲渡費用は一棟アパートを売却した際の仲介手数料などの諸経費の合計のことをいいます。

注意したいのは、購入価格から建物の減価償却費を除くことです。
減価償却費は以下の計算式で算定します。

減価償却費=建物取得価格×0.9×償却率×経過年数

主な建物の法定耐用年数と償却率は以下の表を参照してください。


<主な建物の法定耐用年数と償却率>

構造非事業用(マイホームなど)事業用(賃貸マンションなど)
耐用年数償却率耐用年数償却率
木造33年0.03122年0.046
軽量鉄骨40年0.02527年0.038
重量鉄骨51年0.02034年0.030
鉄筋コンクリート70年0.01547年0.022

また、所得税と住民税の税率は売却した一棟アパートの所有期間により異なります。譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となります。

所有期間の考え方については下図を参照ください。


<不動産の所有期間の考え方>


上の図で、平成24年6月1日に購入したアパートは、暦の上では平成29年6月1日には所有期間が5年を超えますが、平成29年12月28日に売却しても譲渡した年の1月1日現在の所有期間は4年7ヶ月のため、所有期間は5年以下となります。

しかし、約1ヶ月後の平成30年2月1日に売却した場合、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年7ヶ月になるため、所有期間は5年超と判断されるのです。

短期譲渡所得と長期譲渡所得では、下表の通り税率が著しく違うため、注意が必要です。


<長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率>

所有期間所得税住民税
短期譲渡所得
(所有期間が5年以下)
30.63%9%
長期譲渡所得
(所有期間が5年超)
15.315%5%

※平成25年から平成49年まで、復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加算されています。

査定依頼と仲介業者の選び方

一棟アパートの売却準備が整ったら、売却活動を行ってくれる不動産仲介業者を選定します。一棟アパートの売却を成功させるためには、パートナーとなる不動産業者の選定が大きなカギとなります。

一口に「仲介業者」といっても、各業者ともスキルやノウハウはまちまちであり、得手・不得手があるのが実情です。

とくに、一棟アパートの売却は「ネームバリューのある大手仲介業者や駅前にある老舗の仲介業者に任せれば安心」というわけではありません。

やはり、一棟アパートや一棟マンションなどの収益用物件を専門に扱っている仲介業者に売却を依頼するべきでしょう。

そうした仲介業者を見つけるには、不動産一括査定サイトが最適です。複数の仲介業者から査定や提案を受けて、一棟アパートの売却実績を確認しましょう。

これまでの一棟アパートの売却実績、成約までに要した期間、査定価格の算定根拠、価格戦略や売却活動などをヒアリングしたうえで、仲介業者を選定するとよいでしょう。

また、一棟アパートなどの収益用物件の売却は、担当者のスキルにも大きく影響されますので、担当者自身の収益用物件の売却実績やスキルなども併せて確認することも大切です。

一棟アパートの売却には頼れるパートナーを・・・

不動産投資は入口(購入)が重要であることは間違いありませんが、出口(売却)も同じくらい重要です。

マイホームと違い売却先が投資家のため、些細なことが売買条件などにシビアな影響を与えかねません。とくに、売却価格が高額になることが多いので、小さなミスが価格に大きな差を生じさせてしまう可能性もあります。

そうしたリスクを避けるためにも、自分自身で一棟アパート売却に関する知識を身に付けたうえで、頼れるパートナーとなる優良な仲介業者を選ぶことが大切です。

以上、一棟アパートを高く売るには?税金や売却相場、査定依頼の方法も要チェック!…でした。


参考リンク:

一棟アパートの売却が得意な不動産業者を手間をかけずに探したい…という方は下記記事も参考に。一括査定サイトを利用すると、そのような業者が見つかる可能性も高くなりますよ。

不動産を売却しようと調べてみると、不動産一括査定サービスをすすめる記事って多いですよね。 当サイトも、そのひとつではあるんですが......